INTERVIEW

乃木坂46久保史緒里

舞台「桜文」で初の花魁役「これまでの私とは違う一面を出したい」


記者:村上順一

写真:提供写真

掲載:22年06月27日

読了時間:約6分

 乃木坂46の久保史緒里が、9月に幕が上がる舞台『パルコ・プロデュース2022「桜文」』(PARCO劇場)で主演を務める。明治中期の吉原を舞台に、吉原随一の美貌を誇る桜雅(おうが)花魁を巡る美しく、そして哀しい不思議な愛の物語。その桜雅を演じるのが久保。古き良き日本の幽玄を美しく描く脚本家・秋之桜子氏と、俳優の心の奥に眠っている感覚を炙り出し表現させる演出家・寺十吾氏によるタッグのもと、自身初の花魁役で新境地を見せる。どのような思いで臨むのか。※動画では原動力について語ってもらった。【取材=村上順一】

初めての花魁役

――出演が決まっての心境はいかがですか。

 花魁役を演じるのは初めてです。豪華絢爛なイメージがあったので、それを守りながら物語を進めていけるのか不安もありますが、初めてのことに挑戦できる嬉しさもあります。これまでの私とは違う一面、今まで見せていないところを見せられることがすごく嬉しくて、この作品に懸ける思いは強いです。

――違う一面を見せたい思いがあった?

 乃木坂46加入当初はか弱いイメージと言われることも多かったんですけど、ラジオのパーソナリティをやらせていただくようになってから、自分が出せなかった部分が出始めてきたので、お芝居という面でも新しい一面を出したいと思っていました。

――花魁の衣装を着てみていかがでしたか。

 すごく重くて楽ではないんだなと思いました。でも、袖を通すことで気持ちも入りました。

――本番までにどのような準備をしていきたいですか。

 まだ時間があるので、花魁に関する知識を蓄えていきたいです。桜雅の艶っぽさは自分が発信していかないといけないので、どう作っていけるかというのがポイントだと思っています。お稽古の中で自分なりの桜雅を作り上げていきたいです。

――花魁を演じるにあたって今、参考にされている方はいますか。

 映画『さくらん』で粧ひを演じられた菅野美穂さんです。静かな佇まいなのに吸い込まれる感じがすごく素敵で、そこにいるだけで引き込まれる、自然と目がいくような存在感を目指していきたいです。

桜雅を演じることが決まった乃木坂46久保史緒里(提供写真)

桜雅の第一印象は苦しい役

――桜雅の印象は?

 苦しい心情を表現する役というのが第一印象です。桜雅は「笑わない」のでそこが鍵になってくると思っていて、ここまで苦しい役を演じさせていただくのは初めてです。これまで出演した舞台は共演者の皆さんとの空気感を大事にしていて、周り方の声によって役が作られていった感覚がありました。今回も初日の幕が開くギリギリまで皆さんと作り上げて自分を信じて舞台に立ちたいです。

――座長という立場になりますが、グループを離れての活動はどのような思いがありますか。

 新しい現場はちょっと苦手で、舞台とか長期間のお仕事をさせていただく時は、本当の自分を出すまでに時間がかかるんです。『桜文』は20歳になってから初めての舞台で、これまでは共演者の皆さんに甘えてきた部分がすごく多く支えられてきました。皆さんのお力を借りつつ、自分がやるべき事をやって、迷惑をかけないようにしたいです。今回は大先輩の方が沢山いらっしゃるのですごく刺激を受けると思いますし、学ぶことも多いと思います。なので、自分から積極的に聞きにいったり、相談しにいきたいです。

――舞台での経験を通してご自身の変化を感じていますか?

 暑い時に暑いと言えなかったり、自分の思いを口にするのがすごく苦手なんですけど、それは舞台でもそうで、自分の考えていることを表現することがすごく怖かったんです。間違っていると言われることが怖かったのですが、まずやってみるという精神がだんだん身についてきました。

舞台の魅力、登り続けるかは自分次第

――舞台への興味はもともとあったんですか。

 初めての舞台『3人のプリンシパル』をやらせていただいた時に、自分の中で表現することの楽しさを知ったのが興味を持ったきっかけでした。

――舞台の魅力をどんなところに感じていますか。

 毎日同じシーンをやっても、毎回違う感情が湧いてきたり、本番初日の幕が開いてからも、違う表現が見つかったりします。小屋入りしてから全く違う演じ方が出てきたこともあって、それがすごく面白くて、最後まで登り続けていけるかどうかは自分次第というところも楽しいです。お客さんの反応がすぐに返ってくるところも魅力です。

――PARCO劇場での公演ということで、劇場のファンの方や、寺十吾さんの演出のファンの方もいらっしゃいますが、その方々にはどのような姿を見せたいと思っていますか。

 アイドルというフィルターをかけずに見ていただけるかは一番難しいことでもありますし、自分がやらなければいけないことだと思っています。観に来ていただいた方に純粋に舞台を楽しんでいただくためには、花魁という役の所作などを突き詰めていくのはもちろんですが、自分が作品の違和感にならないように、作品にいかに溶け込めるかを大事にしたいです。

――寺十さんの作品は見たことは?

 昨年、グループの後輩の筒井あやめちゃんが出演していた舞台の演出もされていたのですが、同じ時期に私も舞台本番中で観に行けなかったので、寺十さんはどういう方なのか印象を聞きました。あやめちゃんは「なぜそう思ったのか、という細かい心情を考えながら作ってくださる方」と教えてくれたので、それを聞いて今からすごく楽しみです。

桜雅に扮する乃木坂46久保史緒里。公開されたビジュアル(提供写真)

同期から「色気がないよね」とよく言われるんです(笑)

――乃木坂46のメンバーの方には今回の役についてお話しされましたか?

 舞台に出演することは伝えましたが、その役が花魁というのは話していないんです(※取材時)。全然違う私をみんながどう受け止めてくれるのか、反応が楽しみです。同期のメンバーから「色気がないよね」とよく言われるんです(笑)。なので、「久保がこの役を演じてるの!?」と驚いてくれるんじゃないかなと思います(笑)。

――先程、不安もあると仰っていましたが、久保さん流のプレッシャーの跳ねのけ方はありますか。

 私は緊張しいなので、ライブの前は自分の心臓の音を聞くということをやっています。左胸に手を当てて、その時の心臓の鼓動を覚えておくと安心します。「大丈夫だ」と自分に言い聞かせることもできるんです。

――それはいつ頃からやられているんですか。

 3年前の乃木坂46版ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』2019の時からです。アクションシーンや早着替えがあって大変だったので、自分を落ち着かせることが重要でした。毎回「全員で無事に終えられますように」と念じながら左胸に手を当てていたんですけど、それによって落ち着くことができました。

――「桜文」は手紙が鍵になっていますが、久保さんがもらった手紙で印象的なものはありますか。

 中学時代の後輩が、いまも手紙を送ってくれるんです。その子はピアノを頑張っているんですけど、自分が参加したピアノコンクールのフライヤーや海外に勉強しに行った時の写真を手紙に入れてくれたり、頑張っているよと近況報告してくれるんです。その手紙を読むたびに心が温まりますし「私も頑張らなきゃ」という気持ちにさせてくれるので特別な手紙です。

――最後にこの舞台を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

 普段とは違う私に皆さん驚かれると思うんですけど、私もこの挑戦を楽しみにしていて、自分が成長する上でこんなに素敵な機会はないと思っていますし、この経験が成長に繋がればいいなと思っています。いろんな場面で出てくる感情を舞台上でぶつけていきたいです。

(おわり)

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