INTERVIEW

豊嶋花

幼馴染と約束「いつか日本アカデミー賞を獲りたい」:映画『ちひろさん』でオカジ役


記者:村上順一

写真:村上順一

掲載:23年03月22日

読了時間:約6分

 豊嶋花が、有村架純主演のNetflix映画『ちひろさん』(今泉力哉監督)で高校生の瀬尾久仁子(オカジ)役を好演。同名人気コミックが原作の本作は、とある海辺の町を舞台にした、お弁当屋で働く元風俗嬢の主人公・ちひろと彼女を取り巻く物語。ちひろの常識にとらわれない言葉や行動が、悩む人々の生き方に影響を与えていく。豊嶋が演じるオカジは家族や友達との間に問題を抱える女子高生でちひろと出会い前向きに進んでいく役どころ。豊嶋自身は1歳から芸能活動を始め、NHK連続テレビ小説など数々のドラマや映画に出演。『八重の桜』以来の出演となったNHK大河ドラマ『どうする家康』では有村架純演じる瀬名を世話する関口家侍女・たね役を演じたことでも記憶に新しい。そんな彼女に本作の撮影秘話や今後の目標を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

どんなに嫌なことも時間が解決してくれる

――オカジをどのように演じようと考えていましたか。

 原作を読んだ時に、どこかかっこ悪いのに可愛らしく感じて。それをどうお芝居で表現させるかというところを意識しました。それが苦労した部分でもあります。それと、彼女は闇を抱えている部分もあって、それを私になりに理解してあげて演じたいと思いました。

――家族の問題を抱えているオカジの境遇をどう感じましたか?

 家族は逃げようと思っても逃げられない深い絆で繋がっていると思うんです。たとえ幸せじゃなかったとしても、家族という存在、その繋がりは変わらないので、オカジはすごく苦しいんだろうなと思いました。

――そんなオカジと共通点はありました?

 私はけっこうドジで、走り方とかもかっこ悪いんです(笑)。そういうところは共通しているのかなって(笑)。

――今泉監督とお話をする中で、オカジ役に決まったそうですね。具体的に監督とはどんな話をされたのでしょうか?

 「今、学校はどんな感じなの?」みたいな世間話のような話で「今は受験と両立させるために頑張ってます」とか答えた記憶はあります。

――その中でオカジとつながるものを今泉監督が見つけてくださったんですね。さて、クランクインした時はどんな雰囲気の現場でしたか?

 現場は穏やかな雰囲気で、すごく居心地の良い現場だと思いました。ピリピリした感じとかは全くなかったです。

豊嶋花

豊嶋花

――NHK大河ドラマ『どうする家康』でも共演されていますが、有村さんはどんな印象でしたか?

 最初は個人的にすごくミステリアスな方という印象がありました。でも、お話しをしてみたらとても優しくて、本当に素敵な方でした。『ちひろさん』の現場では、学校の話や、現場にマダムという猫がいたので、マダムのことを話したりして楽しかったです。

――この作品は「のこのこ弁当」で働くちひろの姿も印象的ですが、お弁当は食べました?

 実は私、「のこのこ弁当」のお弁当食べてないんです。お弁当は食べられなかったんですけど、ちひろさんが作ってくれたおにぎりは食べました。それがすごく美味しかったです。

――アドリブのシーンもけっこうあったと聞きましたが、豊嶋さんもアドリブを?

 小学生・マコト役の(嶋田)鉄太くんとのシーンは、けっこうアドリブがありました。例えば、おにぎりを一緒に食べるシーンとか、チャンバラごっこをしてるシーンはアドリブでした。

――鉄太くんとは年が離れてますね。

 私は小さい子が好きなのでお話ししていても楽しかったです。普段からオカジとマコトの関係性を作っておくことが大事だと思い、積極的にコミュニケーションを取っていました。撮影もその方がすごくスムーズに行くんじゃないかなと思いました。

豊嶋花

豊嶋花

――本作でどんなシーンが印象に残ってますか。

 海のシーンです。3月の撮影で寒くて大変だったのですが、そこでの有村さんのオーラ、ちひろさんの持つオーラが凜としていてかっこよかったです。有村さんの演技もすごく勉強になりました。オカジにとっても転機となる場面でもあるので、本当に素敵なシーンで印象に残っています。

――そんな豊嶋さんが本作で一番刺さったセリフは?

