TEAM SHACHI、悲しさよりも悔しさ グループから溢れるタフさの秘密
INTERVIEW

TEAM SHACHI

悲しさよりも悔しさ グループから溢れるタフさの秘密


記者:村上順一

撮影:

掲載:23年04月08日

読了時間:約16分

 4月7日路上デビュー11周年を迎えたTEAM SHACHIが、新曲「NEO首都移転計画」を配信リリース。プライベートレーベル「ワクワクレコーズ」を2022年に設立し、さらに活動の幅を広げている。「NEO首都移転計画」は、日本先行メジャーデビューシングルとして2013年6月にリリースされた「首都移転計画」の続編にあたるナンバーだ。当時同曲を提供したラッパーのSEAMOが本作も制作を手掛けている。そして、チームしゃちほことして活動をスタートさせたはじまりの地である愛知・名古屋城 二の丸広場で、2023年7月22日に『シャチサマ2023』を開催することも決定しているTEAM SHACHI。メンバーの秋本帆華、咲良菜緒、大黒柚姫、坂本遥奈に、「NEO首都移転計画」の印象から「ライブグループ」だと語る彼女らにステージに立つための心構えやルーティーンについて聞いた。(取材・撮影=村上順一)

路上は私たちのスタート地点

――4月7日に路上デビュー11周年を迎えますが、当時の思い出は?

大黒柚姫 印象に残ってることは遥奈がロンダート(側転)を披露する曲があるんですけど、リハーサルの時、前日に雨が降っていたせいでステージが滑りやすくなっていて、ハル(坂本遥奈)が着地の時に滑りそうになって危なかったというのをすごい覚えてます。

大黒柚姫

坂本遥奈 路上なので公開リハみたいな状況でした。実際のライブと同じようにお客さんが座って見ている中でのリハーサルだったので、 お客さんが「あ~」って(笑)。大きな声で動揺される機会ってないじゃないですか。私は自分が危なくてヒヤリとするよりかは、たくさんの方の動揺した声の方が怖かったです(笑)。

大黒柚姫 今だと結構いろんなどよめきも浴びることにもなるけど、その時は大人数の声を浴びるという。

坂本遥奈 発表会とかで「よかった」とか、「頑張って」とかはあるけどね。「あ~」という不安な声は初めてでした(笑)。

――秋本さんは?

秋本帆華 アイドルならではの自己紹介みたいなパートを作って、路上の時に初めてやった時のことです。私は当時それが全然慣れなくて、自己紹介するたびにドキドキしていて。自分の番が来るたびに緊張していたのを覚えています。

秋本帆華

――今はそういうのはされないんですか。

秋本帆華 みんなに「手拍子して!」とか、挨拶みたいな紹介は最近はしてなくて。

咲良菜緒 TEAM SHACHIに改名してからしてないです。

――ところで、チームしゃちほこからTEAM SHACHIになって月日が経ちましたが、改名して意識は変わりました?

坂本遥奈 変わりました。今までは提案していただいたものを一生懸命やる感じでした。でも、今はみんなで一緒に作り上げるところから携わっているので、どんな反応もらっても責任が自分たちにあるんです。あと、年齢とともに意識も変わっていったところもあります。

坂本遥奈

――デビューの時と比べると10年以上経った今では全然違いますよね。咲良さんの路上の思いでは?

咲良菜緒 路上をするまでのライブといえばイベントに呼んでいただいて出演させてもらったり、私たちだけのライブというのはそれまで経験したことがなかったんです。お客さんがたくさん来てくれたんですけど、それは私たちの先輩のファンの皆さんが名古屋まで観に来てくれたので、温かい空間ですごく心地良かったです。見守ってくれているようなすごく優しい目で、親戚の人たちが見てくれているようなアットホーム感がありました。私たちのデビューを待っていてくれた感があって、すごく記憶に残っています。

咲良菜緒

坂本遥奈 それこそ路上の時に来てくれてたファンの方の中には、今も応援してくれている方もいるので嬉しいです。

――「十年一昔」とよく言いますけど、ずっと応援してくれる人がいるというのはすごいことですよね。

咲良菜緒 10年も同じ人と一緒にいることは、人生でも滅多にないことだと思います。私たちの周りには家族とメンバーとスタッフさんとタフ民(ファンの呼称)で…。

大黒柚姫 もう“人まみれ”だ!

