10万部を突破したいしわたり淳治の著書「うれしい悲鳴をあげてくれ」(ちくま文庫)

[写真]いしわたり淳治の著書が10万部突破

10万部を突破したいしわたり淳治の著書「うれしい悲鳴をあげてくれ」(ちくま文庫)

 元SUPERCARで、音楽プロデューサーのいしわたり淳治(37)の著書『うれしい悲鳴をあげてくれ』(ちくま文庫)が、店頭で立ち読みする人が増えた影響で、書店での文庫ランキングで上位に入り始めている。11月19日12刷目の重版をもって累計発行部数が10万部突破。12月15日時点では13刷累計11万5700部を記録している。

 関係者は、著名な小説家の新刊、映像化、テレビ番組などでの紹介が書店ランキングの上位を占めるなか、そういった要素を持たない文庫がこのような事態を生んでいることは「小さな事件」と言えるかもしれない、としている。

10万部突破の魅力とは?

 本書は、剛力彩芽やSMAP、Superflyなどのヒット曲の作詞、またバンドのプロデュース、近年は映画『日々ロック』の音楽プロデューサーも務めた注目のクリエイター・いしわたり淳治の唯一の著作を文庫化したもの。

 「ロッキング・オン・ジャパン」での連載時から音楽ファンからは注目されていたコラムだったが、文庫化されるまでは「知る人ぞ知る本」ではあった。今回、手に取りやすい文庫になったことで、これまで縁のなかった読者層の取り込みに成功、音楽のフィールドを飛び出し、注目の文庫本となっている。

 最先端の音楽シーンを牽引するいしわたりにしか紡ぎ出せない“ことば”の世界と独特の視点から生み出される物語が、新しい読者を生み出し、10万部を記録した。

 これに伴って、6年ぶりの新連載がちくま文庫ホームページ内「webちくま」で2015年1月中旬よりスタートする。連載タイトルは「短 短 小 説」(たんたんしょうせつ)。『うれしい悲鳴をあげてくれ』の大きな魅力でもあったショートショート(超短編小説)を毎月1作品、連載していく。

ヒットの要因は仕掛け販売

[写真]いしわたり淳治著書ヒットの背景に仕掛け販売

1カ月501冊販売したブックエキスプレス東京駅京葉ストリート店でのもよう(写真・筑摩書房)

 2014年1月の刊行から本書の販売方法について、担当編集も加わることで、作り手と読者の距離を縮める方法を模索してきたという。それが注目されるきっかけとなったのは、編集担当者の想い、本音を配したポップでだったようだ。

 「好き過ぎて本当は誰にも教えたくない この本を楽しめないなら他にオススメはありません!」

 という担当編集の想いを込めたコピーが話題となり、2014年9月からはこのコピーを帯にも採用。さらにその帯に「編集担当より」という文章や「この本の楽しみ方」といった編集者ならではのおすすめのポイントなども加えることで、書店店頭での「立ち読み」を誘発。この帯の効果で9~11月の2カ月で約7万部の増冊となった。

面白さを伝える「試し読み」へ

 ネット書店の隆盛を逆に行くようだが、書店店頭での立ち読みの反響・効果を受け、10月後半からは同社ホームページに試し読みページを立ち上げ「たったの5頁だけ読めば面白さを確信するハズ」と、ツイッターでリンクを貼ったつぶやきを集中配信。

 日ごとにページビューが増し10月の月間販売冊数は刊行時の5・5倍に。ブックエキスプレス東京駅京葉ストリート店では1カ月で501冊販売。京都大学生協書籍部ルネでは文庫ランキング1位となっている。

 いしわたりが綴る書の内容もさることながら、こうした販促活動の成果も実ってヒットに繋がっているようだ。

『うれしい悲鳴をあげてくれ』内容紹介

 “ことば”の可能性を切り開き続け、今もっとも注目される作詞家として活躍のジャンルを広げるいしわたり淳治の小説(ショートショート)&エッセイ集。どの収録作をとってもドラマが存在し、読み終わった後にニヤッとしたり、ぞっとしたり、キュンとしたり、すっと納得できたり、5分に1度、腑に落ちる爽快感がたまらない1冊。文庫化に際して、単行本未収録のエッセイを「ボーナス・トラック」として追加収録。

『うれしい悲鳴をあげてくれ』 解説文・カバー作品

<解説文>鈴木おさむ…1972年生。放送作家、脚本家などテレビを中心にエンターテイメントの世界で活躍。今回の文庫化に際して、早くから、いしわたりの“ことば”の魅力に注目をしていたことが縁で解説文を執筆。本書の収録作の中からベスト5を選ぶという面白い形式の解説文になっている。

<カバー作品>林ナツミ…埼玉県出身。日記プロジェクト「本日の浮遊」の浮遊セルフポートで注目を集める写真家。今回の文庫の表紙では、「Today’s Levitation 04/09/2001」を使用している。

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