INTERVIEW

山寺宏一×宮野真守

「面白い、心が動かされたと聞くと嬉しい」原動力は観客の声。『ザ・スーサイド・スクワッド “極“悪党、集結』裏側


記者:木村武雄

写真:木村武雄

掲載:21年08月27日

読了時間:約6分

 山寺宏一と宮野真守が『ザ・スーサイド・スクワッド “極“悪党、集結』(公開中)の日本版声優を務める。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズで知られるジェームズ・ガン監督の最新作。全員終身刑の悪党たちが世界の脅威となる『怪獣プロジェクト』に挑む姿をど派手に描く痛快サバイバル・アクションだ。山寺はチームのリーダーで幼少期から戦闘訓練を積んできた最強スナイパーのブラッドスポート、宮野は異次元の水玉を放って敵を全てチーズに変える最強の“陰キャ”ポルカドットマンの声を演じる。「観ないと損する」と絶賛する山寺と宮野はどのように挑んだのか。そして、2人の活動の原動力とは。

(C)2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C)DC Comics

もう一つの負けられない戦い

――出演と声の配役が決まった時の心境は?

山寺宏一 ジェームズ・ガン監督の大ファンですので、出られて嬉しいというのが最初にありましたし、監督が手掛けると聞いたその瞬間から絶対に面白いと思いました。ブラッドスポートは腕利きの殺し屋ですが、弱みを握られてグループに入ってリーダーになります。演じているイドリス・エルバの声を担当するのは今回で3回目。彼は体も大きくて声を出すのは大変でしたが、頑張りました!

宮野真守 僕が演じたポルカドットマンは、水玉で相手を倒す、凶悪だけど内気なヤバいヤツです(笑)。この作品の、悪党が主役になっているお話ならではのコミカルさに惹かれましたね。でもコミカルな中にもポルカドットマンには、親によって身体を変えられてしまったという辛い生い立ちがあったり…深い設定が心に響きます。でもやっぱり、悪党たちのやりとりがおバカで最高に面白いんですよ!(笑)

山寺宏一 そうそう、しかもふざけているわけではないから。一生懸命にやっているけどおかしいという。下ネタ満載で(笑)。

宮野真守 特に山寺さんと(大塚)明夫さんのやりとりがかっこよくて面白い!

――大塚さんは筋骨隆々の射撃の名手、ピースメイカーの声を演じられて。ブラッドスポート(山寺)とはライバルのような関係で、子供のけんかのようなやり取りが面白いですね。

山寺宏一 コロナ禍だから録るのは別々でしたけど、脳内でやりとりしている感じはありました。それと宮内さんね。リック・フラッグ大佐の声を演じていますが、明夫さんと宮内さん共にすごい声をしていて、マッチョな体にものすごく合うから。僕もたまにそういう方の声をやりますけど、どちらかというと動物系が多いから、それに負けないようにやらないといけない(笑)。キャラクターとしてはライバルでしたが、声を演じるほうも負けられないというそんな戦いはありましたね。それと宮野真守をあのキャラクターで使うというね(笑)。でもさすがの存在感でした。僕のブラッドスポートは作戦チームの隊長というのもありましたのでそういうところでも負けないようにと頑張りました!

宮野真守 翻訳も素晴らしくて! やりとりで笑えるのは本当に素晴らしいと思います。

山寺宏一 そうそう。「〇〇ぽ」か、または「〇〇こ」かにするかで大の大人たちが真剣に悩んで。最終的に「〇〇ぽ」にしたんだけど…(笑)。

宮野真守 「〇〇ぽ」で良かったと思います!

