4人組ロックバンドのGLAYが5日と6日、埼玉・さいたまスーパーアリーナで『GLAY ARENA TOUR 2021-2022 "FREEDOM ONLY”』を行った。ツアーは2021年10月にリリースしたアルバム『FREEDOM ONLY』を携えて、2021年11月5日大阪城ホールを皮切りに、追加公演となったさいたまスーパーアリーナまで行うというもの。アルバム『FREEDOM ONLY』の楽曲を中心にアンコール含め全21曲を披露した5日の模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

皆さんに集まっていただいて幸せです!

GLAY(撮影=岡田裕介)

 開演時刻になり、ファンタジックなオープニングムービーが高揚感を誘う。1曲目は戦う人々を鼓舞しながらも、このステージに臨む彼らの姿勢が感じられた「GALAXY」で盛り上げる。ロックとエレクトロの融合したアレンジとテンションを上げるライティングも相まって、一気にライブならではのエキサイティングな空間に。そして、オーディエンスがビートに合わせ手を振り上げる、“GLAYチョップ”がフロアに広がった「Hypersonic」。TERUのピュアな気持ちが綴られた同曲のエンディングでは「小橋の夢 一人ひとり全員幸せにすることです」とメロディに乗せ、オーディエンスに届けた。

TERU(撮影=田辺佳子)

 そして、懐かしいナンバーから「いつか」、最新アルバム『FREEDOM ONLY』に収録されている冬の情景を色濃く感じさせてくれた「Winter Moon Winter Stars」。緩急のあるアレンジでドラマチックに展開。ステージ上も炎が揺らぎ、パフォーマンスを盛り立てる。そして、TAKUROの叙情的なギターソロから約25年前のナンバー「月に祈る」へ流れ、大きな盛り上がりを見せた。

TAKURO(撮影=田辺佳子)

 TERUは「(ライブを)決行させていただいて、皆さんに集まっていただいて幸せです! 後悔させないようにするので最後まで楽しんでください」と話し、「漂えど沈まず」を届けた。GLAYの奏でる音に、じっくりとオーディエンスも耳を傾ける。

 まさにコロナ禍という状況下で制作されたことが伝わってくる、不穏な空気を感じさせるギターアンサンブルが印象的な「BAD APPLE」。ステージセットの巨大な樹木に実るように設置された球体は、妖艶な赤色で染まり、楽曲のイメージをより立体的に表現。エンディングに差し迫るとセットは新緑、赤い実は林檎を想起させる変化を見せた。

 ダウナーな雰囲気を作り上げた「Tiny Soldier」は、TERUの表現力の高さ、色気をを全面に押し出したかのような楽曲。ここまでとはまた違ったテイストを提示。続いて、御伽の国に迷い込んでしまったかのようなキーボードのフレーズから「Holy Knight」へ。アルバム『FREEDOM ONLY』の世界観、その深淵と導いてくれるようなセクションだった。

 緊張と緩和、内側から外側へと解放されていくような感覚を与えてくれた「シキナ」。オーディエンスのクラップも楽曲の一部となり、至高の一体感を作り出していた。「BAD APPLE」から「シキナ」までのセットリストの流れも素晴らしく、楽曲のもつ情景がより鮮明になったように感じた。

あなたたちがいることが僕らの救いになりました

 TERUが「声は出せないけど暴れていこうぜ!」と煽り、「SHINING MAN」でライブは後半戦へ突入。クラップでのコール&レスポンスで楽しませ、「Runaway Runaway」へと流れ込んだ。疾走感のあるナンバーにオーディエンスによるGLAYチョップのシンクロ率の高さを見せつけ、JIROは「初号機(ベース)を連れてきたよ。佐久間(正英)さんも見ててくれ!」と叫び「SHUTTER SPEEDSのテ-マ」をエネルギッシュに歌い、ライブ定番曲の「彼女の"Modern・・・"」でボルテージは最高潮。「彼女の"Modern・・・"」のエンディングで恒例のオーディエンスも歌うパートは、声が出せないということで、TERUが「心の中で大丈夫」と投げかけていたのも、印象的だった。

JIRO(撮影=田辺佳子)

 MCでTERUは「この光景を見れる僕らは幸せです。こういう環境になってミュージシャンは活動しずらい職業の一つになってしまったけど、音楽を愛する気持ちは誰にも負けなくて、こんな状況になっても音楽を作り続けたし、たくさんの人に届けることが出来たし、バンドをやっていて良かったと思います。GLAYが自分にとっても救いでした。ステージで歌えること、演奏できることが何よりの幸せで、この尊さを感じながらやっています。音楽を届けていきますので、次こそは歌を一緒に歌える日が来ることを信じて歩んでいきましょう」。

 「気持ちを込めて届けます」と投げかけ、最新アルバムから「青春は残酷だ」を披露。この楽曲を印象的にHISASHIによるギターリフ、郷愁を感じさせるようなメロディでオーディエンスを扇情。TERUは「あなたたちがいることが僕らの救いになりました」と告げ、この壮大なライブ『FREEDOM ONLY』のエピローグのようにさいたまスーパーアリーナに響きわたった「祝祭」で、希望と夢を音楽で伝え、華々しく本編を締めくくった。

HISASHI(撮影=岡田裕介)

 アンコールで再びステージに登場したメンバー。TERUはここまでの手応えとして「感動した!」と話し、「永遠を名乗る一秒」をしっとりと、丁寧に届けた。そして、メンバー紹介から「BETTY BLUE」、こんな時代だからこそ、より強く胸を打つナンバー「生きてく強さ」を歌唱。何年経っても色褪せない、時代によって意味合いが変化していくことを感じさせてくれた瞬間。

GLAY(撮影=岡田裕介)

 ライブもラストスパート。「BEAUTIFUL DREAMER」で、ずっと一緒に夢を見ていくことを約束し、「一生、この日を忘れないと思います」と伝え、最後は「FRIED GREEN TOMATOES」を歌唱。サビでは風に揺られる稲穂のように掲げたオーディエンスの手がフロアで美しくなびく。希望と優しさに満ちたナンバーでライブは大団円を迎えた。

セットリスト

『GLAY ARENA TOUR 2021-2022 "FREEDOM ONLY”』

2月5日@埼玉・さいたまスーパーアリーナ

01.GALAXY
02.Hypersonic
03.いつか
04.Winter Moon Winter Stars
05.月に祈る
06.漂えど沈まず
07.BAD APPLE
08.Tiny Soldier
09.Holy Knight
10.シキナ
11.SHINING MAN
12.Runaway Runaway
13.SHUTTER SPEEDSのテ-マ
14.彼女の"Modern・・・"
15.青春は残酷だ
16.祝祭

ENCORE

EN1.永遠を名乗る一秒
EN2.BETTY BLUE
EN3.生きてく強さ
EN4.BEAUTIFUL DREAMER
EN5.FRIED GREEN TOMATOES

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