ブルーノ・マーズ、自身初のドームツアーに幕 最高峰のパフォーマンスで魅せた一夜
東京ドーム公演の模様(Photo : Bruno Mars)
ブルーノ・マーズが30日、東京ドームで『Bruno Mars Japan Tour 2022』の追加公演を開催し、ドームツアーの幕を閉じた。ツアーは10月22日、23日京セラドーム大阪、26日、27日、30日(追加公演)東京ドームで行うというもの。本公演はブルーノ・マーズ初のドームツアーで、2018年4月以来4年半ぶりの来日となった。大阪での公演は2014年以来8年ぶりとなる。ライブは「24K Magic」、「Runaway baby」、「Just the Way You Are」、「Uptown Funk」などブルーノのベストヒットとも言えるセットリストで、終始ハイレベルなステージを展開し、圧倒的な存在感を示した。27日に開催された東京ドーム公演の模様を以下にレポートする。
公演の約1ヶ月に告知されたチケットは、ドーム4公演をあっという間にソールドアウト。それを受けて急遽告知された追加公演もソールドアウトさせ、その人気と存在感の凄まじさを感じさせるブルーノ・マーズ。そんなプレミアムなライブの開演を待ち侘びるファンの熱気でドームは満ち溢れていた。
開演時刻を過ぎ、ステージを覆っていた幕にブルーノのシルエット。その幕が降りるととブルーノがバックバンドのザ・フーリガンズと共にステージに登場。両腕を広げ存在感を放つ中、オープニングを飾ったナンバーは「Moonshine」だ。力強いビートの上にエモーショナルなブルーノ歌が最高の空間を生み出していく。続いて披露されたポップファンクナンバー「24K Magic」は、体を動かさずにはいられない極上のグルーヴに、特効音がさらに盛り上げる。
「コンニチハ、トーキョー!」と声高らかに挨拶し、集まったオーディエンスに感謝を告げ届けられた「Finesse」では流れるような華麗なステップでオーディエンスを沸かせた。「Treasure」のアウトロで、ビートに合わせ左右に揺れるオーディエンスの手が美しい光景を作り出していた。ニュージャックスウィングを彷彿とさせるリズムワークが心地よい「Perm」では、ステージ上で思い切りライブを楽しんでいるブルーノの姿が印象的だった。
バンドメンバーによる演奏にストラトを抱えたブルーノが参戦し、レゲエテイストのミディアムナンバー「Billionaire」へ。楽曲のブレイクで「愛してます!」と投げかける場面も。ブルーノ自身のギター演奏と歌のみで聴かせるセクションなど、メリハリのある流れで魅了した。
「Chunky」から続いて歌唱した「That’s What I Like」では、ブルーノのパワフルで美しいハイトーンボイスがアクセントとなり、オーディエンスを楽曲の世界へと誘う。緊張と緩和を1曲の中で堪能。そして、「Wake Up in the Sky」、「Please Me」をメドレーで歌唱。ブルーノの歌を引き継ぐような、マテウス・アサトによるエモーショナルなギターソロも見どころだった。
そのマテウスによるソロコーナーは、ソウルフルで洗練された旋律で、多くの人の耳を惹きつけ、再びステージにブルーノが登場。ガラッと趣を変え、「Versace On the Floor」を情感豊かに歌い上げた。オーディエンスがスマートフォンのライトを点灯させ、ドーム全体が美しい光に包み込まれ、幻想的な光景が広がった。
「君をとても愛してる」と日本語で歌いあげるブルーノ。この粋なパフォーマンスにオーディエンスもうっとりと聞き入る。そこから多幸感に満ちたラブソング「Marry You」へ。爽快なビートとサウンドでドームを彩った。身体に響き渡る重厚なドラムソロから、盛り上がり必至のロックナンバー「Runaway Baby」へ突入。曲調に合わせた色とりどりのレーザーがステージから放たれ、エキサイティングな空間に、会場のボルテージは最高潮だ。さらにクールダウンしたサウンドの中、青いセンターライトを浴びながら、リフとオーディエンスの手拍子に合わせて踊るブルーノ。終盤には拡声器でワイルドに歌い上げる場面も。前半戦のハイライトとも言えるパフォーマンスで魅了した。