山寺宏一 ドラマで掴まれていたから、間違いないね(笑)

宮野真守 いやいやあれは「た〇」の方でしたから(笑)

山寺宏一 そうだった(笑)

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憧れの先輩

――今回はチームワークも見どころの一つとなりますが、宮野さんは過去に、山寺さんに憧れているとも話されていました。こうして共演ができ、どのような心境ですか。

宮野真守 声優デビューしたぐらいの作品(キングダム ハーツ)で山寺さんと初めて共演して。その作品の打ち上げでお会いしたくらいだったのですけど、山寺さんは僕の事をずっと覚えて下さっていたんです。ありがたいことにそれから共演も増えて。僕は生意気にも家族のような気持ちで今はいます。一緒に朗読劇(龍馬のくつ)もやらせていただいたりする中で、憧れの先輩から家族になって。感謝でいっぱいです。

――山寺さんはどうですか。

山寺宏一 ん…宮野君はですね…。

宮野真守 あれ…君呼び…家族じゃなかったのかな…(笑)

山寺宏一 (笑)身長だけでなく伸び率、進化が止まらなくて、もちろん声優だけでなく役者として、アーティストとしても大活躍されて、僕が言うまでもなく眩しいですよ、本当に。どんどんでかくなって、今は3メートルぐらいに見える(笑)。そんな“マモ”(宮野の愛称)がね、その舞台が終わったあと、あの時はまだコロナ前だから打ち上げもあたったんですが、可愛かったんですよ。本音でね、いろいろしゃべって。飲んで酔ってね。「俺は」って(笑)。

宮野真守 生意気なことを言っちゃって…。

山寺宏一 いやいや、それがすごく嬉しくて。これだけ大活躍されていて失礼かもしれないけど、可愛くもあるし、刺激をいつももらっています。でも今回、セリフのなかで「マモ」って言っていて。「あれ、自分の名前叫んだ」と思って「おお」と思ったら…(笑)。

宮野真守 いやいやそんな主張はしないですよ(笑)

山寺宏一 あれはびっくりした~。内気なキャラクターだからセリフも多いというわけでもないしね。

宮野真守 そうそう、だから爪痕残そうとして…いやいや(笑)

山寺宏一 さりげなくアドリブをね。さすがですよ(笑)

宮野真守 「ママ」と言っていますから(笑)。

山寺宏一 まあ、かっこいい役だけでなく、こういう役もできるからね、素晴らしいです。

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「褒められること」原動力

――14人は悪党ではあるものの、それぞれの正義感や背景、思いをもってミッションに挑みますが、お二人が活動の原動力になっているものは何でしょうか。

宮野真守 山寺さんは褒められることです(笑)

山寺宏一 宮野君も褒められることですよ(笑)

宮野真守 褒められて伸びるタイプです(笑)

山寺宏一 お互いがそうです(笑)。でもあったんですよ、共演した朗読劇のセリフのなかに。「褒められたいんだ」って。まさにそうだよねって。

宮野真守 自分たちがやったものがしっかり評価されるのは、この仕事していて嬉しいことです。趣味でやっているわけではないので。

山寺宏一 そうだよね。

宮野真守 見てもらえてどう感じてもらえるか、面白いといってくれるのが嬉しいです。

山寺宏一 自分がやりたいことをやる、評価するのは自分という芸術家もいるかもしれないけど、我々の仕事は見てもらって、聞いてもらってなんぼ。すべての原動力はそれでしょうね。もちろん、やっている時も楽しんですけどね。特に吹き替えというのは、画面の向こうの人と一体感になったと感じられた時、入り込めた時の没入感というのは、自己満足ですけど楽しんですよね。その瞬間もそうですし、その後に観て頂いて、楽しかった、元気になった、泣いた、なんでもいいから心が動かされた、という反応を聞くとやっぱりね、それが原動力になります。

――そんな感情を揺さぶるものがこの作品にもあります。改めてファンへメッセージを。

宮野真守 最初から最後まで「ずっと笑っていられる」作品ってすごいなって。悪党だからこその要素を生かしている笑い。いろんなことに感動したり涙する瞬間もありますが、ずっと笑って観ていました。僕のポルカドットマンの最後なんて…すごいですからね(笑)。

山寺宏一 一番好きなのがそこなんだよね。観ないと損しますと言いたいですね。映画の面白い要素が全部入っていて、もちろんジェームズ・ガンだから面白くないわけがない。観るのを迷っている人は、違うレーベルだけど『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を観ることをお勧めします。この作品だったらこの映画の面白さはわかると思います。

(おわり)

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木村武雄

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