連載
STU48「花は誰のもの?」歌い続けた1年

瀧野由美子

私たちが歌うことに意味がある


瀧野由美子

STU

掲載:22年12月24日

読了時間:約3分

 アイドルが呼び掛ける平和へのメッセージソングとして国内のみならず海外からも共感と感動を呼んでいるSTU48の「花は誰のもの?」。これまで様々な壁が現れても決して諦めず立ち向かってきた彼女たち。約1年を通して歌い続けてきた同曲をどう捉えているのか。選抜メンバー一人一人の思いを届ける連載。第10回は瀧野由美子。

瀧野由美子(1期生、山口県出身)

――「花は誰のもの?」を歌い続けてきて楽曲への捉え方に変化は?

 歌詞よりもメロディを先にいただいたのですが、最初にこの歌詞を読んだときは、「もしこの世界から国境が消えたら」という歌詞をアイドルが歌ってもいいのだろうか、と考えました。平和に対する思いを、私達が歌ってもいいのだろうか、と思いました。でも、私達だからこそこの曲を歌うことに意味があるんだ、と考えるようになり、どうしたらこの歌詞が聴いている人に届くのだろうといったことを1番意識するようになりました。

――自身の気持ちは?

 被爆体験伝承者の方に「聞くたびに涙が出る」と言ってもらったことがあります。私もその言葉を受けて、涙がでました。「もしこの世界から国境が消えたら」という歌詞で私たちが伝えたいのは、国境を消そう!というものではなく世界の平和について。この歌詞には平和という言葉は1回も出てきませんが、一つの言葉ではなく歌詞全体で表しているのだと思います。広島を含む瀬戸内を拠点として活動する私たちが歌うことに意味がちゃんとあることを理解してこれからも歌い続けたいです。

――平和への想いは?

 今回の楽曲を歌うにあたって、広島の平和記念公園に行く回数が増えました。平和記念公園には国境のない地図の描かれた鐘があるのですが、この曲と近しい物を感じ、平和記念公園に行った際は必ず行くようにしています。

――平和やコロナ禍など、このような状況下でアイドルの存在価値、存在理由は何だと思いますか?

 アイドルは、全人類には必要なものではないと思っています。ただ、必要な人には必要な存在で、私はその必要としてくれている方が笑顔になったり楽しい人生になってくれたりするのがアイドル人生の生きがいです。自分自身も、自分のアイドル人生が限りあるものだと思っているので、その限りある時間でファンの皆さんと一緒に沢山の経験ができたらと思います。そして、この「花は誰のもの?」という曲で、アイドルという立ち位置でも世の中に何かを発信できるということを感じました。

――この1年はご自身にとってどういうものでしたか?新たに芽生えた目標、決意があったら教えてください。

 少しずつ前進できた1年でした。長年の夢が叶ったり、コロナ禍で思うようにいかないことはあったけど、自分の目標がしっかりと見えた1年でした。と同時に、いいことばかりではなく、自分の限界を知ったり、無力を痛感することも沢山ありました。でも、今のSTU48を過信しすぎず、地に足をつけて歩けたのかなと思います。今年感じた無力を、来年自分なりになんとかしてやるぞ!と1つ1つ細かい目標ができました。

――コロナや5周年コンサート中止(その後実現)など様々な壁に当たりそれでも乗り越えてきた皆さん。壁を乗り越えるために必要なことはありますか?また壁は乗り越えられると思いますか?

 その道を進むという覚悟を持っていることだと思います。サックスの先生に言われた言葉で、今でも心に残っている言葉が「プロとは、その道での苦労を楽しむということ」です。私は苦労を楽しむことは出来ていないかもしれないけど、本当にやりたいことだったり、その道の人になりたかったらそれなりの覚悟も必要という意味でとらえて、苦しいときに自分に言い聞かせています。

 瀧野由美子

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