ロリータモデルとしても活動するシンガーの春奈るなが7月21日、ベストアルバム『HARUNA LUNA BEST 2012-2020』を配信リリースした。春奈るなは2012年5月「空は高く風は歌う」でデビュー。『ソードアート・オンラ イン』シリーズや『<物語>シリーズ』、『冴えない彼女の育てかた』シリーズなど、多くのアニメ作品のテーマソングを担当。デジタルベストアルバムは2020年までにリリースされた楽曲の中から選出した全21曲を収録し、8年間の軌跡を辿る作品となった。インタビューではここまでの活動を振り返りながら、シンガーとしての変化やこれからの展望など多岐に亘り話を聞いた。【取材=村上順一】
デビュー当時は不安でいっぱい
――メジャーデビュー10年目に突入されましたが、10年という期間をどう捉えていましたか。
このフィールドでちゃんと春奈るなとしてやっていけるかなと、デビュー当時は不安でいっぱいでした。それもあって自分の中では10年というのは目標でした。始めたからにはやり抜きたいし、10年は続けたいという想いがあったので今こうやって10年目を迎えることができて本当に嬉しいですし「やってこれたんだな」という感慨深さがあります。
――デビュー時に一番不安だったことは?
勝手にプレッシャーを感じていて、「周りの期待に応えることができるかな?」「ライブを自分がやってちゃんと最初から最後まで成立させられるのか」など、色々と葛藤がありました。アーティスト活動は課題が多いじゃないですか? ライブもそうですし、番組に呼んで頂いたり色んな挑戦があったので、それを一つ一つちゃんと応えられるのかという見えない不安とデビュー当時はずっと戦っていました。
――ライブの最後のMCで言葉が詰まってしまって、その時のことがいまだに残っているという話を聞きました。
そうですね(笑)。デビュー当時からMCはもの凄く課題だと思っていました。小さい頃は手を上げて発言できるような子供ではなかったですし、人前で歌うことは好きだけど喋るのは得意ではなくて...。だからデビュー当時はMCに凄く苦手意識がありました。それで3枚目のシングル「君がくれた世界」のリリース記念イベントでやらかしてしまいまして…
あらかじめ話すことを台本のように書いていて、それを一字一句間違えないようにセリフとして覚えたんですけど、当日最後の大切なMCで言葉が出てこなくなってしまって、逆にお客さんを不安にさせて、支えてもらうという。「本当はそこでライブの感謝を伝えなければいけないのに何をやっているんだろう」みたいな自己嫌悪に陥って、そこから凄く落ち込みました。
――それは落ち込みますよね…。
でもワンマンライブの経験を重ねてだんだん掴めてくるようになって、お客さんとの会話もどんどん楽しめるようになりました。台本のようなものを作らないほうがリアルな会話になるなと、「言葉が詰まってもこの際いいや」みたいに考えられるようになりました。
――意識が変わったんですね。さて、ベストアルバムがリリースされましたが、ターニングポイントになった曲を教えてください。
デビュー曲の「空は高く風は歌う」の時とかは歌いこなすので精一杯みたいな感じでした。レコーディング自体は過去に何度かお手伝いのような形でやったことがあったんですけど、自分のCDとしてのレコーディングはこの曲が初めてでした。歌やMVを改めてみると初々しさというか「模索しながら頑張っているな…」みたいなものをすごく感じます。探り探りでやったけど、結果凄く楽しかったですし、過去の自分が映像に残るって本当にありがたいことだと思っていて。それを観るだけ一瞬で9年前の気持ちに戻れるし、そういうものは今回改めて変化もありがたさも凄く感じました。
――様々な変化があると思われますが、強く「この世界でやっていくぞ」という意識が芽生えたのは?