――人まみれ(笑)。そんな皆さん路上ライブというのはどんな存在でした?

坂本遥奈 2012年の4月7日に、名古屋城の二の丸広場で路上デビューはしたんですけど、路上で結構やっていたというわけではないんです。ですので、私たちのスタート地点です。

――そのスタート地点となった4月7日に曲もリリースされるんですよね。

咲良菜緒 10年前のメジャーデビュー曲「首都移転計画」をより進化させて、当時楽曲作っていただいたSEAMOさんに今回も作っていただきました。当時の名古屋と今の名古屋を比較すると街も変わるじゃないですか。ですので、ワードも結構変わっていて、当時中学生、高校生だった私たちが歌う歌詞と比べるとワードが大人になってます。今まで擬態語みたいな、わちゃわちゃ系のワードが多かったんです。とはいえ、中毒性がすごいという共通点があって姉妹感が出ていると思います。

大黒柚姫 曲はもちろん歌詞もすごい素敵だなと思いました。私が特に好きな歌詞が<帰ってきたくなる故郷(ふるさと)>というフレーズなんですけど、名古屋の方っていろんな地方に就職とかしても、名古屋に戻ってくることが多いみたいなんです。私たちも実際住んでいて、すごく素敵な場所だと思いますし、<帰ってきたくなる故郷(ふるさと)>という言葉が、名古屋の温かさやそういう雰囲気が伝わる素敵な言葉だなと思いました。そして、SEAMOさんとTEAM SHACHIの名古屋愛を乗せて、みんなに届けられたらいいなと思います。愛知で活動しているのも、愛知に恩返しをしたいという思いがあるので、 その“愛知愛”をこの曲に乗せて、たくさんの人に届けたいです。

秋本帆華 すごく中毒性のある曲なんですけど、その中で特に好きなフレーズが<挙手 観光大使>です。当時「首都移転計画」を歌わせていただいた時は、そういった活動ができるとは思っていませんでした。実際に名古屋観光特使というのを何年もやらせていただいたからこそ、歌える曲でもあるのかなと思い、嬉しいポイントでした。

――キャリアを積んできた証でもありますよね。観光特使はどんなやりがいを感じています?

秋本帆華 地元の良さをアピールさせていただける機会が増えました。その時に愛知っていい場所なんだなと思ってもらえたりとか、フェスなどに出演させていただいた時に「愛知県から来ました、私たちTEAM SHACHIです!」と言った時に愛知、名古屋を少し背負わせていただけていることが感じられて嬉しいです。

――いま愛知のいいところ1つあげるとしたら?

秋本帆華 ジブリパークできました。それも今回の歌詞に入ってます! なかなか歌詞にジブリパークと入る曲ないよねと話していたのですごく嬉しいです。でも、人気すぎてチケットが取れなくて、私はまだ実際に行ったことはないんです...。

大黒柚姫 今年中には絶対行きたいよね。

――目標ですね。坂本さんは「NEO首都移転計画」いかがですか?

坂本遥奈 初めてこの曲を聴いた瞬間に、「この曲好き!」って思いました。「首都移転計画」「愛の地球祭」「いいくらし」という、当時の私たちの歴史の中でも異色な曲が続いた3部作のシングルがあるのですが、当時は正直ノリ方が難しくてわからなかったんです(笑)。でも、そういった曲も今になってわかるようになってきました。ライブでもセットリストによって、いま挙げたようなテンション感の曲が欲しいことも多いので、その好きな感じが今回また来た! と思いました。

――10代の時にわからなかったものが、20代になってわかることもあったり、感じるものが変わってきますよね。

坂本遥奈 あります。活動の中で色んな経験してきたことで、よりいいなと思った曲もあれば、 この曲にはこんな意味があったんだと、過去曲の歌詞で新たな発見も多いです。

――<シナリオ通りはつまんない>という歌詞があるんですけど、これは皆さんのどの部分を表現していると思いますか。

坂本遥奈 SEAMOさんが私たちの歴史を知ってくださっているからこそのフレーズだと思います。そもそも「首都移転計画」というタイトル自体がそれを感じさせています。東京が首都なのはもう誰もが知ってる当たり前の状況だけど、 移転することによって、何か面白いことができるんじゃない? というのは、私たちの活動とリンクするところがあります。例えばライブでもどこかしらで各々のライブならではのことをしたくなるんです。急にステージ降りたりすることも結構あるので、そういう突発的な部分がこのフレーズに表れていると思います。