 リリー・フランキーさんのセリフです。ちひろさんが気持ち的にすごく沈んでる時に、「しばらく沈んどけ。人間は嫌でも浮かんでくるから」って。どんなに嫌なことも時間が解決してくれるというのを改めて実感したので、私はそのセリフがすごい好きなんです。

――豊嶋さん落ち込んだ時どうやって乗り越えますか?

 友達に泣きながら話して発散します。友達に聞き役になってもらって、聞いてもらって慰めてもらったりするとけっこうスッキリします(笑)。

――誰かに話すことで心が癒されるわけですね。

 はい。言語化することで、本当の自分の気持ちに気づいたりもするので、話すことは重要なんです。

豊嶋花

豊嶋花

幼馴染の子と一緒にアカデミー賞を獲りたい

――今、役者としてどんなことを目標にしていますか。

 役者としての目標が、日本アカデミー賞を受賞することです。まずはそこを目標にたくさん映画やドラマに出て頑張りたいと思っています。

――いつ頃からその気持ちが芽生えたのでしょうか。

 同じお仕事やっている幼馴染の子がいるんですけど、その子と一緒に「アカデミー賞獲りたいよね」みたいに話していました。その子と「同時に新人賞を獲ろうよ」と話が膨らんで、私の夢になりました。

――色んな作品に出たいとのことですが、今後どんな役に挑戦してみたいですか。

 サイコパスの役がやってみたいです。過去にそれっぽい役はあったんですけど、すぐに逮捕されてしまったので…。

――さて、大河ドラマ『どうする家康』に出演されましたが、現場はいかがでしたか?

 大河の撮影はすごく緊張してました。現場に行ったら、すでに役者さん以外の段取りが全て出来上がっていて、セットもすごいのでプレッシャーもあったのですが、時代劇は久しぶりということもあり、撮影はすごく楽しかったです。

――ここでも有村さんと共演されていて。

 そうなんです。大河ドラマから間髪入れずに『ちひろさん』の撮影だったので、有村さんと再会して、「またこんなすぐに会えて嬉しいよ」と仰ってくださり、私もすごく嬉しかったです。また、有村さんと共演できるように頑張りたいです。

――最後に、『ちひろさん』を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。

 ちひろさんという人物がすごい魅力的なので、元気をもらっていただきたいです。オカジやマコトと同じような悩みを抱えた人たちにも、勇気を与えられる作品になっています。私にとってもすごく思い入れの深い作品になりました。皆さん ぜひ大切な人と劇場やNetflixで楽しんでもらえたら嬉しいです。

(おわり)

『ちひろさん』キービジュアル(C)2023 Asmik Ace, Inc. (C)安田弘之(秋田書店)2014



「ちひろさん」
©2023 Asmik Ace, Inc. ©安田弘之(秋田書店)2014
公開表記:Netflixにて配信中&全国劇場にて公開中
出演:有村架純
豊嶋花 嶋田鉄太 van
若葉竜也 佐久間由衣 長澤樹 市川実和子
鈴木慶一 根岸季衣 平田満
リリー・フランキー 風吹ジュン
原作:安田弘之『ちひろさん』(秋田書店「秋田レディース・コミックス・デラックス」刊)
監督:今泉力哉 脚本:澤井香織 今泉力哉
製作:Netflix、アスミック・エース 制作プロダクション:アスミック・エース、デジタル・フロンティア
配給:アスミック・エース

この記事の写真
豊嶋花
豊嶋花
豊嶋花
村上順一

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事