そう強く感じたのは「君色シグナル」かもしれません。当時一番リアリティを持った楽曲でした。この曲を歌うことによって、等身大の感情を歌う楽曲って凄く面白いなって思って。ファンタジーに憧れることは凄くあるんですけど、現実を歌うというのはどういう感覚なんだろうみたいな。もともとアニソンやビジュアル系の楽曲を好んで聴いていたので、現実離れした楽曲のほうが格好いいみたいな固定観念を当時持っていたので。
等身大の自分を歌っている自分って楽しそうだし、歌ってこうあるべきだなというのを凄く感じました。そこから表現の楽しさをより感じるようになったんです。改めて観ると思うんですけど、「君色シグナル」からMVの表情が全然違うんです。口角の上げかたなど、「伝えたい」というのが感じられる自分になってきたなと、この楽曲を経て感じるようになりました。
――ファンの方々の変化というのは感じていますか。
いい意味で扱いが雑になってきたというか(笑)。フランクに友達のように接してくれるようになって、そういうものは凄くいい環境だなと思っています。イベントなどをやっても友達感覚と言いますか、私もフランクに気兼ねなくお喋りすることができるので、“るな充”とはいい関係を築けているなと感じています。私は最初ゴシックでクールなイメージを決めていたんですけど、やっぱりどこかで人間ボロが出るんです(笑)。隠しおおせないという。そこからイジられたりとか、むしろそれが楽しくていい関係値をファンのみんなと築けているなという感じがしています。
――9年間ずっと見てくれているファンの方もいますよね。
デビュー前、オーディションの頃から応援してくれている方もいるんです。ファンの方がいなかったら全て成立しないし、応援してくれる方がいるから自分も飾ることなく素直な気持ちや歌を発信できるようになったので、本当にありがたいです。
歌への意識が変化した「君色シグナル」と「アイヲウタエ」
――MVを観ていても成長の変化をすごく感じました。衣装もウェディングドレスやタイヤの素材を使用したロックなイメージの衣装など、色々あって興味深かったです。「JUSTICE」のMVで着用していた衣装は本物のタイヤを使っているんですよね。
はい。タイヤの素材をつなぎ合わせていて、よく見ると「DUNLOP」とか書いてあるんです(笑)。着るのが凄く大変でベッコンベッコン鳴らしながらジッパーを上げて、通気性が限りなくゼロに近いので汗がどこからも出ていかないみたいな。もともとはショーなどで使われていた衣装でメチャクチャ格好良かったです。
――「回転木馬」のフルサイズのMVが公開されましたね。これまで公開されなかったのはタイミングが難しかったとお話ししていましたね。
この曲は配信限定シングルだったのでDVDとして収録することもできないし、「どこで出そうかな?」というのはずっとありました。私自身もワンコーラスしかないと思っていて「そういえば」とちょっとフルサイズの存在を忘れていたくらい(笑)。このタイミングでYouTubeでアップできて良かったです。
――「回転木馬」のMVのみどころは?
衣装の切り替わりだったり、あとは目です。目をカッと開いているシーンがいくつかあるんですけど、そういう表情も楽しめるMVかなと思います。「不思議の国のアリス」をモチーフにした楽曲なんですが、個人的には猫の格好をしたものやアリスの衣装もお気に入りなので注目して欲しいです。
――歌の変化という点で、歌い方に大きな変化が訪れたのはどのあたりだったのでしょうか。
先ほどお話しした「君色シグナル」と「アイヲウタエ」で変わった気がしています。それまでは世界観がわりと強めの、ストリングスが鳴っているようなエモい楽曲も多かったんですけど、「アイヲウタエ」で明るく歌うことを意識するようになりました。
――明るく歌うためにやったことなどは?
口の動かし方を意識するようになりました。口角を上げると声質も凄く高くなるので、そういうものを取り入れて歌ったりとか、凄く歌い方にこだわるようになりました。
――ところで、春奈さんがライブやレコーディングに欠かせないものは?
私はそういうのが一切ないんです。変にこだわりを持ちすぎると、それを忘れた時に「この湿度じゃないからダメかもしれない」とか、それが枷になるのが嫌で。でも心がけていることがあって、レコーディング前に必ず歌詞を朗読することをデビュー当時からやっています。一度セリフのように朗読して、自分の中に落とし込む作業を必ずしてからレコーディングに臨んでいます。
――それによって新たな気づきがあったりするのでしょうか。
一度言葉としてインプットするというのもありますし、どうしても歌っていると意識が流れる時があるんです。「ここは高いから頑張って出さなければいけないんだ!」みたいな、歌詞がそっちのけになっちゃったりすることもあるので、それがないように朗読をしています。
――歌詞を朗読するなかで、より「朗読しておいてよかった」と思った曲はある?
自分で作詞した楽曲は特に感じます。自分が伝えたいことを、伝えたいようにありのままをみたいな感じで書いている歌詞でもあるので、そういうのがより高まる感じがしていて。「これを伝えたかったんだ」みたいなものをより強く感じます。「るなティックワード」は、タイアップ関係なしに、るな充への手紙みたいな楽曲だったので、心をこめて朗読して臨んだのを覚えています。
――春奈さんは音へのこだわりも強い印象がありますが、いつ頃から音への意識が高まりました?
