声優アーティストの水樹奈々が21日、愛知・日本ガイシホールで約3年ぶりのライブツアー『NANA MIZUKI LIVE HOME 2022』ファイナル公演を開催した。7月にリリースしたニューアルバム『DELIGHTED REVIVER』を引っ提げて、全国5都市10公演を展開してきたツアーの締めくくりとなるライブの模様をレポート。

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 タイトル「HOME」には、“自分達のホームグラウンドであるツアーが帰ってきた!”という思い、そして今ツアーで初の茨城県公演を実施し、ライブ開催地47都道府県制覇となったことから“日本を一周してホームベースを踏む”という2つの意味が込められている。

 ステージにはアメリカ西部の街並みを思わせるセットが組まれており、荒野を旅して帰ってきた愛しきホームタウンをイメージしている。オープニングムービーでは旅を終えた水樹が“ROUTE 77”を通り、ホームタウンへと歩みを進める。映像が開けると、ステージ中央から伸びる花道“ROUTE 77”に白を基調としたカウガール風の衣装を纏った水樹が登場。会場に集まったファンへ手を振りながら、自らの愛しきホームであるステージへと歩いて行く。

 ライブのステージへと帰ってきた水樹が「帰ってきたぜ愛知ー! 今日は最高の夜にしようぜ!!」と叫ぶと軽快なメロディーとポジティブな歌詞が印象的な「New Sensation」でライブがスタート。自身のイメージカラーであるブルーのペンライトが大きく揺れる中、続く「SUPER GENERATION」ではステージの端から端まで走りながら歌い、そして7月にリリースしたばかりのアルバム『DELIGHTED REVIVER』のリード曲「Go Live!」と、エネルギッシュな曲で開幕から一気に駆け抜けた。

 「みんなただいま! 今日は“LIVE HOME”のツアーファイナルだよ!!」「落ち着かない中幕を開けたこのツアーですが、チーム一丸となって、一つひとつ幕が開く奇跡と喜びを感じながら歩みを進め、無事にここまで辿りつくことができ、そして皆さんに会うことができて本当に幸せです!」と、3年ぶりのツアー開催とファイナルを迎えられた喜びを叫んだ水樹。

 今回4年ぶりに訪れた日本ガイシホールだが、彼女がこれまで開催してきた“LIVE ○◯”と冠するライブでは最多公演数のライブ会場とのこと。「まさにHOMEです! HOMEでのファイナル!」と告げると、「LIVE HOME 2022 ROAD10、行ってきまーす!」の掛け声で改めてライブ本編がスタートし「ROMANCERS' NEO」、「スパイラル」とロックサウンドを熱く歌い上げる。

 お馴染みのバックバンド・Cherry Boysのコーナーのあと、水樹は蛍光色のストライプが華やかなレトロワンピース姿で再び現れる。スカートをふんわりと揺らしながら「HOLY TALE」と「NAKED FEELS」を優しい歌声で会場に響かせた。

 ここで、ツアー恒例のお楽しみ企画「水樹奈々 初めての○○」のコーナーへ。今回の企画は2年前に開催を予定していたツアーで考えていた企画を「LIVE HOME」用にブラッシュアップしたとのこと。各公演で異なる楽曲を披露しており、これまでの公演では初めてのアニメ主題歌や、初めて人前で歌った曲、初めてのデモテープ曲などが歌われてきた。この日のテーマは「初めてのキャラクターソング」ということで、自身の声優デビュー作でもあるゲーム『NOeL(※eはウムラウト付き) 〜La neige〜』の門倉千紗都役として歌った「Girl’s Age」を披露。

この企画について水樹は「ライブに時々登場する楽曲から、この先いつ登場するかわからないというマニアックな曲まで、10回にわたりお届けしてきました。HOMEというテーマに合わせて、初心に戻って皆さんに初々しい気持ちをお届けできたらいいなと思っていたので、今回聴いていただけて嬉しかったです」と観客へ感謝と喜びを伝えた。

 「それでは時代を一気に元に戻して、最新アルバムから個性的な一曲を聴いていただきたいと思います!」と告げると、軽やかでトリッキーなサウンドと畳み掛ける歌詞が特徴の「ダブルシャッフル」を激しく体を揺らしながら歌い、「MARIA&JOKER」では艶やかな歌声でスリリングな世界観を表現してみせた。

 バックダンサー・team YO-DAのコーナーを挟み、ここで水樹のライブではお馴染みの“乗り物”がステージに登場。レトロなアメ車を模した“Nanallac(ナナラック)”に乗ってステージに現れた水樹はアメリカンポップ&スポーティーなギンガムチェックの衣装で、ダンスポップ曲「Reboot!」と、刺激的な歌詞とダンスが人気の「GUILTY」、そしてこれまでの水樹曲にはないラテン調のリズムに乗せた妖艶な振り付けが印象的な「DNA -Dance 'n' Amuse-」をteam YO-DAとの息の合ったパフォーマンスで繰り広げた。

