逢田梨香子が8月8日、東京・Zepp Tokyoでバースデーイベント『RIKAKO AIDA Birthday Party 2021 〜to ME〜』を開催した。逢田の誕生日である8月8日に行われる毎年恒例のこのイベント、昨年は新型コロナウィルスの影響もあってオンラインイベントでの開催となったが、今年は感染拡大防止のレギュレーションに則りながら、無事有観客での開催となった。昼夜の2回開催となったこの日のイベントから、夜公演の模様をレポート。

 この日の会場は、一昨年の同じ日に行われた”1st EP『Principal』発売記念Birthdayイベント”と同じZepp Tokyo。2年ぶりとなるこの場所でのバースデーイベント開催に、この日のライブグッズやオフィシャルメンバー「Us」のグッズに身を包んだファンたちが、今か今かと開演を待ち望む、そんなワクワクした雰囲気に包まれていた。そんなか会場が暗転し、ステージ中央にはこの日の主役・逢田梨香子が登場。ジャージ上下といういでたちで凛々しい表情のまま客席を見据えた逢田、おもむろに手をピンと伸ばして、「宣誓!」と勢いよく口火を切った……まではいいが、そこからは冒頭からカンペを読みながらのゆったりとした走り出し。しかし最後は力強く、「”ZEPP東京2021 逢田梨香子 夏の全力運動会”に参加することを誓います!」と宣言し、荘厳なBGMと共にこの日のイベントが幕を開けた。この日は東京オリンピックの最終日ということもあってか、どうやら今年のバースデーイベントは”スポーツ”をテーマに行われるようだ。

宣誓を行う逢田梨香子(撮影=AZUSA TAKADA)

 この日のMCはお笑い芸人・グランジの遠山大輔。過去にはTOKYO FMなどで放送されている超人気番組「SCHOOL OF LOCK!」のパーソナリティーを務め、”とーやま校長”の愛称でも知られる遠山。ちなみに逢田もまたAqoursのメンバーとして長らく同番組のレギュラーを務めていた。そんな遠山が解説を務めながらの「夏の全力運動会」、最初の競技は「10メートル障害」。ステージ上には網や低いハードル、麻袋などが置かれている。そんななか軽快なマーチに乗せて、軽やかにステージに登場した逢田選手。障害物を見るなり「これぐらい余裕ですよね?」と自信満々な様子だ。ルールはグルグルバット(バットにおでこを当て、バットを支点にして回る)を10回したのち、網のなかを潜り、3つのハードルを超え、麻の袋に体を入れてジャンプしながら進んで、最後は吊るされたパンを口で取ったらゴール……というもの。感染対策のため、コンビニで買ったメロンパン(ちなみに昼の部はかにぱん)を袋入りのまま自分の手で吊るして、いよいよ競技開始。スタートの合図とともに勢いよくグルグルバットをこなす逢田選手。しかしその直後、網の前でうずくまり、思わぬタイムロスを強いられる。ほぼほふく前進のようなかたちでハードルを超えたあとは順調に進み、最後は吊るされたメロンパンも手を使ってなんなくゲット。1分13秒54という、昼の部には2秒ほど及ばなかったものの、なかなかの好タイムで競技を終えた。

「10メートル障害」に挑戦中の逢田梨香子(撮影=AZUSA TAKADA)

 続いての競技は「アーチェリー」。ふたたび軽快なマーチに乗せて逢田選手が入場すると、「アーチェリーは夢の中でやった気がする」とこちらも謎の自信をのぞかせる。早速競技がスタートし、逢田がおもちゃの弓をひくと、矢はまんなかより下部の10点に刺さった。1射目から的にヒットさせたことに会場も驚きを隠せない様子だったが、逢田選手は「10点じゃ帰れない。真ん中(100点)に当たるまでみんな帰れない」と豪語。続いての第2射ではさらに中心の70点と100点まであと少しの成績を残すと、「あ、満足です」と急に競技の終了を宣言。しかし観客の拍手に乗せられて最後の一射へ。最後はより100点に近づくべく、的にもだいぶ近づいた結果、的から大きく外れて競技は終了。解説の遠山も「的は外しましたがお笑いは100点です!」と太鼓判を押した。

