[写真]氷室京介の真相が映像に

氷室京介。ファイナルコンサートは今年発表される予定だ

 長年愛したミュージシャンの引退ほど悲しいものはない。ファンからすればあの頃から保ち続けた青春がその瞬間に終わるのである。なんと酷いことか――。昨年、衝撃が走った氷室京介(54)のライブ活動休止発表。聴覚障害や年齢により満足の行くパフォーマンスが出来なくなったことがその理由だった。

 山口県周南市で突如発表し、迎えた横浜スタジアムでの最終公演。2日目の7月20日は肋骨を折りながら満身創痍で熱演。しかし無情にも激しい雷雨で中断、なんとか「ANGEL」を歌った氷室は再演を誓った。その再演となるファイナルコンサートが今年発表される予定だ。

 そうしたなか、横浜スタジアム公演初日の模様を収めたライブ映像作品『25th Anniversary TOUR GREATEST ANTHOLOGY -NAKED- FINAL DESTINATION DAY-01』(DVD,Blu-Ray)が1月21日に発売される。突如の引退宣言から1週間、初めて氷室の口からライブ活動引退の真相が明かされた日の公演だ。

 自身の想いをこの2日間で全て伝えた――。しかし、それを伝える報道内容は十分と言えるようなものではなかった。活字では伝えきれないあの場の雰囲気、氷室の表情が抜け落ちている。改めて映像作品になるとその細部が克明に現れる。氷室の本音が浮かび上がってくるのだ。

不安心を取り除いた氷室の最初の言葉

 この一週間前、山口県周南市の周南市文化会館での公演で氷室が引退を発表したという報道が流れた。正確には「氷室からの卒業」。衝撃が走った。事態を重くみたレコード会社は急いでホームページを更新。「来年予定されているファイナルコンサートをもって“氷室京介”としてのコンサート活動を休止する」と改めた。

 だが情報は限られていた。そのため様々な憶測が流れた。ファンにとっては苦痛の一週間だったに違いない。そうして迎えたのが横浜スタジアムでの最終2DAYS公演だった。氷室から何が発せられるのか、ファンのなかで交差するライブへの期待と不安。開演前にステージ両端のスクリーンから流れた過去のツアータイトルが更に悲しみを呼ぶ。

 終わりを告げられているようで落ち着きがない。しかし、不安に満ちたファンに目覚めの張り手をくらわすように、登場した氷室は「ぐたぐた考えてんじゃねーぞ、めいいっぱい騒ぐぞ」と引っ張った。衝撃の2日間はここからスタートするのである。

 ファンの心には“引退”の2文字しかなかった。ライブ中も涙が止まらない。知らぬうちにライブの世界観に引き込まれその悲しささえもぶっ飛んでしまっても、後半になるにつれてやはり悲しさがこみあげてくるのだ。複雑の想いのなかで時間が過ぎた。アンコールで披露した初期の頃の名曲の数々は無情にも映画のエンドロールで流れるエンドソングのように聞こえた。

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