Anonymouzが2月23日、東京・代官山UNITでワンマンライブ『11:11』を行った。2月15日にデビューアルバム『11:11』(イレブンイレブン)をリリースし、その発売を記念して行われたライブだ。ライブはアルバム収録曲を中心に、Official髭男dismの「subtitle」、K.E.Iとコラボした「IF I WAS feat. K.E.I」やNew jeansの「OMG」カバーなど、アンコール含め全21曲を披露した。このライブの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

「IF I WAS」でK.E.Iとコラボ

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)

 活動開始からの3年間、コンスタントに新曲をリリースし、ライブ活動も行ってきたAnonymouz。名前を探していたような活動だったと、小媒体のインタビューで語っていた彼女が、新たなフェーズに突入。今回のワンマンライブは、それを存分に感じさせてくれるステージとなることが、容易に想像できる。

 紗幕に投影された時計が、ニューアルバムのタイトルでもある11:11をさすと、ステージにAnonymouzが登場。盛大な拍手で迎えられた。未知なる世界へ飛び込んでいくという、未来への気概を感じさせる「Waterfall」で、ライブの幕は開けた。先日リリースされたアルバムでも、1曲目という重要な位置に置かれた同曲で、ライブでもオープニングナンバーに選ばれたのは必然だったと感じさせる。

 「NoNAME」では、双子ユニットのANKANが登場しダンスで彩った。序盤は紗幕に映像を投影させ、楽曲との親和性を高めた演出。視覚でも楽しませてくれているのも、印象的だった。女性的でもあり、少年のような一面を持つピュアな歌声で会場を包み込んでいく。

 「皆さんこんばんは。Anonymouzです。『11:11』にようこそ。」と投げかけ、アルバム表題曲「11:11」を披露。少し閉鎖的なAメロから、サビで広がっていく、明暗をつけた構成を持つ「11:11」。彼女の心の起伏を投影しているような歌唱で、オーディエンスを扇情。続いての「Pink Roses」は、それとは対照的にレイドバックしたサウンドで、心地よい空間を作り出し、緩急のある流れで楽しませた。

 そして、Official髭男dismの「subtitle」をカバー。彼女の特色とも言える英詞への翻訳は、楽曲の新たな一面を引き出していく。世界観を壊さず紡ぎ上げていくバランス感覚に加え、徐々に熱を帯びていく歌声も、我々の高揚感を高めてくれた。

 そして、男性的なイメージを持つチェロの音色、そこに優しく奏でられるピアノの旋律が特別な空間を生み出していた「Eyes」。彼女の透き通るような歌声に、オーディエンスも静かに耳を傾け、ライブへの集中力がより高まった瞬間だった。続いて、一足早く春の訪れを感じせるようなポップスナンバー「恋をして」は、彼女のキュートな一面をクローズアップ。オーディエンスもクラップで盛り上げ、Anonymouzもリズミカルに身体を動かし、歌う姿も印象的だった。

 ここでゲストのK.E.Iがステージに登場した。披露されたのは「IF I WAS feat. K.E.I」だ。2人はステージに用意された椅子に座り歌唱。そんなリラックスムードのなか、美しいハーモニーで会場を包み込んでいく。このライブのリハーサルで初めてK.E.Iと対面したというAnonymouz。「IF I WAS」のコラボについてK.E.Iは「初めてのジャンルの曲だったので難しかったんですけど、どんどん愛着が湧いて楽しくなって」と、レコーディングを振り返った。Anonymouzは、「特別なゲストということで、もう少しコラボしたいと思います」と話し、韓国の5人組ガールズグループNewJeansの「OMG」をデュエット。2人でスペシャルな空間を作り上げた。

みんなから沢山の愛をもらって、自信を持てています

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)

 彼女の祖父が亡くなったことがきっかけで生まれた「Heaven」。決して悲観的な曲というわけではなく、Anonymouzの記憶の中にある祖父をイメージした優しさに溢れる1曲。それが存分に伝わってくる歌唱だった。そして、彼女の神秘的な一面が見られる「0xygen」は、心を震わせてくれるエモーショナルな歌声が圧巻のナンバー。この空間に溶け込むような非日常な時間を届け、一旦ステージを後にした。

 衣装をチェンジしステージに戻ってきたAnonymouzは、オリエンタルな雰囲気を持つ「Lips」で、再びANKANの2人とパフォーマンス。公開されている同曲のMVを再現するようなステージを展開。続いて、アニメ『ヴィンランド・サガ』のオープニングテーマ「River」を披露。『ヴィンランド・サガ』のストーリーと自分自身の更なる躍進と重ね合わせた壮大な世界観を持つ同曲を、エネルギッシュな歌声で表現。サビではANKANの2人がファンベールを用いたダイナミックな舞でAnonymouzの歌を彩る。そして、澤野弘之がプロデュースした「Silhouette」。澤野弘之の持つ独特な世界観と、傷つける相手のことを影みたいに見えているのではないか、というネット社会に対する思いが融合したメッセージ性の強い1曲。鬼気迫るようなAnonymouzのパフォーマンスからも、並々ならぬ想いを感じさてくれた。

 ライブもラストスパート。ドラマ『ジャックフロスト』(MBS)の主題歌に起用された「夜行性」を届けた。彼女の中でも挑戦だったとインタビューで話してくれた同曲。4つ打ちのビートに乗って、中毒性のあるサビのメロディーラインが印象的なナンバーだ。オーディエンスも身体や腕を揺らし、楽しんでいるのが伝わってきた。

 「新たな一歩を踏み出す人への想いを歌った曲です。生きていると傷つくことはもちろんあるし、幸せなことも沢山あると思うんですけど、その傷ついた過去と出会っては別れていく大切な人たちで自分ができていると思います。これから自分と向き合っていくのは、必ず自分なので、心から愛してみてください。自分を愛してみようかなと思えるようなライブができていれば嬉しいです。私はみんなから沢山の愛をもらって、自信を持てています。ありがとう」と感謝を伝え、本編ラストは、andropの内澤崇仁が提供した「はじめのはじまり」を歌唱。不安を払拭してくれるような歌声で、本編を終了し、ステージを後にした。

 アンコールでは、花開くという気持ちで進んでいきたい、という想いを綴った「Underground」、ラストは『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』EDテーマ「Ladder」を披露。強い意志と希望を感じさせるナンバーで大団円を迎えた。そして、11時11分で止まっていた時計の針が再び動き始め、またここから新たなスタートを予感させ、ワンマンライブの幕は閉じた。

 7月17日に、東京・渋谷WWWで次回のワンマンライブが決定しているAnonymouz。今回のワンマンの経験が反映され、どのような姿を我々に見せてくれるのか、期待してその日を待ちたい。

■セットリスト

Anonymouz

2月23日「11:11」@代官山 UNIT

M1.Waterfall
M2.Hide&Seek
M3.Don't need the pain
M4.NoNAME
M5.11:11
M6.Pink Roses
M7.subtitle(Official髭男dism)
M8.Eyes
M9.恋をして
M10.If I Was feat. K.E.I
M11.OMG(New jeans.)
M12.Heaven
M13.0xygen
M14.Lips
M15.River
M16.Silhouette
M17.夜行性
M18.Snake Love
M19.はじめのはじまり
Encore
M20.Underground
M21.Ladder

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