アウェイで燃えるグループ

TEAM SHACHI

――皆さんにとってライブというのはすごい大切な場所だと思います。いま皆さんそれぞれどんな意識でステージに臨んでるんですか。

坂本遥奈 一緒に踊ったりとかお客さんも動くライブが特徴的なので、 お客さんをどれだけのせられるか、参加させるかみたいなのは、ずっと変わらずに意識しているところです。フリーライブの時は初めましての方とか、偶然通りかかった人も見てくれるんですけど、そういった方々って、 遠目から見ているような感じでなかなか参加はしないじゃないですか。手拍子とか、ちょっとだけ輪に入ってもらうかということを意識して、楽しんでもらうことを忘れないようにしています。

坂本遥奈

――何かテクニックはあるんですか。

大黒柚姫 ケータイとか触ってる人がいると、その人を集中攻撃みたいな(笑)。そうすると一緒に手拍子とかしてくれるんです。TEAM SHACHIはゲーム感覚じゃないですけど、そういうことをガンガンやっちゃうんです。

秋本帆華 なんか使命感あるよね。1人10人ずつやるぞみたいな。フリーライブとかだとアイドルに興味がない方もたくさんいる中で、そこでアイドルの面白さを知っていただくと言いますか、私たちはアウェイで燃えるグループです。

――アウェイの方が燃える。かっこいいですね。

咲良菜緒 タフ民も私たちがアウェイで盛り上がると知ってるから、今まで以上に声をいっぱい出して一緒に盛り上げてくれます。そこで私たちとタフ民の間で絆が生まれますし、いいライブができるとさらに絆が深まります。アウェイの時のTEAM SHACHIは、やばいものが見られるからみたいな雰囲気がタフ民の中でもあるし、そう言われることもあります。ですので、みんなアウェイも好きなんです(笑)。

咲良菜緒

秋本帆華 名古屋のアットホームなワンマンライブもいいんだけど。それとはまた違う瞬間風速的な空間というのはあります。

――ところでみなさん、ライブ前にやるルーティンはありますか。

咲良菜緒 踊ったりする場合は1時間前までに食事を済ませる人も結構いるんですけど、逆に私はギリギリまで入れないとダメなので、2~3時間は持つようにたくさん食べるというのがルーティンです。食べないと不安になっちゃいます。当日だとリハなどでスケジュールが詰め詰めになって、 食事の時間をしっかりとることができなかったりするので、つまみ食いをたくさんしたりとか、空いた時間は基本食べてます(笑)。

大黒柚姫 私はアイドルさんが好きで、憧れのアイドルさんの動画を見て気持ちを高めています。私も視聴者側の気持ちになって、私もこう思ってもらえるようにパフォーマンスしてみようとか、自分も癒されつつ、ライブへのモチベーションを上げていくということをやってます。

大黒柚姫

秋本帆華 私はめっちゃ歯磨きします。

咲良菜緒 この後に絶対食べるとわかっていても磨いてるから、きっとリフレッシュになっているんだろうね。

秋本帆華 うん、スッキリする。

――歯磨きがスイッチを切り変える何かになっているのかもしれないですね。坂本さんは?

坂本遥奈 私は心拍数を上げる活動をしてます。 廊下とかあったら全力ダッシュを何回かやってるんですけど、それはライブが始まってからあげると疲れちゃうので、先に上げておきたいからなんです。廊下がない時が最近あって、そういう時はその場でジャンプしてみたりとかして、心拍数を上げています。

――アスリートみたいですね。

坂本遥奈 アイドルなんだけど、自分ではあまり一般的なアイドルだと思ったことはないんです。自分で客観的に映像を見ていても、TEAM SHACHIはロックでスポーティーだし、見た人の印象としても、「今日もみんなかわいかった」という感想よりも「熱かった」みたいなものが多いんです。

秋本帆華 そう感じてもらえる方が嬉しいよね。

秋本帆華

坂本遥奈 昔からスタッフさんから「行ってこい!」みたいなスパルタだったのが影響してるのかも。アウェイな環境で見てもらえなかったら悲しいと思うはずなのに、逆にメラメラしちゃって、なんで私たちを見ないのみたいな(笑)。そこには悔しいという感情しかなくて、悲しみはそこにはないんです。それがグループの強みだなって改めて思います。