ライブ後半戦はブルーノによるピアノ弾き語りで、「F**k You」、「Young, Wild & Free」、そして坂本九の代表曲で、世界的に知れわたる「上を向いて歩こう」を歌う場面も。さらに「Talking to the Moon」、「Nothin’ on You」を届け、このセクションを「Leave the Door Open」で締めくくる。ブルーノはしっとりと歌声を響かせ、オーディエンスは情感豊かな歌声に酔いしれたことだろう。
キーボーディストによるドラマティックなインタールードを挟み、ライブはラストスパート! 改めてライブを振り返ると、要所にサポートメンバーの演奏をインタールード的に挟み、それぞれ見せ場を作っていたのも印象的だった。
特効のフレイムボールが立ち上がるなか、音源よりもラウドな雰囲気もあった「Grenade」で熱いステージを展開。ブルーノによるワイルドでアグレッシブなギターソロも印象的だった。そして、〈Cause your sex takes me to paradise〉というセクシーな歌詞が印象的なナンバー「Locked out of Heaven」へと繋げた。音源以上にサビでの開放感がたまらないナンバーだ。楽曲の後半では紙吹雪がキラキラとドームに舞い落ちる演出も。
本編ラストはソロデビューシングルで、ドラマティックなナンバー「Just the Way You are」を届けた。ブルーノは「愛してます!」と投げキッスをオーディエンスに向けて送る。心地よい歌声に5万人が耳を傾け、それぞれが様々な想いを馳せるなか、ブルーノはステージを後にした。
アンコールでは、盟友マーク・ロンソンのナンバーにブルーノがフィーチャリング参加した「Uptown Funk」をパフォーマンス。ゴージャスなブラス隊のサウンドがアクセントとなり、オーディエンスも歓喜の表情で、ラストナンバーに身を委ね楽しむ。最後の最後まで隙のないセットリストでライブは大団円を迎えた。
ブルーノの魅力を約2時間に凝縮し、約5万人を楽しませた。豪華な演出で魅せるというよりも、歌とパフォーマンスで勝負したということが伝わってきたステージで、巨大なライブハウスのような感覚だった。その表現力の高さと繊細さ、力強さを合わせ持った歌声は、まごうことなく世界トップレベルのパフォーマンスで、改めて音楽とエンターテインメントの真髄を感じさせた。そこには常にリズム、グルーヴがあるのだ。
そして、ファンへの愛情も存分に感じることができたライブは、訪れた人の心に焼き付いただろう。それは終演後、帰路につくオーディエンスの表情が物語っていた。いつになるかはわからないが、次の来日公演まで首を長くして待ちたい。【取材=村上順一】
セットリスト
Bruno Mars - October 27th Tokyo Show(Day 2)
1. Moonshine
2. 24K Magic
3. Finesse
4. Treasure
5. Perm
6. Billionaire - Travie McCoy(feat. Bruno Mars)
7. Chunky
8. That’s What I Like
9. Wake Up in the Sky-Gucci Mane, Bruno Mars & Kodak Black/Please Me - Cardi B & Bruno Mars
10. Versace On the Floor
11. Marry You
12. Runaway baby
13. F**k You-CeeLo Green/Young Wild and Free-Snoop Dogg & Wiz Khalifa(feat. Bruno Mars)/上を向いて歩こう/Talking to the Moon/Nothin’ On You-B.o.B (feat. Bruno Mars)/Leave the Door Open-Bruno Mars, Anderson .Paak, & Silk Sonic
14. When I Was Your Man
15. Grenade
16. Locked Out of Heaven
17. Just the Way You Are
Encore
18. Uptown Funk-Mark Ronson(feat. Bruno Mars)
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