INTERVIEW

坂東 希

「強い女になりたい」影響を受けた人物とは。『DANCING MARY』出演


記者:鴇田 崇

写真:鴇田崇

掲載:21年11月25日

読了時間:約5分

 EXILE NAOTO主演の映画『DANCING MARY ダンシング・マリー』が全国順次公開中だ。本作は、世界の映画祭などで称賛され、今年6月には第18回アジアン映画祭で日本初の最優秀オリジナル映画賞を受賞するなど、大きな注目を集めている一作で、しがない市役所職員の研二(EXILE NAOTO)と霊能力を持つ女子高生・雪子(山田愛奈)が、ある恋を成就させるため時空を超えて奮闘するというヒューマン・コメディだ。

 その本作に、女優として活動する坂東希が出演した。板東は、解体予定のダンスホールに棲みついたダンサー・マリー役で、物語の鍵となる重要なキャラクターを好演している。彼女は2020年に解散したE-girlsのパフォーマーであり、現在は女優としてTBS系ドラマ「プロミス・シンデレラ」など、活躍の場を精力的に広げている。その坂東にSABU監督作品の魅力、女優としての想いなどを聞いた。【取材・撮影=鴇田崇】

EXILE NAOTOの印象

――撮影は三年前ということですが、出演が決まった時はうれしかったですか?

 そうですね。E-girls時代は、芝居のお仕事をたくさんやっていたわけではなかったので、映画の仕事をさせてもらえるのはとても嬉しかったです。

――ラブあり、ホラーあり、ジャンルが決められない作品のような印象も受けましたが、方向性について事前に共有などはあったのでしょうか?

 それはなかったです。結果的にわたしはほっこりする作品になったなと思ったのですが、作品の方向性を確認し合ったみたいなことはないです。どちらかと言うと、撮影現場でSABU監督が都度演出してくださったので、みなで自由に探りながら、吉村界人さんも自分のスタイルで臨まれていたので、わたしもそこに乗っかっていくような感じでした。

――ダンサー・マリーというキャラクターについては、SABU監督はどういうリクエストをされましたか?

 ダンサーの中では一番人気なのでセンターを務めるような子だったので、その意味では華のある子だと思いましたが、とてもハンデも多かったので、かなり強い女性であるという話もしたと思います。ここまで強い女性が、ジョニーみたいなダメな男性に惹かれるわけはないと思いましたが(笑)、そうなった背景には自分にはないものを相手が持っていたのかも知れないなとも思いました。狭い世界で生きているからこその、いろいろ知りたい好奇心がある、というような話もさせていただいたと思います。

――主演はEXILE NAOTOさんで、しがない市役所職員という普段のイメージとはほど遠い役柄でしたが、共演して気づいたことなどありますか?

 この作品で初めてちゃんとお話する機会ができたので、初めましてに近い感じでした。わたしの勝手な先入観でEXILEのみなさんは私生活がわからないイメージだったので、「昨日の夜、何してましたか?」と聞いたりしていました(笑)。まだコロナ前だったので、北九州で打ち上げをした際、とても気さくでフランクだったのが嬉しかったです(笑)。

――意外な一面を見た(笑)

 しかもNAOTOさんは、何をしていても安定感があるというか、パフォーマンスはもちろん、今回のようなお芝居でも、バラエティーの姿を見ても、どこで何をしていてもブレない、安定感がすごい方なんです。

――どういう人に観てほしいでしょうか?

 怖いのかなと思うかも知れませんが、気軽に楽しめる作品なので、いろいろな方たちに観てほしいですし、これまでコロナ禍だったので人とのリアルな関りは多くなかったと思うので、この作品は、観るととてもほっこりすると思います。人に会いたい、そう思う作品になっていると思うので、気兼ねなく、みんなに観てほしいです。面白くなっていると思います。

坂東希

女優としてのこれから

――ところでグループを卒業され、個人活動が始まりました。自分らしさについて追求することもあろうかと思いますが、いかがですか?

 今毎週、演技レッスンに通っていて、他の人のお芝居を見ていることも勉強になるんです。生で観て勉強したり、根本的な本の読み方、基礎からしっかりやっているので、勉強するのも楽しいなと思うので、勉強しながらお芝居をしているところです。後は普通にドラマや映画を観て、インプットをしているところです。

――そのインプットの中に音楽はありますか?

 E-girlsの頃は移動時間に音楽を聴いていましたが、最近はテレビをつけて音楽番組をよく観ています。自分がE-girlsをやっていた時は観ていなかったのですが、今は観るようになりました。家にいて普通にテレビで音楽を聴くことは今までやってこなかったので、とても新鮮です。

――この先、俳優としてどうなっていこうと思いますか?

 今はまだ女優としては駆け出しなので、目標はいろいろな作品に出ることなのですが、最近小池栄子さんのインタビュー記事を読み、「この人が出ていると観に行きたくなるよね、と言われるように頑張ってきました」と書いてあったんです。確かに人を感動させるということは当たり前の話だから、この人が出ていると観に行きたくなると思えるような女優さんになるのはひとつの目標として、コツコツ頑張っているところです。

――あこがれの人は?

 コム・デ・ギャルソンの川久保玲さんです。全然違う職種なのですが、当時E-girlsをやっている時は女の子の世界で、もっと頑張りたいと思っているなか、川久保さんの記事を読んだんです。川久保さんがメトロポリタン美術館で展示会をするということで、いろいろな雑誌にインタビューが載っていた時期がありました。その時そこに、女性でひとりで、ここまで世界で戦っている人はすごいなというのと、名言もたくさん出ていました。淡々と仕事をしている方で、女性としてあこがれていましたが、目の前のことを一生懸命やっているだけです、とさりげない強さを持っている人で、文章を読みカッコいいと思いました。わたしも強い女になりたいなと思いました。とても影響されましたね。

――どういう努力をしていきますか?

 説得力のあるお芝居をする、ですかね(笑)。とても難しいですね。でも今は本当、コツコツと、ひとつひとつのお芝居を勉強することも大事だけれど、その先に何か出会いなり、つながっていくことも起こるものだと思うので、そこも楽しみなんです。そういうことって今までまったくなかったので、つながりが大事なお仕事だと思うし、一生懸命自分でも経験を積んで頑張るしかないなと思っています。難しいことを考えすぎずに、出来ることを一生懸命やりたいなと思っています。

坂東希

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