左から村瀬歩、石川界人、土屋神葉、近藤隆、黒柳トシマサ監督

 声優の土屋神葉(双葉翔太郎役)、石川界人(美里良夜役)、近藤隆(築館敬助役)、村瀬歩(月雪ましろ役)、黒柳トシマサ監督が2日、都内で行われた『映画 バクテン!!』の公開初日舞台挨拶に登壇し、本作の魅力や制作の舞台裏を明かした。

 「バクテン!!」は宮城県岩沼市を舞台に、『男子新体操』と出会い、強烈に魅せられた少年・双葉翔太郎が、私立蒼秀館高等学校(通称:アオ高)男子新体操部に入部。ときに挫折し、すれ違うも、共に仲間と過ごす毎日の中で一つの目標に向かって、チームでひた走る姿を描いた「スポ根×青春群像劇」。TVアニメ最終話放送後に映画化が発表され、7月2日に公開された。

 最近SNSを始めた土屋は、完成披露試写会の時に「作品のいいとこ伝えるの上手すぎて感動しながら勉強させていただいておる!!」という石川のツイートを見て、公開初日を迎えた今日、『映画 バクテン!!』を観た人たちのツイートを見るのが楽しみだと笑顔をのぞかせる。その“名ツイート!?”について石川はお客さんの感想がすごく的確だと感じ、素直な気持ちをツイートしたと明かした。

 近藤は本編に触れたくて仕方ないといった様子のテンション感。収録は土屋と一緒だったことが多かったという。近藤は全て録り終わり片付けている時に“この作品良かったね”、という言葉に共感し、印象的だったと振り返った。

 村瀬が本作の魅力を語っている最中に石川のミサンガが切れて落ちるハプニングもあったが、ミサンガということもあり、願いが叶うということにちなんで、本作の大ヒット祈願する場面も。

 テレビシリーズの最終話で“エモさ”を感じたという村瀬。映画に携わることができる喜びを噛み締めながら、台本を見た時に衝撃が走ったという。このコメントに上映への期待が高まった。

 これまで男子新体操に触れたことがなかった黒柳監督。実際の男子新体操に触れて感動したという。監督は男子新体操を観た時の感動をどう落とし込むのか考え、モーションキャプチャーを取り入れ、それだけでは硬さがあったところをアニメーションで補完したと説明。繊細な指先の動きまでこだわったと制作背景を明かした。

 カメラワークについても監督はマットにカメラがあったらどう撮れるのか、というのがアイデアとしてあった。実際にマットにカメラを置いて試したが、それは着地での衝撃があったことで諦めたが、上空からあらゆる角度に設置することで作品の臨場感に繋がっているという。

 村瀬は月雪ましろについてアンビバレンス(両面感情)なものを抱えている人物だと分析。冷たい部分もあるが温もりも感じられる役だとアニメシリーズを通して感じた。

 石川は自身が演じる美里良夜について、高校生という年代で作品で起こるトラブルとどう向きあっていくのか、どんな人が自分に手を差し伸べてくれるのかという青春時代に経験できていることがかけがいのないものだと説明。映画内でも成長していく美里を感じながら演じていたと語った。

 土屋は、キャラそれぞれが困難をどのように乗り越えていくのかが核になっているという。前向きさがある、勇気をもらえる作品になっていると魅力を語ると、近藤はインターハイの先の話も描かれていく本作。いろんな葛藤だったり、さまざまな成長があるという。期待して観てもらいたいと意気込みを話した。

 黒柳監督は「バクテン!!」について青春のひたむきさを描いてきたと話す。人生は続いていくなかでの、青春時代は通過点だと感じ、その瞬間瞬間を一生懸命やるしかない。青春という言葉はカタチを変えて僕らの中で続いていくものだということを描きたかったと、今の気持ちを述べた。

 フジテレビが東日本大震災から10年となる2021年に、岩手県・宮城県・福島県の被災 3 県を舞台にした アニメ作品を発表し、アニメツーリズムを推進するプロジェクト「ずっとおうえん。プロジェクト 2011+10…」の一環として制作されたこの作品。

 土屋は、この作品に担うものの大きさや伝えたいことの重さに圧倒された。様々な想いや願いがポジティブに込められているというこの作品を末長くたくさん愛してほしい、とメッセージを伝え、最後に「楽しんで!」という言葉を残し、初日舞台挨拶は幕を閉じた。【村上順一】

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