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吉柳咲良と奥田いろは(乃木坂46)が、5月16日から新国立劇場 中劇場で上演中のミュージカル『ロミオ&ジュリエット』に出演。Wキャストでジュリエットを演じる。何度も上演されてきたウィリアム・シェイクスピアの名作『ロミオ&ジュリエット』。ロミオとジュリエットのまっすぐな愛、悲恋を描いた同作をミュージカルで表現。演出は小池修一郎(宝塚歌劇団)氏、音楽監督は太田健氏(宝塚歌劇団)が務める。インタビューではジュリエットに臨む姿勢から、作品のストーリーと掛けて、2人が「愛してやまないもの」について話を聞いた。(取材・撮影=村上順一)
オーディションで感じたそれぞれの思い
――出演が決まった時の心境は?
奥田いろは 本当に夢みたいで、みなさんに発表されるまで、信じられなかったです。すごく大好きな作品ですし、知れば知るほど、もっと好きになり、ジュリエットに決まったときは本当に嬉しかったです。
吉柳咲良 オーディションを受けさせていただいたのですが、その時から自分とジュリエットにギャップのようなものを感じていました。作品は大好きですし、ミュージカル版の楽曲もすごく好きなんです。曲を歌いたいという気持ちからオーディションに参加して、いざ受けてみたら「私じゃないかもしれない」という不安が大きかったので、まさか受かるとは思っていませんでした。決まったときは「なぜ!? 私?」と理由を聞いてしまったくらい(笑)。今はどういう風にジュリエット像を作っていくのか、いろはと話し合って深めている最中です。
――オーディションは手応えがなかった?
吉柳咲良 なかったです。ダメだったなと思いながら帰りました。オーディションのときに小池先生からいろいろご指摘をいただいたので、それもあって「私ダメかも」って。今は稽古で小池先生に納得していただけるようなお芝居をしなければと思っています。実は、ミュージカルのオーディションを受けたことがなかったので、緊張感もありながら新鮮な気持ちで臨んでいました。ダメかもしれないと思いながらも、ここで終わるのは悔しいなって。
――奥田さんはどのような姿勢でオーディションに臨まれていたのでしょうか。
奥田いろは 私はミュージカルのオーディションを以前受けたとき、緊張しすぎて声が出なくなってしまいました。練習していったものが全く出せずに悔しい思いをしたので、今回は自分を信じて、練習してきたものを出すのではなく、曲に入りこんで、楽しい曲なら楽しんでやろうという気持ちでした。オーディションに参加できること自体がすごく嬉しく、その中でご指導していただくこともあったので、それを全部吸収してやるぞ! という気持ちで臨みました。
――お互いの印象は?
奥田いろは 咲ねえはよく喋りますし、面白いです。そして、芯が強い方。喋るのも上手ですごく尊敬しています。私と真逆な部分が多いなと思っているので、お互いに良さを引き出していけたらいいなと思っています。
吉柳咲良 いろははすごく可愛いです。最初は歌練習の前後で挨拶をさせていただいた程度で、2回目に会ったのはビジュアル撮影の時だったのですが、いろはから「なんて呼んだらいいですか?」と聞かれて、「じゃあ、咲ねえと呼んでもいいですか」と言われた瞬間に、私はこの子を一生守って行こうと決めました(笑)。本当にピュアでいろはを見ていると嫌なことを忘れられるんです。目がキレイで内なる強さをもっていて、力をしっかり感じるのが、かっこいいなと思っています。稽古を通していろはのいろいろな姿を見られるのがとても楽しみです。
2人が思うジュリエット像
――今回演じるジュリエットはどのように捉えていました?
奥田いろは 私はジュリエットに2つの面があると思っています。一幕と二幕の間でジュリエットはとても成長していきます。まっすぐな少女から、愛や悲しみを知って、自分で大切なものを守ろうとする強さを持っていく女の子だと思いました。
吉柳咲良 ジュリエットはピュアですごくかわいらしいです。守られて育ってきた女の子なので、何も知らない純粋な子だけど、内に秘めているものが強い女性だと思いました。とてもロマンチストで、抱いている夢が現実になった時に実現する力を感じました。いろはがジュリエットを演じることにすごく納得しました。
――吉柳さんご自身の性格、特性はどのように分析されていますか。
吉柳咲良 私はちょっと意思が強すぎると思っています(笑)。過去にピーターパンを演じていたこともあり、どこか男の子に近い部分があると思います。なので、私にはないものを持っているジュリエットは羨ましいと思う部分が多いです。
――奥田さんはジュリエットと自分が重なる部分はありますか。
奥田いろは 私はまだこの世界のことを何も知らないですし、夢見がちなところがあるので、そういうところは一幕目のジュリエットと似ているなと思いました。
――さて、歌のお稽古も始まっているとの事ですが、今の手応えはいかがですか。(※取材時)
奥田いろは ミュージカルの歌い方というのが初めての試みでした。ゼロから作り上げていったものなので、いま成長を自分自身でも感じられています。そして、より歌うことが好きになりました。楽曲がとても美しいので、すごく楽しいですし、何度も歌って、それを聴いてというのを繰り返しやっています。
――ミュージカルとポップスでは歌い方の違いをどのように感じていますか。
吉柳咲良 まず発声法から違います。役が噛んでいるので、自分が歌うというよりも、その役になって歌うというのが、大きいです。セリフが歌になっているものなので、そこに感情を乗せるというのは、ミュージカルならではだと思っています。
奥田いろは 音域もすごく広くて、いつも以上に高い音を出すので、全然違うなと感じています。
吉柳咲良 『ロミオ&ジュリエット』の曲はすごくキーが高くて、女性のキーだということをすごく感じています。また、どうしてこんなにいい曲ばかりなのと思うくらい、一曲一曲がとても素晴らしいので、覚えるのも楽しいです。それを自分が歌えるというのがすごく嬉しいです。
――お二人は声質も違うので、公演によってまた違った歌が聴けそうですね。
吉柳咲良 はい。ニュアンスの違う歌を聴いていただけると思います。
――ジュリエットを演じるにあたり、お2人が意識されているところは?