デビュー前からです。音楽を聴くのが凄く好きだし、それを生きがいとして生きてきたので当時はダウンロードではなく絶対CDで聴かなきゃ嫌だとかありました。最近は移動時間にスマホで聴くことも多いんですけど、できればいい音で聴きたいという気持ちはずっとあります。デビュー前から音にはこだわっていました。
今までやってきたことも全部、ライブで共有できるように
――良い音で楽しんで頂けるといいですよね。ところで、本作で悲しい時に元気になれる曲を挙げるとしたら?
「Startear」が良いと思います。この曲は心の弱さを強さに変える、という想いをこめて書いた歌詞なんです。私は2番から歌詞を書かせて頂いていて、『ソードアート・オンラインII』のEDテーマでもあるんですけど、悲しいこともいつかは強さに変えられるかもしれない、そういうことがあるからこそきっと強くなれるんだろうなっていうのを、アニメのキャラクターの感情も想像しながら歌詞を書きました。悲しいことがあっても希望を捨てないでほしいというか、それをいつか強さにできる時が来るかもしれないって信じてほしいという想いもこの曲にこめられているので、合うんじゃないかなと思います。
MVでもそういうところを表現しているので。2人のるな氏が出てきて、悲しい気持ちを背負った私と理想の私が重なる瞬間があって、そこから本当の強い自分に成長していくみたいな過程を描いたMVなんです。
――では逆に、元気すぎた時に落ち着ける曲は?
心の換気、テンションの換気みたいになれる曲だと思うので「Windia」を推します。「Windia」はメロディに疾走感と爽快感があるなと思っていて、落ち着くにはちょうどいいテンポでもあるし、いいんじゃないかと思います!
――春奈さんがこの9年間で悲しかったことは?
なんだろう…全然思い出せない(笑)。わりと私は次の日には忘れちゃうタイプで。それは常日頃推しのおかげだなというのを感じています。アニメだったり、自分の好きなものを見て元気をもらったり、それこそ心を浄化したりとか、推しがいるとそのターンオーバーが凄く早くできるので、あまり溜め込まないというか残さないようにしています。だからわりとケロッとできる体質に、デビューしてよりそうなった気がします。
――好きなものがあると心強いですね。
毎日楽しくなるし、自分の励みにもなるのでありがたいなといつも感じています。
――春奈さんの今の推しは『ツイステッドワンダーランド』に登場するジェイドですよね。
そうです! もう好きすぎて言葉にできないくらい。存在そのものが神秘的で尊いんですけど、わりとスマートな立ち振る舞いをしつつ、眉毛をハの字にして困ったように悪い顔をするんですけど、そういうところが特に好きです。
――推しは新しい作品が出るたびに定期的に変わったりしないんですか。
定期的に変わるんですけど、ジェイドは最後の推しにしたいなと思っていて。それくらい感情移入しています。これまでは1〜2年スパンで推しは変わってはいるんですけど、変えないためにもあまり新しい作品を見ないようにしています(笑)。
――一途ですね(笑)。それは春奈さんのファンの方にも言いたいことでもある?
私を最後の推しにしてほしいという願いですね(笑)。そうなれたら嬉しいですが、私自身もるな充にとって元気をもらったり、心を浄化できるような存在になれていたら嬉しいです。
――最後に、これからどんな姿を皆さんに見せていきたいですか。
今回デジタルベストという形なんですけど、ベストアルバムを出させて頂けて本当に嬉しく思っています。それは、るな充と一緒に歩んできた軌跡でもあるし、これからもこの楽曲たちを聴き続けてほしいなと思います。やっぱり音楽ってずっと残るというのが素晴らしいと思っていて、私という存在が消えても音楽は残り続けるし、そういうものを世に残せたということは凄く嬉しいです。春奈るなの音楽をこれからも愛して頂けたら嬉しいなと思っております。
今後の展開としては、ライブがやりたいです! コロナ禍というのもあって1年くらいお客さんを入れたワンマンライブを全然できてないので。最近の活動はYouTubeがメインになっていて、私のオタクの一面ばかりが出ているんですけど、改めてアーティストの一面というのも見せていきたいのと、ライブ会場で“痛バ”を組むのも面白いかも。
――ステージで痛バッグですか(笑)。
YouTubeの動画配信で積み上げてきたものもあるので、そのネタをみんなの前でやったりするのもアリなんじゃないかなって。私がアニソン歌手だと知らずに観てくださっている方もいらっしゃるんです。今までやってきたことも全部、ゆくゆくはリアルで共有できるようになる日が来ればいいなと思っています。是非、これからも一緒にるな充しましょう!
(おわり)
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