リアクション ザ ブッタが6日、東京・Spotify O-WESTで東名阪ツアー「リアクション ザ ブッタ Tour 2022」のファイナル公演を開催した。新ミニアルバム『サイレントスーパーノヴァ』を引っ提げ行うというもの。

 「昔の傷、いまも痛む傷、そこに逃げないで向かい合うときに力をくれる、そんな曲を俺は書き続けたいと思っています」――終盤、佐々木直人(Vo/Gt)は迷いのない言葉で伝えた。2020年以降、ライブハウスに立てない日々を余儀なくされるなか、リアクション ザ ブッタは何のために音楽を届けるのかを考え続けてきた。その自問自答の答えを提示した最新ミニアルバム『サイレントスーパーノヴァ』を引っ提げた東名阪ツアー「リアクション ザ ブッタ Tour 2022」のファイナルとなったSpotify O-WEST公演は、いまのブッタが放つポジティヴなエネルギーが、この混沌の時代に光を灯すような晴れやかな一夜になった。

 下手(しもて)から、木田健太郎(Gt)、佐々木直人(Vo/Ba)、大野宏二朗(Dr)が横一列に並ぶという変則的な立ち位置でスタンバイすると、『サイレントスーパーノヴァ』のリード曲「Yadorigi」から幕を開けた。アルバムでバンドの新機軸となったミニマムな音作りによる跳ねるグルーヴがゆるやかにフロアを揺らしていく。「ツアーファイナル!ワンマンライブへようこそ!」。集まったお客さんを笑顔で出迎える佐々木の言葉を合図に、大野が叩くダンサブルなビートと木田のタッピングギターが緻密に絡み合う「Tightrope Dancing」へ。ベースボーカルの佐々木が荒々しいスラップを聴かせながらメロディアスな歌を届けるという華やかなプレイスタイルは、地元・埼玉のライブハウスを拠点にした泥臭い活動のなかで磨き上げてきたものだ。歯を食いしばり、自分が望む未来を掴もうとするアップナンバー「所心表明」、ドープな展開を挟みつつ、自分らしさの在り処を模索する「クローン」へと、序盤は曲を重ねるごとにフロアの熱気がじわじわと高まっていく。

最初のMCでは、昨日の夜は眠れず、マイケル・ジャクソンやビヨンセのライブ映像を見ていたと明かした佐々木。「それも素晴らしいけど、俺はいまの俺として、この3人で、リアクション ザ ブッタの全身全霊をお届けしたいと思います」と意気込みを語った。恋の終わりの後悔をポップで人懐こいメロディにのせた「ドラマのあとで」、柔らかなギターのアルペジオがメロディに寄り添った「You」、時の流れに答えを委ねるようなバラード曲「Colorful」へ。中盤は、ここ数年のブッタの新たな魅力として開花しているミディアム~スローテンポの楽曲が続いた。「今日という日があなたの最高の思い出として頭の中をぐるぐるまわり続けますように」。そんな願いと共に届けた「Coffee Cup」では、「もっと手拍子を聞かせてくれ!」と叫ぶと、まるでバンドとお客さんがセッションするように、その空間にリアクション ザ ブッタというひとつの音楽を作り上げていった。

佐々木直人

『ルナシティ同志社山手』のCMソングとして、バンド史上初めてのタイアップソングである爽やかなナンバー「Overfilm」では、「俺たちも年を重ねてきたけど、また新鮮な気持ちで作れたなって。まだまだ終われねえなと思いました」と佐々木。その言葉にはバンド結成から15年にわたり、地道な活動を続けてきたという感慨も滲む。ブッタのアイデンティティが注ぎこまれたライブアンセム「Fantastic Chaos」に続き、「ひとつにならなくてもいいから、一緒に想いを重ねよう!」と畳みかけた「ヤミクモ」は、コロナ以前はウォーウォーというシンガロングで湧いた楽曲だったが、その代わりにお客さんは力強くこぶしをあげ、メンバーだけのシンガロングに全力で応えていた。

木田健太郎

ライブ終盤はハイライトが続いた。「俺たちは1枚のシーソーの上にいる。俺たちが強く踏み込めば、みんなが上にあがる。みんなが強く踏み込めば、俺たちも上にあがっていける。全部ひとりでやんなくていい。誰かに支えてもらって、助けてもらって、少し前に向けたらいいんじゃないかな」。勢いよく駆け出すようなドラムにのせて、そんな熱い想いを楽曲に込めた「Seesaw」は、バンドとお客さんとが直接向き合うライブハウスという場所にこそ、とても似合う楽曲だった。最後のMCでは、木田が寄り添うギターにのせて、佐々木が言葉を探しながら語りかけた。コロナ禍では精神的にピンチになっていたこと。そのときに近くにいる人の存在に助けられ、ライブハウスで出会う人たちに勇気をもらっていたことに気づけたこと。そして、「俺たちが出会う人は傷を抱えている人が多いなって気づいた。でも俺はそういう人が好きなんです。なぜなら、そのぶん優しい人だと思うから。そういうときに、俺たちの歌がそばにあれば嬉しいし、そういう歌を歌っていきたいと思いました」。そう言って、バンドの決意を込めるように届けたのは、『サイレントスーパーノヴァ』のなかでも、とりわけ飾らない言葉で佐々木自身のリアルな心境を吐露するミディアムバラード「untitled」。歓声はなくても、その瞬間、たしかにバンドとお客さんの心がつながったことを確信できる温かなフィナーレだった。

大野宏二朗

「みんなの拍手ってあったかい音がするよね」と、再び3人がステージに戻ったアンコールでは、「Overfilm」に続き、今度はバンド初のドラマタイアップとして、4月から放送がスタートするTBSドラマストリーム『村井の恋』のエンディングテーマを書き下ろしたことが発表された。タイトルは「虹を呼ぶ」。キャッチーで開放感に満ちた楽曲を初披露したあと、原作を読み、この楽曲に込めたのは「過去の自分を迎えにいこう。どしゃぶりだった自分を光になって未来に連れていこう、そんな曲です」と、佐々木が説明した。コロナ禍の絶望を経て、それでも前に進んでいくことを選んだいまのブッタが生み出す楽曲はこれまで以上に強い説得力を帯びていた。最後はお客さんとの再会の約束を交わす「何度も」で終演。すべてをやり切った。そんな達成感に満ちた表情で3人はステージをあとにした。

リアクション ザ ブッタ

 なお、リアクション ザ ブッタは5月から新たな全国ツアー『リアクション ザ ブッタ Digital Single「虹を呼ぶ」 Release Tour ~ツアーに来い来い、あなたの恋~』を開催する。ライブ中、佐々木は「いまのリアクション ザ ブッタには大きな追い風が吹いている」と言っていた。念願のドラマタイアップはきっと起爆剤になる。勢いにのる2022年のリアクション ザ ブッタにぜひ注目してほしい。(取材・文/秦 理絵)

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