元エビ中・柏木ひなた「新しい道を開けたら」ソロシンガーとしての姿勢
INTERVIEW

柏木ひなた

「新しい道を開けたら」ソロシンガーとしての姿勢


記者:編集部

撮影:村上順一

掲載:23年07月08日

読了時間:約9分

 元私立恵比寿中学の柏木ひなたが、シングル「From Bow To Toe」(6月28日配信リリース)でソロデビューした。柏木は昨年12月に約12年間在籍した私立恵比寿中学を卒業。グループ在籍時から歌の評価が高かった柏木は、夢だったソロ歌手として新たなスタートを切った。ソロデビューを発表し、ファンクラブ「own pace」を開設。さらに7月12日には5曲入りの1st EP『ここから。』の配信リリースも決まっている。インタビューでは、デビューシングル「From Bow To Toe」に込めた想いから、今どのような想いでソロ歌手として向き合っているのか、話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

夢を改めて追うことができたら

村上順一

柏木ひなた

――エビ中卒業から半年が過ぎましたが、2023年上半期はどのようなことをして過ごしてましたか。

 カレンダーの発売が決まっていたので、その撮影をしたり、3月頃からソロデビュー曲を決めたり、レコーディングしたり、ソロデビューに向けて準備をしていました。

――ファンクラブも開設されて、「own pace」という名前が印象的でした。どのような想いを込めてこの名前を付けられたのでしょうか。

 周りに流されることや合わせることなく、自分のペースで何事もやっていけたらという想いを込めました。何をするにもファンの方がいないとできないので、ファンの皆さんと一緒に自分たちのペースでいろんなものを作り上げていきたいです。

――ファンクラブのグッズにビアジョッキがあるのは面白いですね。

 私がお酒好きなので(笑)。生配信を毎月やってるんですけど、そこでみんなと乾杯することも多いんです。それもあって第1弾のグッズのコンセプトとして、みんなが使えるもの、一緒に使えるものがいいなと思いました。このジョッキをみんなが手にしてくれて、生配信などで一緒に乾杯できたら嬉しいです。

――一体感が生まれそうですね! さて、今どんな意識でソロ活動に臨んでいますか。

 女性アイドルからソロ歌手に転身する方はそんなに多くないと思っていて、新しい道を開けたらいいなと思います。自分はとにかく歌が好きでステージに立ち続けてきたので、自分にしか歌えないものは絶対にあると思いますし、自分だからできること、唯一無二のシンガーになれればと思いながら活動しています。

――歌の評価が高いですよね。

 本当にありがたいです。自分自身、こんなに評価していただけるとは思っていなかったです。ダンスをずっとやって来ていたので、グループがどんどん大きくなって行く中で、私の歌に注目してくださる方もいて嬉しかったです。ここから柏木ひなたソロとしてやっていかなければいけないので、しっかり頑張っていきたいです。

――グループの時からソロライブもやられてましたよね? その頃から歌手としてやっていきたいという気持ちが強くなっていったのでしょうか。

 2016年頃から生誕祭でソロでのライブをやっていくにつれ、「ソロに挑戦したい!」という気持ちも出てきました。この世界に入ったきっかけも「歌って踊りたい」という夢があったので、その夢を改めて追うことができたらという気持ちもありました。ソロのステージでは生バンドでやらせていただいていたのですが、その経験も大きかったと思います。ソロの時は自分が主導となってやることもあって、例えば楽曲の雰囲気や間奏の長さをバンドの皆さんに伝えたり、ミュージシャンの方と一緒に音楽を作っていく工程はすごく刺激になりました。

――バンドメンバーの方に自分が思い描いてるビジョンを説明しなければならないとなって、音楽的なことも勉強されたのでしょうか。

 私は音楽の知識は無知な部分が多いです。とにかく曖昧でもいいから、自分のイメージや希望を伝えていました。バンドの皆さんは長年音楽をやられているすごい方ばかりなので、丁寧に優しく教えていただいてとても勉強になりました。

好きなものを私としてくれていることが本当に嬉しい

――デビュー曲「From Bow To Toe」のタイトルにはどのような意味があるのでしょうか。

 タイトルは“頭からつま先まで”という意味です。私は音楽は全身で浴びるものだと思っていて、全身で音楽を皆さんにお届けする、皆さんも全身で柏木ひなたの音楽を受け止めてほしい、という想いから付いたタイトルです。

――「From Bow To Toe」の歌詞に込められた想いとは?

 一番はファンの皆さんへの想いが大きいです。この世界で12年やってきて、1つのことを12年つづけるというのは大変なことです。私は好きだから続けられていますが、応援する側も好きじゃないと続かないじゃないですか。それを12年も私のことを好きでいてくれて応援してくれる、好きなものを私としてくれていることが本当に嬉しくて。私が活動できているのは、ファンの皆さんが応援してくれるからです。それは当たり前のことではないですし、それを考えた時に感謝の気持ちを一番に伝えたいと思いました。楽曲を通して、皆さんへの感謝、恩返しとして期待や楽しみなどを全て詰め込んだ歌詞にしたいと、作詞家の方にお願いをして書いていただきました。

――その中に柏木さんのお名前をイメージさせる<He-Nam-Nam-Nam-Nam>というコーラスもいいフックになってますよね。

 これは私からのリクエストではなかったんですけど、入れてくださってすごく嬉しかったですし、すごく可愛いなと思いました。ライブでは掛け声的な感じで、皆さんに言っていただけるんじゃないかと楽しみです。

――ちなみにMVはどんな感じの作品になりましたか。

 ソロデビューして初めてのMVということで、自分をいかに見せられるかというのがコンセプトでした。ダンスにも力をいれたMVになっています。私は真っ赤な衣装で、ダンサーさんはカラフルで、インパクトがあると思います。楽曲のイメージ通り、すごく弾けてる様子や楽しさがMVから伝わると思います。

――ダンスもあるんですね!