奥田いろは ジュリエットは若さから出るエネルギーがすごいと思っていて、私はジュリエットと年齢が近いので、そこは負けないようにガツンと出していきたいます。そこに少し自分の要素も混ぜつつ、できたらいいなと思っています。
吉柳咲良 歌を聴いてほしいです。私は歌が大好きで、歌への想いがとても強くあります。普段の私を知っている方々には、こんなこともできるんだとギャップを見せられたらと思っていますし、幅の広さを見せていきたいです。
2人が愛してやまないものとは?
――良い意味でプレッシャーがあると思います。ちなみに吉柳さんは『ピーターパン』などミュージカル経験はありますが、今でもプレッシャーは感じられますか。
吉柳咲良 いまだにプレッシャーはあります。今作でももちろん感じていて、それはさまざまな方々が演じられてきていて、新しいものをゼロから作り上げるのではなく、これまでこの作品を愛してくださっている皆様への期待を裏切れないというのが大きいです。ただ、正解はないと思っていて、私たちは私たちの『ロミオ&ジュリエット』を作り上げていくべきだと感じています。
――プレッシャーに打ち勝つ方法は?
吉柳咲良 稽古中に少しずつ慣れてきて、キャストの皆さんと仲良くなっていくことで、プレッシャーが弱くなっていくところはあります。でも、本番は舞台に立つまでずっとプレッシャーを感じていて、始まる瞬間まで胃が痛くなるくらい緊張しています。ただそれを逆手にとって、緊張を感じられてることがいいと思うようにしていて、それも楽しむしかないと思っています。
――奥田さんは不安やプレッシャーなどを払拭する方法は?
奥田いろは ライブで1人で歌うときなど、私の歌が好きだと言ってくださる方の期待に応えるのはとても緊張するのですが、不思議なことに曲がかかると、緊張がスッとなくなるんです。ここまで頑張ってきた自分を信じてあげれば、プレッシャーにも打ち勝てるのかなと思っています。
吉柳咲良 不安やプレッシャーは拭えないですが、今回ダブルキャストなので、お互いに支え合っていけますし、それがすごく救いにもなっています。
――ダブルキャストは稽古時間が半分になってしまうから大変といった声も聞きますが、そんなことはなくて。
吉柳咲良 私はそう思ったことはないです。人のお芝居を見るのもすごく勉強になりますし大事なんです。
奥田いろは 人のお芝居を見て感じることもいっぱいあります。
吉柳咲良 もう勉強し放題です!
――さて、『ロミオ&ジュリエット』といえば、愛し合う2人の悲恋のストーリーですが、お2人が愛してやまないものは?
奥田いろは 愛してやまないものはナンです。私、好きな言葉があって、「ランチタイムはナンお代わり無料」なんです(笑)。その言葉を見るだけでとても幸せになりますし、自宅の部屋にもその旗を飾ってあります。また、自分でラグを作りにいった時もナンの形のラグを作りました。
吉柳咲良 それはすごい(笑)。私もナンは好きですけど、愛のレベルが違ったからビックリしました。ナンの形をしたラグを作る人は聞いたことがないですから。
奥田いろは この前、咲ねえにラグの写真を見せたら、本当に驚いていて(笑)。
――あはは(笑)。そんな吉柳さんの愛してやまないものは?
吉柳咲良 私は音楽です。音楽がないと生きていけないです。常に音楽は聴いていますし、小さい頃からダンスを習っていたので、音楽に触れる時間も長く、もし音楽がない環境で生きていけと言われたら、相当つらいです。電車などで移動するときにイヤホンを忘れてしまったときは本当につらいです。いろはのナンと同じくらい音楽を愛しています。
――最後に舞台を楽しみにされている方へメッセージをお願いします。
奥田いろは 今の私たちにしか出せないエネルギーをお芝居や歌に込めて、楽しみにしてくださっている皆さんにたくさん届けたいと思っています。私たち2人は違う良さを持っていると思うので、いろいろな組み合わせで観ていただけたら嬉しいです。
吉柳咲良 長年愛され続ける作品を新キャストでやることは、私たちも未知数なところがありますが、何度でも楽しんでいただける舞台になると思います。そして、楽曲が本当に好きで、私たちが愛を持ってジュリエットを演じる姿、歌う姿を生で体感してほしいです!
(おわり)
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