「ポカリスエット」新CMに抜てき、新世代アーティストimaseの素顔とは
INTERVIEW

imase

「ポカリスエット」新CMに抜てき、新世代アーティストの素顔とは


記者:村上順一

撮影:

掲載:22年04月29日

読了時間:約7分

 岐阜出身の21歳の新世代アーティストのimaseが「Pale Rain」を配信リリースした。音楽活動開始わずか 1 年で、TikTokに投稿したオリジナル曲の総再生回数が11億回を突破しティーンから絶大なる人気を得ている。メジャーデビュー曲「Have a nice day」は Spotify 日本バイラル週間チャートで1位を獲得するなどチャートを席巻。 4月2日に配信された「Pale Rain」は2022年春の健康飲料「ポカリスエット」新CM“羽はいらない”篇主題歌に起用。音楽活動開始わずか1年、メジャーデビュー間も無くでの大抜擢となった。今作はラッパー/プロデューサーPUNPEEとゲーム『UNDERTALE』の開発者で作曲家のToby Foxを加えた3組のアーティストの共作。 インタビューでは、音楽を始めた経緯から、現在の心境までimaseの素顔に迫った。【取材=村上順一】

何が今起きてるんだ?

「Pale Rain」ジャケ写

――imaseさんの楽曲がTikTokでバズりましたが、今のこの状況をどのように受け止めていますか。

 全然現実味がないです。1年前を振り返るとまだオリジナル曲も作っていなかったですし、「何が今起きてるんだ? 夢なのかな」と思うこともいまだにあります。

――お名前にはどういう意味が込められているのですか。

 本名です。もうローマ字でいいやみたいな(笑)。こんなことになるとは思ってもいなかったので、特に深い意味もないんです。

――けっこう珍しい苗字なのでは?

 そうですね。全国でも2000人くらいしかいないみたいで、僕も地元でしか同じ苗字の人には会ったことがないです。

――音楽経験は?

 僕は3人姉弟の末っ子で、18歳離れている姉がピアノの先生をしていましたが、特に教えてもらったこともなくて、自分は学校の授業で鍵盤ハーモニカを習っていたくらいの経験値です。

――末っ子ということは可愛がられたのでは?

 そうですね(笑)。でも、姉とはけっこう歳が離れているので、喧嘩になっても負けてしまう。それで悔しいという、反骨精神みたいなものは養われました。

――あまり音楽経験がない中で機材を揃えて始めるわけですが、最初は大変だったのでは?

 そんなに多くの機材を所有しているわけではなくて、徐々に揃えていったので大丈夫でした。マイクも去年はUSBで繋ぐ簡易的なものだったのですが、今年に入ってからオーディオインターフェース(PCに録音するための機材)を購入して、グレードアップしていきました。

――楽曲を作るようになったきっかけは?

 もともと好奇心は強い方で、なんでもやってみるようなタイプなんです。友達がギターを始めて、僕もやってみたいなと思ってアコギの初心者セットをネットで購入しました。そのあとTiKTokでオリジナル曲を投稿されている方を観て、「僕も曲を作りたい」と思ったのが最初でした。その中でも和ぬかさんの「寄り酔い」は印象的でした。確か和ぬかさんは一番最初に投稿した動画がバズったんですけど、一発目からバズるなんて「そんなことがあるんだ」、と僕の中で衝撃がありました。

――音楽はもともと好き?

 もともと歌うことがすごく好きで、カラオケで上手くなりたくて、録音して聴いて、というのを繰り返していました。

――上達のコツみたいなのはありますか。

 当時、ネットで調べながら歌の練習をしていたんですけど、自分の声質にあった曲というのがあるみたいで、まだまだ僕も上手くはないんですけど、自分の声質に合った曲を見つけて練習するのが、上達への近道なのかなと思います。その中で僕が張るような歌い方をしてもあまり格好良くはないと思っていて、自分はR&Bのようなリズムのある曲の方が合っていると思いました。

――『~夢のオーディションバラエティー~ Dreamer Z』(テレビ東京系)にも参加されていましたが、それはどんな経験になりましたか。

 それまで人前で歌ったことがなかったので、感じたことのない緊張感も味わえたことがすごく良い経験になりました。しかも審査していただいた方々がすごい方ばかりだったので、本当に緊張しました。

――その時に嬉しかったことは?

 自分の歌い方や、こうやったらバズる、という僕が意識していたところを的確に言っていただけたことです。それが自信にも繋がりました。

「Pale Rain」の歌は自宅でレコーディング

――そして、今回「Pale Rain」がポカリスエットのCM曲に決定しましたが、このお話を聴いた時、どう受け止めました?