 「今日は熱い熱い楽曲をずーっとお届けしていきますけど、次の曲だけは唯一、清涼感を感じていただける曲になっています」という言葉の後に続くのは「Stand by you」。このライブ唯一のバラード曲をしっとりと聴かせると一旦ステージを後にする。

 続く幕間のムービーはツアータイトルにちなんだアメリカンホームコメディ風の映像に、会場ごとに異なるゲスト声優を迎えてアフレコをしていくという声優・水樹奈々ならではの企画。愛知公演のゲストには堀内賢雄が登場。さまざまなアニメキャラのネタや演技そっちのけで会話を始める2人の掛け合いに、会場には笑い声の代わりに拍手が何度も鳴り響いた。

 映像が開けてライブ後半戦がスタートすると、それまでの雰囲気を一転させる激アツなロックナンバーを連発。「FIRE SCREAM」、「UNLIMITED BEAT」を熱唱し、トップスピードで後半戦を駆け抜けていく。

 「ここからも激アツ曲ばかりで、攻めに攻め続けていきたいと思います!」と、ここからさらに激しいライブになることを予告し『DELIGHTED REVIVER』1曲目に収録された、アルバムのコンセプトでもある“エンターテインメントを復活させる”という想いを象徴する楽曲「MY ENTERTAINMENT」を力強く歌い上げる。「アパッショナート」ではステージ上に炎のナイアガラが降り注ぎ、続く「ETERNAL BLAZE」で“待ってました”と言わんばかりにペンライトが激しく揺れ、会場のボルテージは最高潮へと達する。

 「これからも楽しいこと、たくさんの夢をみんなで追いかけていきましょう!」と告げ、ライブ本編の最後を飾ったのは水樹が作詞を手がけた「全力DREAMER」。ノスタルジックなメロディーに乗せた前向きな応援ソングを会場全体に届け、ステージを後にした。

 鳴り止まない手拍子のアンコールに、ツリーハウスの秘密基地をイメージしたトロッコに乗った水樹がアリーナに登場。笑顔で観客に手を振りながらアリーナを外周し「レイジーシンドローム」、「STAND UP!」を歌唱。定番の“シャッス”コールでは、声が出せない中でも水樹の掛け声に観客は大きく拳を突き出して応え、両者の掛け合いを楽しんだ。

 そして、今回のツアータイトルにもなった水樹作詞作曲の「HOME」を、今年1月に開催したライブ「NANA MIZUKI LIVE RUNNER 2020 → 2022」の映像をバックに披露。同ライブで感じた気持ちを歌にしたという楽曲を、会場中を埋め尽くすブルーのペンライトで作られた“地球-そら-より熱く青い海“の光景を前に、幸せを噛み締めるような表情で歌った。

 ここで、水樹から嬉しい発表が。「NANA MIZUKI LIVE HOME 2022」の本日行われたツアーファイナル公演と、今年1月に開催した「NANA MIZUKI LIVE RUNNER 2020 → 2022」2日目の模様を収録した映像商品『NANA MIZUKI LIVE HOME × RUNNER』の発売が決定。さらに、水樹の誕生日である来年1月21日と22日の2日間、さいたまスーパーアリーナでライブを開催することも明らかとなり、ファンとともに喜びをあふれさせた。

 アンコールラストには「No Limit」を披露。ステージを端から端まで移動しながら観客との掛け合いを楽しみ、まっすぐ伸びやかな歌声を会場全体に届けていた。

 まだまだ興奮冷めやらぬ観客の拍手に、「戻ってきちゃった!」と再度ステージ上に姿を現した水樹。「こんなに高まった気持ちのままじゃ帰れません! もう一曲歌ってもいいですか?」と観客に問いかけると、一際大きな拍手が鳴り響いた。「みんなのモヤモヤした気持ちを吹き飛ばすような、自然と笑顔になれるような曲を歌いたいと思います!」と話し、ジャケット写真を名古屋で撮影したという、2014年発売の12th Album『SUPERNAL LIBERTY』から「Fun Fun★People」を披露。最後にパワフルで陽気な歌声をファンへと送るとこの日一番の盛り上がりの中でライブは幕を下ろした。

 前回の「NANA MIZUKI LIVE EXPRESS 2019」ファイナル、千葉・ZOZOマリンスタジアム公演から、実に1035日ぶりの開催で、“エンターテインメントを復活させる”という思いを込めたアルバム『DELIGHTED REVIVER』を引っ提げて行われた今回のツアー。その思いを体現するかのように、前に進もうと思わせてくれるポジティブな楽曲や、応援ソング、そして激アツ曲に溢れたセットリストでファンを楽しませてくれた。ツアーに参加したファンにとっても、この熱いライブこそが自分達の居場所だと思い出させてくれたツアーになったのではないだろうか。

 また8月6日におこなわれた、今ツアーのさいたまスーパーアリーナ公演のセットリストを元にしたプレイリストが各音楽サイトにて配信されている。

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