――名は体を表すじゃないですけど、やっぱりTEAM SHACHIに相応しい、男らしいです(笑)。

大黒柚姫 確かに女の子よりも男の子っぽいかも。

秋本帆華 思ってたアイドルとは違うことをやってます(笑)。

咲良菜緒 だから続けられてるよね。可愛いをずっとは続けられないもんね(笑)。

大黒柚姫 はしゃぎたくなっちゃう。

秋本帆華 色々バレちゃうよね。

坂本遥奈 うんうん。きっと私たちはそれを演じ続けられないと思います。可愛い曲のときに、その1曲集中で「可愛くなるぞ!」みたいな感じでしかまだできない(笑)。

タフ民のリアクションが原動力に

TEAM SHACHI

――いま活動の原動力になっているものは?

咲良菜緒 絆の強いタフ民のみんながリアクションしてくれるから、みなさんが楽しいと言ってくれたりとか、喜んでいる顔を見せてくれるので、それに影響されて、私たちも楽しくなってるというのは絶対あるよね。

秋本帆華 それがないと活動できない。

咲良菜緒  私たちはいい意味でも悪い意味でもわかりやすくテンションに出てしまうので、 タフ民が楽しいと楽しくなっちゃうし、逆にタフ民が悲しそうにしてたら、私たちも悲しくなってしまうと思います。

――ちなみにタフ民が悲しんでいた時ってあるんですか。

咲良菜緒 たぶんないです(笑)。だから、私たちも悲しんだことはあまりないんですけど。

――先ほども悲しむことはなく、あるとしたら悔しいという感情とお話しされていましたが、活動の中で1番悔しかったことは?

坂本遥奈 新型コロナは悔しかったです。でも、みんなが同じ状況だったのでしょうがないんですけど。制限された中でもなんとか楽しいこと見つけてやってきたっていう期間がこの3年間でした。それも徐々に以前のような感じに戻ってきて、7月に名古屋で毎年やってる夏のワンマンライブ『シャチサマ』があるんですけど、それがとにかく楽しみでしょうがないです。

――声出しも解禁じゃないですか。

大黒柚姫 超嬉しいです。

秋本帆華 コロナ禍でできた曲たちにも、どんなコールが入るのかも楽しみですし、それを一緒にタフ民と作り上げていくという楽しみもあります。今まで我慢してきた分、めちゃくちゃ遊びたいです。

――どんな曲を今1番楽しみにしてます?

秋本帆華 新曲はもちろんなんですけど、プライベートレーベルになってから初めて出した曲の「舞頂破」が楽しみです。というのも声出しを想定して作っていただいたんです。<南無阿弥陀仏>と言ったら、ファンの方に<南無阿弥陀仏>とコールしてもらいたいです。

――このコロナ禍で溜まった鬱憤をタフ民とともに発散してもらって。

大黒柚姫 本当にもう鬱憤まみれです。

咲良菜緒 それをハッピーに変えていきたいよね。

――10年以上続いてく理由が今日お話を聞いて、自然体で活動をしているんだなと思いました。

大黒柚姫 全然無理はしてなくて、私たち我慢ができないんです(笑)。

――私が取材した4年前よりも、さらにパンチが効いてますから(笑)。

大黒柚姫 私たちもコロナの鬱憤が溜まっているので、いま一番性格がトゲトゲな時期です(笑)。きっとライブが終われば昔のような雰囲気に戻ると思います。

――ははは(笑)。本当にTEAM SHACHIを形容する言葉が「強い」という言葉しか思いつかないですから。

咲良菜緒 以前、タフ民にTEAM SHACHIを一言で表すとなんですかと聞いた時に、やはり強いとか、タフとかそういうエネルギッシュな言葉ばっかり出てくるんです。

――そのエネルギーをもらいたいなと思っちゃうわけです。

坂本遥奈 そういう方は『シャチサマ2023』に来るべきです(笑)。

――最後にタフ民の皆さんに一言お願いします!

秋本帆華 タフなグループとしてやってきましたし、なによりもライブが1番楽しいグループで、自分たちもライブグループだと思っています。来てもらえたら絶対楽しいと思ってもらえるライブをする自信があるので、ぜひ遊びに来てもらえると嬉しいです。待ってます!

(おわり)

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