謎の自信をのぞかせる「アーチェリー」に挑戦(撮影=AZUSA TAKADA)

 「夏の全力運動会」最後の競技は、「サッカーストラックアウト」。小さなサッカーゴールのマウス内の8等分されたパネルを、シュートで当てていくというものだが、軽快なマーチに乗せて入場した逢田選手は、「足使った競技がすごく苦手で……」といつになく自信がない。しかし最後の競技というのもあって「本気出していいですか?」と、着ている「Us」のジップアップジャージを一度脱いでは、また着て、もう一度脱ぐというムーブを見せて本気のほどを見せる。最初のシュートは7番のパネルを宣言したが、惜しくも枠の外。しかし同じく7番を宣言しての二度目のシュートは、なんと7番のみならず隣接しないパネルも含めて5枚抜きを果たすという、驚愕のシュート力を見せた。ここまできたら全部のパネルを抜こうとなったが、以降は枠を捉えることができず、最後に泣きの一回で打ったシュートは、すでに抜いた8番を捕らえ、「誕生日と同じということで」辛くも逢田選手が勝利を飾った。こうして全競技が終了、すべての競技を勝利で終えた逢田選手は見事優勝に輝いた。感染拡大防止のため、授与された金メダルをみずから首にかけると、「このために頑張ってきました!」と笑顔をのぞかせた。

真剣な眼差しで「サッカーストラックアウト」に臨む逢田梨香子(撮影=AZUSA TAKADA)

 続いては、逢田と遠山によるトークコーナー。この日29歳を迎えたことに逢田は「29年歳を重ねてきた感覚がない」といいつつ、「それだけ充実しているってことですよね」と自身のこれまでを振り返った。一方でこの2年は普段とは異なる過ごし方となったことについては、「この1年はせっかちになっていた気がします。どんどん時間が経ってしまうのがもどかしかったり、もっと頑張らないとっていつもよりせかせかした1年だった」と振り返り、「この一年は、また気持ちにゆとりをもっって自分のペースでやれたらと思います」と29歳の抱負を語った。続いては「Us」のメンバーからの質問に答える「Q&R(Question & Rikako)」のコーナーへ。「とうもろこしの思い出」や「1日だけ小学一年生になったら何して過ごす?」など、なかなかトリッキーな質問があるなか、「2年前のZepp Tokyoから現在までステージに立つ気持ちは変わった?」という質問には、「2年前にソロ歌唱したのがこの場所で、そのときは本当にひとりでの歌唱が恐怖で」とアーティストデビュー当時を振り返りながら、「この2年間の経験が自分を鼓舞してくれて、また観にきてくれるみなさんに自分をあずけるようなかたちで楽しめるようになりました」と現在のステージにかける想いを語った。

逢田梨香子と遠山大輔(撮影=AZUSA TAKADA)

 次のコーナーは、こちらも夏らしく「霊視鑑定」。こちらは占いが好きな逢田の持ち込み企画ということで、鑑定士には霊視芸人で知られるシークエンスはやとも(ウォーリーズジャパン)が登場。これまで数々の有名人の霊を見てきたという実績を持ち、逢田もYouTubeチャンネルを登録しているというはやともの霊視にのっけから興味津々。そんな注目の霊視鑑定の結果によると、逢田にはものすごい人数のファンの生霊がついており、守護霊のような存在だという。「周囲の人間が逢田さんを宝物のように扱っていて、逢田さんが熱血家であるからそれに惹かれている」「これだけ濃く愛される芸能人は珍しい」とはやともが解説。最後にはあまり結婚願望がないという逢田の今後については、「結婚するビジョンがまったく見えない」という。「結婚は向いてないですか?」という逢田の問いも「向いてないですよ」とキッパリ断言されていた。

「霊視鑑定」を受ける逢田梨香子(撮影=AZUSA TAKADA)