 はい。久しぶりにアイドルの振りとは違ったダンスを踊りました。ダンサーさんもいらっしゃったので、見劣りしないようにと頑張ったので、そこも楽しみにMVを見ていただけたらと思います。

――さて、歌詞で特に気に入っているワードとかありますか。

 今回の歌詞には自分が伝えたいことが全て詰まっているので、一部分というよりも全てが気に入っています。私は自分の言葉で直接想いを伝えるのがあまり得意ではなくて、照れ臭くなってしまいます。でも、文や歌にすると伝えられるので、音楽を通して素直な気持ちを届けられたらと思っています。

――レコーディングはいかがでした?

 スムーズでした。ソロになって歌い方が変わった部分があって、グループ時代も自分の歌い方ではあったのですが、人数も多かったので、合わせていかないと浮いてしまったりして。今回そこは気にせず自由にやらせていただいて、歌い方の変化は聴いていただいたら、わかっていただけるのかなと思います。

――エビ中時代の「Fantastic Baby Love」という曲とは歌い方、全然違いますよね!

 あの時は声変わりの直前だったので、エビ中時代の中でもまたちょっと違う声なんです。エビ中時代に私は2回声変わりをしていて、「Fantastic Baby Love」はまだ声が高かった時に無理やり出していた声でした。「From Bow To Toe」の声に近いのは、2019年にリリースしたアルバム『playlist』に収録されている「I’ll be here」かなと思います。その前にリリースした『MUSiC』というアルバムからエビ中の楽曲の方向性もアーティスティックな方向に変化していったので、自分の歌い方もアイドル感は残しつつも、アーティスト感も出していくようになっていきました。またここからソロになって、歌は大きく変わっていくと思います。

――レコーディングではディレクターさんからリクエストとかはありました?

 ありがたいことに「いいね」の連続でした。長く色んな音楽や歌に携わられてきた方に褒められるというのはとても嬉しいです。その時は「頑張ってきて良かった!」と思いました。

一番嬉しかった言葉は「迷惑じゃないよ」

村上順一

柏木ひなた

――柏木さんはどちらかというと褒められて伸びるタイプですか?

 時と場合によると思います。私は空気を読み取りがちで、例えば、怒られている時にここは反省した方がいいかなとか、逆にここはもっとやる気出した方がいいのなとか、いろいろ考えてしまいます。でも、この年になると怒られることも少なくなってきました。グループ時代に一生分怒られてきたような感じもあって、それによって大人というものがわかってきた気がします。これを言ったらきっと怒られるだろうなとか、予測できるようになってきて、この12年間で察する力がつきました(笑)。

――あはは(笑)。コミュニケーション能力もつきました?

 前よりはついたと思います。昔の私は人見知りで、積極的に人とコミュニケーションを取るタイプではなかったんです。

――これまではグループだったから、メンバーがフォローしてくれたり。

 そうなんです。今は1人で全部やらないといけないので頑張らなければいけない部分です。

――ちなみ、12年間活動している中で一番嬉しかった言葉は?

 自分が突発性難聴になってしまい、活動をお休みすることになった時のことです。アルバムの発売も延期になってしまったり、グループ自体に迷惑をかけてしまったので、こんなに自分のことで迷惑をかけるんだったら私はグループを辞めたいと話したことがありました。でも、みんなは「迷惑じゃないよ。こういう職業やっていたら仕方のないことかもしれないし、なってしまったものはしょうがない。休んでまたみんなで一緒にステージに立とう。待ってるからね」と、温かい言葉をかけてくれたのはすごく嬉しかったです。

――今はどんなケアを?

 音に関しては病気になってからすごく敏感になりました。大音量で音楽を聴かないようにしたり、レコーディングではヘッドフォンを片耳だけ外したりしています。ライブの時はイヤモニを片側だけ付けて、もう片方は耳栓をしています。あまりストレスを掛けずに、楽しくリラックスして過ごすというのが、耳にも健康的にも一番いいんだろうなと思います。

――さて、今後の歌手としてのビジョンをお聞きしたいのですが、どんな歌を歌っていきたいと思っていますか。

 今回のような曲はもちろん、もっといろんな歌を歌っていきたいです。ジャンルにとらわれたくないという気持ちがあります。もっと色んなことに挑戦したいので、色んな曲を歌えるシンガーになりたいと思っています。今回の「From Bow To Toe」を含めた5曲が収録されるEPが、7月12日にリリースされます。バラードチックな曲もあれば、全く違う雰囲気の楽曲も入ってるので、そこでも可能性を感じていただけたら嬉しいです。

――いま活動の原動力になっているものには、どんなものがありますか。

 ソロになると宣言した時、グループの卒業もあったので、寂しいという声もいただいていたのですが、ソロになった自分も応援したいと、楽しみにしてくださる方が沢山いました。皆さんが喜んでくれること、私の歌を待ってくださっていることが一番の原動力になっています。

(おわり)

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村上順一
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