山下智久が3日、神奈川・ぴあアリーナMMで『TOMOHISA YAMASHITA ARENA TOUR 2023 -Sweet Vision-』のツアーファイナル公演を行った。2018年に開催された『UNLEASHED - FEEL THE LOVE -』以来、5年ぶりに開催されたツアーは、8月11日・12日に愛知・ポートメッセなごや 新第1展示館を皮切りに、16日(15日の振替公演を16日昼に実施)に兵庫・ワールド記念ホール、9月2日・3日に神奈川・ぴあアリーナMMで計6公演を行うというもの。7月19日にリリースされたニューアルバム『Sweet Vision』収録曲を中心に、「抱いてセニョリータ」など、アンコール含め全22曲を届けた。ツアーファイナルの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

 【動画】ツアーファイナル、一部映像

 開演時間まで5分を切ると客席から手拍子が自然発生。オーディエンスの期待感がライブへのテンションを高めていく。そして、徐々にクレッシェンドしていくBGMが高揚感を煽ると映画のような映像から、パイプオルガンの荘厳な音色と共に山下がステージ下からゆっくりとせり上がりで登場。オーディエンスの大きな歓声が会場に響き渡った。

 アルバム『Sweet Vision』の1曲目「Anima」でライブの幕は開け、続いて「A Million Suns」を披露。太陽の映像をバックに10人のダンサーとパフォーマンス。<声を聞かせて>という歌詞にオーディエンスはシンガロングで応え一体感のある空間を作り上げた。山下は、「みんな楽しんで行こうぜ!」と声を上げ、「抱いてセニョリータ」を投下。楽曲後半では花道を通りセンターステージでパフォーマンスし、大きな盛り上がりをみせ、序盤からクライマックスのような空間を作りあげた。

山下智久

 MCでは、「心の底から楽しみにしておりました。今日は懐かしい曲から最近の歌までいろいろ歌わせて頂こうと思っています」と話し、そのままセンターステージでミディアムナンバーの「Loveless」とセクシーなダンサーとともに魅せた「You Make Me」、さらに山下のファルセットボイスが印象的な「Dancing in a Dream」と、繊細な部分を見せてくれた。ダンサーによるインタールードを挟み、ニューアルバムの表題曲「Sweet Vision」を歌唱。ファンと共に進んでいく未来を感じさせる歌詞は、今の山下の想いが投影されているのだろう。

 ライブ中盤で届けられた「Your Step」はキッズダンサーが登場し、ミュージカルのような華やかさを演出。そして、身体に響く4つ打ちのキックによってテンションが上がる「Party Don't Stop」では、山下の華麗なダンスでも楽しませる。ニューアルバムの楽曲とのコントラストをより強くさせ、両者を際立たせるような効果も感じられたセクションで山下の音楽性の振り幅を堪能した。

山下智久

 「今日を迎えることができてとても嬉しいです。待たせた分、100倍返しするぞ!」と意気込みを語る。そして、山下は過去に在籍していたグループ、NEWSの20周年にも触れ、「いい青春時代を過ごさせてもらった」と感謝。「引き続きともども応援してもらえたら」と想いを伝える場面も。さらにNEWSのメンバー、小山慶一郎が今日のライブに駆けつけてくれたことを山下が明かし、「僕も(NEWSのライブを)観に行こうと思っています」と良い関係性が築けていることがわかる瞬間だった。

 芸歴27年を振り返って「いろいろドラマに出演させていただいて、キャストも含めていい出会いがあったり、本当にたくさん学ばせていただいております。一つひとつのドラマ、役者の方も含めて今の自分がいると思っています。全てのことに感謝して、これからも音楽も、演技もどんどんチャレンジして邁進していきたい」と意気込みを語り、自身が出演したドラマ『プロポーズ大作戦』の主題歌「明日晴れるかな」(桑田佳祐)を、ステージに設置された階段に座って歌唱。続いて、ドラマ『コードブルー』主題歌「HANABI」(Mr.Children)を情感を込め歌い上げ、感動を誘った。

 そして、amazon Prime Videoで世界配信されている山下が主演を務める映画『SEE HEAR LOVE 見えなくても聞こえなくても愛してる』の主題歌「I See You」について語った。同曲の作詞を担当した山下。全英詞ということもありプロデューサーと意見交換し、何度もレコーディングしたという。台本を読んで情熱的な作品だと感じ、一度の人生、情熱的に愛したいという想いを込めて作詞したと明かした。山下は「大事な人を思い浮かべて聴いてほしい」と伝え「I See You」を披露。映画の映像をバックにエモーショナルな歌声を届けてくれた。

 「Forever in my Heart」を経てライブは後半戦へ。ニューアルバムからレイドバックしたサウンドが心地良い「Sunrise」、一転してけたたましく歪んだエレキギターのサウンドが響くロックチューン「Vision」へ。ラウドな音に乗って<まだまだ高く飛べると信じ 誰も見たことない景色を>と、山下の向上心を反映させた言葉と、炎を使用した演出でオーディエンスを魅了した。

山下智久

 ライブもラストスパート。エレクトロサウンドが身体を揺らす「One in a Million」、殻を破って突き進んでいくことを感じさせてくれた「Beautiful World」と、理想を求め邁進していく姿を見せてくれたようだった。

 そして、山下は「1日も当たり前だと思ってはいません。みんなが与えてくれたチャンスを活かせるように、これからもどんどんチャレンジを続けていきたい。人には無限の可能性があると信じています。皆さんに少しでも希望や勇気を届けることができたら嬉しい」と語り、本編ラストは、一緒に夢を見つけられたらという想いを込めた「ONE」を披露。ここにいる人たちを鼓舞するかのような歌声で、曲に込めたメッセージを響かせる。<支え合った日々の意味が形になってく>というフレーズが、人生は点ではなく線だということを思わせてくれた。歌唱後、「ありがとう!!」とオフマイクで叫び、感謝を伝えた。

 アンコールに応え、再びステージに山下が登場。ウェスタンスタイルの衣装で「愛、テキサス」を荒野の映像をバックにパフォーマンス。間奏で、「みんなに会えて本当に嬉しいです。27年経ったけど、これからもよろしくね」と改めて想いを伝えた。ラストは真心ブラザーズの「サマーヌード」のカバー「Summer Nude」を歌唱。このライブを彩ったダンサー全員がステージに登場し、大団円を迎えた。

 最後に山下は「最高の時間を過ごさせていただきました。5年と長い間待たせてしまったのですが、次は待たせないので、すぐに会いましょう」と約束を交わし、アリーナツアーの幕は閉じた。

 今、自分が感じていることを素直にパフォーマンスに投影したかのような、嘘のない空間。真摯に活動に向き合う山下だからこそ、多くのファンに支持されるのだろう。そして、5年後、10年後を見据えている山下の“Sweet Vision”が輝く未来を作っていくことを予感させたステージだった。

セットリスト

『TOMOHISA YAMASHITA ARENA TOUR 2023 -Sweet Vision-』

9月3日@神奈川・ぴあアリーナMM

01.Anima
02.A Million Suns
03.抱いてセニョリータ
04.Loveless
05.You Make Me
06.Dancing in a Dream
07.Sweet Vision
08.Face To Face
09.Your Step
10.Party Don't Stop
11.明日晴れるかな
12.HANABI
13.I See You
14.Forever in my Heart
15.Sunrise
16.Vision
17.CHANGE
18.One in a million
19.Beautiful World
20.ONE

EN1.愛、テキサス
EN2.Summer Nude

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