 「えっ!あのポカリスエット!?」みたいな。大きすぎる出来事だったので、自分で大丈夫なのかな、という不安も一緒に生まれました。でも、CMの監督さんとお話しさせていただいて、「自由に作っていいよ。失敗してもいいから」と言って下さって、その言葉で不安もなくなり、やる気がより高まりました。

 CMのテーマに“FIND MY WAY”というのがあるんですけど、若い人たちが言いたくても言えないこと、口をつぐんでしまうようなことを表現して欲しい、というリクエストをいただきました。自分の気持ちとリンクするテーマでもあったので、すごく作りやすかったです。

――PUNPEEさんとの共作になっていますが、どのような作り方を?

 最初のメロディラインはPUNPEEさんが作って下さって、そこに僕が作った歌詞を当てはめていきました。トラックはToby Foxさんで、そこからPUNPEEさんがアレンジをしていくという流れでした。初コラボでこのお2人というのも凄すぎて。

――どんな会話のやりとりがありました?

 僕はPUNPEEさんとのやりとりだったのですが、歌詞は最初に作ったものでほぼほぼ決定しました。歌い方の部分で「もう少し出だしは少し息を含んだ方が良い」、というアドバイスをいただいたり、途中でコードが変わるんですけど、どんなスピード感で歌ったら良いのか、というのは話し合いました。

――このコラボで気付きや発見はありましたか。

 僕がアレンジするピアノは跳ねるようなリズムが多いんですけど、Toby Foxさんのピアノのメロディラインは伸びるような感じがあって、こういうのも僕に合うんだなという発見がありました。

――そういえば楽曲を作る時、ネットで「カッコいいコード進行」で検索して作っていたとお聞きしていますが、今もその作り方を?

 いえ、今は勉強して歌メロからコード進行を考えていくスタイルになりました。ネットで調べて作っていたのは最初の2〜3曲くらいですね。最初にメロディを作れるということは、ある程度コードも頭の中で鳴っていると思うのですが、なかなかメロとコードが合わなくて最初はかなり苦戦しました。

――レコーディングはどんな感じでした。

 歌は宅録なんです。皆さんすごくクリエイティブで、自宅で歌っている僕の歌を気に入って今回オファーをいただいたので、「家でレコーディングしたものを送ってほしい」とリクエストをいただいたので、自宅でレコーディングすることになったんです。

――空気感を大切にしたレコーディングだったんですね。タイトルはimaseさんが考えて?

 はい。25個くらい考えました。CM撮影の現場にも行かせて頂いて、映像の雰囲気だったり、雨の感じ、空気感を加味して、メロディにも合う言葉を探って出てきたのがこの「Pale Rain」という言葉でした。

――他にはどんなタイトル案が?

 CMの中に登っていくようなシーンがあったんですけど、それが滑走路のようにも見えたので、「RUN AWAY」もいいなとか。あと、過去には大勢の人に焦点を当てたCMだったのですが、最近は1人に焦点を当てたCMになっているので、そこに焦点を当てた「MAIN」というのもありました。

音楽初心者でもここまでできるんだという証明

――今、音楽のどんなところに面白みを感じていますか。

 今回の「Pale Rain」もそうですけど、新しい自分を発見できた時です。自分が新しいと思える曲を作れた時が、今一番快感な時かもしれないです。

――それが活動の原動力にもなって。

 そうですね。でも、まだ心が折れるような壁にも当たっていないので、これからそういった壁が出てきた時に、原動力と呼べるものが出てくるかもしれないです。

――とはいえ、心が落ちたこともあったのでは?

 あるとしたら、TiKTokに投稿してなかなかバズらなかった時は、「ダメかもしれない」と落ち込みました。最初はちょっとしたバズが3曲くらい起きていたんですけど。それで僕の中で「もう終わった...」と開き直って、PlayStation4を購入してゲームを始めて(笑)。

――音楽とは全く違うことをしていたわけですね。

 はい。その時にオーディションのお話をいただいて、転機が訪れました。歌い方にも変化が生まれました。これまでの歌い方は地声と裏声をミックスしたような感じだったのですが、あえて裏声だけの発声だけにしてみたところ、それが曲と上手く噛み合って。どこに打開策があるかわからないなと思いました。

――全く違うことという意味では映画や小説を楽しむ、というのもあると思います。imaseさんが好きな映画や小説は?

 去年から割と映画は観るようなったんですけど、人に勧める映画を選ぶとしたら、まずは『インターステラー』です。これは絶対に見ておいた方が良い映画の一つだと思います。あと、最近観た中では『ANNA』や韓国作品の『タクシー運転手 約束は海を越えて』という作品も面白かったです。

――今後の展望は?

 まずは目の前にあることをしっかりやることです。あとはストリーミングで1億再生を目指したいというのもあります。そして、僕みたいな音楽初心者でも、ここまでできるんだ、というのを証明できる人になりたいです。

――ライブでここに立ちたい、といった目標は?

 日本武道館を目指したいです。でも、まだライブ経験もないので、まずはライブの数を増やしたいです。

(おわり)

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