 盛りだくさんのコーナーで展開されてきた”RIKAKO AIDA Birthday Party 2021 〜to ME〜”もいよいよクライマックス。最後はもちろん、逢田によるステージ「The Premium Live」のコーナーだ。「Dearly」の柔らかいメロディのイントロに乗せて、白いレースの衣装に身を纏った逢田がステージに登場すると、優しい笑顔を見せながら噛み締めるようにメロディを綴っていく。「あなたがいれば 笑顔になれる」と歌うサビでは、手を挙げて観客と一緒に手を振りながら、優しくも芯のある力強い歌唱を聴かせる逢田。実にリラックスした雰囲気でのパフォーマンスが印象的だった。

逢田梨香子(撮影=AZUSA TAKADA)

 直後のMCで、今回の選曲は「Us」のメンバーから募った、歌ってほしい楽曲のアンケートを参考にしたそうで、「意外な楽曲が入っていたり、私も選んでいてすごく楽しかったです」と語った。次の曲はアンケートで1位を飾った曲「ブルーアワー」。この曲は昨年8月にデジタルリリースされた楽曲で、自身も「自粛中に作詞をしていて、もどかしい気持ちや寂しい気持ちをこの楽曲に詰め込んだ」と語ったように、ツアーやイベントが延期や中止に追い込まれたなかで、逢田自身が見据える風景を描いた楽曲でもある。今年3月までの”Curtain raise”ツアーでもセットには入っておらず、歌ったのも昨年のオンラインバースデーイベント以来で、この日初めて観客の前で披露された。そういうバックグラウンドもあってか、この日のリラックスしたムードの中でも、緊張感のあるパフォーマンスが見られた。特に終盤での「私を 生きるよ」と力強く宣言するラストまで歌で聴かせる彼女の魅力が溢れた一曲となった。

逢田梨香子(撮影=AZUSA TAKADA)

 最後は観客に立ってと促して、「ステラノヒカリ」へと続く。”Curtain raise”ツアーでは恒例となったサビの振り付け講座を挟んで、「この曲で忘れられない夜にしましょう!」と叫んで楽曲がスタート。キュートでアッパーなサウンドに乗せて観客も体を揺らして手を叩いて思い思いに楽しんでいるようで、サビでは客席が黄色いペンライトで煌々と照らされるなか、振り付けに合わせて光が動く光景は実に美しい。それを見つめながら歌う逢田も、心の底から楽しんでいるようで、眩しい笑顔を見せながら最後まで賑やかに駆け抜けた。3曲というセットだったが、改めて”Curtain raise”ツアーという大きな経験を経て、逢田梨香子の進化というものが見られたステージだったと思う。バンドを背負ってのステージだったツアーと一概には比較できないが、ステージ上での佇まい、何より表情からも彼女がこのライブを楽しんでいると伝わることまで、およそこの2年間で大きな成長を遂げてZepp Tokyoに戻ってきたのだと実感させるには十分なステージだった。8月18日には昨年12月の中野サンプラザ公演の模様を収めたライブBlu-ray/DVD「RIKAKO AIDA 1st LIVE TOUR 2020-2021 ”Curtain raise”」がリリースされるが、改めてアーティストとしての逢田の魅力、その進化の過程を目撃してほしい。

記念撮影(撮影=AZUSA TAKADA)

 イベントを終え、「29歳最初の日を、みなさんとこうして過ごせて幸せです!」と喜び語る逢田。そのスピーチの途中でバースデーケーキのサプライズや記念撮影を挟んだあと、改めて「みなさんは私の自慢です。これからもみんなと一緒に歩んで行けたらうれしいです」と語った。およそこの1年はいつもとは違う時期を過ごしてきたななかで、ツアーを完走し、意欲的なコンセプトのEP「フィクション」をリリースし、そしてこうして2年ぶりにファンを目の前にしたバースデーイベントが開催されるに至った。少しずつ日常を取り戻していくなかでのアーティスト・逢田梨香子の次のステージがどんなものになるのか、心から楽しみにしたくなる、そんな一日だった。

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