花岡すみれ(17)が、日本テレビ系ドラマ『ボイスII 110緊急指令室』で17日放送の第2話、24日放送の第3話に出演した。誘拐事件の被害者家族の長女・武井薫(16)。トラウマを抱えた女子高生を熱演した。ザ・クロマニヨンズの真島昌利が好きなギター少女でもある彼女。関係者も「ブレイクが期待される」と太鼓判を押す彼女の素顔に迫るとともに、本作への想いを語ってもらった。【取材・撮影=木村武雄】
マーシーに憧れたギター少女
――特技はエレキギターとのことですが、何か影響されたものがあった?
もともと家が音楽をよく聴いていて、母の影響でザ・クロマニヨンズのマーシー(真島昌利)さんが好きになりました。初めてライブに行ったのは小学校3年生の時ですごく楽しかったんです。それから時間が経って、何かを習いたいと思った時にギターをやってみようと。かっこいいバンドに憧れて始めました。
――クロマニヨンズさんや真島さんのどこに惹かれますか。
熱いところです。優しい系よりは、グッと力が入るような曲が好きで、家では爆音で聴いています(笑)。ギター鳴らしながら歌うこともありますね。ギターを始めたのはエレキだったんですけど、弾き語りたいと思ってアコギも買いました。ライブの時に、マーシーさんとコビー(小林勝)さんに、服にサインしてもらったんです。今も大事に飾ってあります。
――もともと芸能界への憧れはあったんですか。
小学校低学年から女優さんになりたいと言っていて、子供新聞や作文にも将来の夢は女優さんと書いていました。単純にキラキラしている世界に憧れを感じです。強く意識するようになったのは小学校5年生の時です。地元で開催されたお祭りで、和服を着て行列に参加するイベントに友達と一緒に参加していたら、こういう仕事に興味ある? と聞かれて「はい!」とお返事しました。家族は面白そうなことならやってみなさいという感じだったので背中を押してくれました。
――それで高校1年生の時に上京されて。今は高校3年生。昨年放送された『ハケンの品格』(日本テレビ)にも第5話に出演されていました。
周りの反応があるのも嬉しいです。中学の同級生が『観たよ』と言ってくれるのも素直に嬉しいですし、最初に出演したのは「友人A」みたいな役でしたが、だんだんとセリフを頂けて、役名もついてきてという感じになっているので、次はどんなことが出来るんだろうとワクワクしています。
――夢だった女優ですが、最初に出演した時のことは覚えていますか?
訳が分からないという感じでした。お芝居というのもよく分かっていませんでしたし、セリフを言うだけで精一杯で、今思うとすごくやり直したいです(笑)。もちろん夢でしたので、決まった時は嬉しくてワクワクしていましたが、いざ現場に入ると楽しむ余裕は全くなくて。何をしていいか分からず、ずっと焦っていました(笑)でも今は少しずつ成長ができているのかなって思います。
直前まで不安
――それを経て今回の『ボイスII 110緊急指令室』では2話と3話に登場しました。物語の鍵を握る重要な役どころでもありますが、決まった時の心境は?
オーディションだったのですが、「受かったよ!」と連絡を受けて、すごく嬉しかったです。家族も隣にいたので「頑張れよ!」と盛り上げてくれて。でも一人になり冷静に捉えた時に少し不安にもなりました。前作の『ボイス 110緊急指令室』も含めてその世界観を私が壊してしまったらどうしようかと。現場に入れば大丈夫ですけど、撮影の前日はすごく不安になりました。始まる前は余計な事を想像してしますんです。全部セリフが飛んだら、こういうことが起きたらどうしようと考えてどんどん不安になっていくんです。でも始まったら、やるしかないので吹っ切れるというか。もしかしたら「よーい、はい!」という監督の始まりの合図を聞くまではずっと不安かもしれないです。
――それは先ほどスチールカメラを撮っていても感じましたね。すごく不安そうでしたが、撮影が始まったら表情が変わって。
無意識でした。何か掛け声や音があると自然と切り替わるかもしれないです。でも家族にもONとOFFが激しいと言われることがあります。
――それはなぜですか?
基本、家にいる時はダメな人なんです(笑)。2つ上の姉がいて、私という感じなので甘えていて。ずっと眼鏡で髪の毛もボサボサで、パジャマ、シャツ、パンツみたいな感じで家の中をウロウロして。撮ってもらった写真を家族に見せると「え? 同じ人?」って毎回言われます(笑)。面倒くさがりでもありますが、内弁慶というか…。外ではちゃんとしないといけないという気持ちもあって。でもお出かけはすきですよ(笑)
――家族は仕事を応援しているという事ですが、特にお姉さんとはどうですか?
姉は性格が私と真反対で、勉強担当というか、学校生活をきちんと送っている人です。母は「それぞれが違うタイプだから面白いんじゃない?」って。なのでお互い嫉妬はまったくなくて、それぞれ違う道でという感じです。
――今回の役柄の薫には9歳離れた弟(優太)がいる設定でした。
結構難しかったです。薫はトラウマを抱えて心を閉ざしていて、弟には「部屋から出ていって」ときつく当たっているので、撮影以外でどう接したらいいんだろうと思いました。もともと私の方から話しかけるのは得意な方ではないんですけど、それでもお話ししたいと思い、撮影の合間にお話していました。
演じる上で大切だった“弟”の存在
――薫はある事件でトラウマを抱えますが、役柄への印象とどう演じようと思いましたか。
泣くシーンは、「泣かなきゃ」ということではなく自然と涙があふれてきました。私は平和に生きてきたので、薫の背景は自分の体験からヒントを得ることはできず想像することしかできなくて。でもただ想像しただけですとお芝居が軽くなってしまうと不安もあったので、過去にそうしたトラウマを抱えていた人の体験談を資料などで調べました。その人がどういう生活を送り、どういう風に克服していったのか、そういうことは知識として入れておくべきだと思いました。撮影中は、ずっと泣いていたり、ワーっと乱すシーンが多かったので、スタッフさんが気を使って下さいました。そこで気持ちのバランスを取っていました。
――カットがかかっていない間はなるべく平常心を保とうとしたのか、それとも気持ち的に引きずられてしまうところがあったのか。
実際の私は元気なので、カットがかかり素の自分に戻ってしまってから、再び役に戻るという自信がありませんでしたので、役の心情はずっとどこかに置いておくようにしました。
――なかでも大切にされたことはありますか。
弟の優太との撮影が一緒の時とそうじゃない時があったので、いない時は弟の事を思うようにしていて、年下の小さい男の子を大事にしたいという気持ちを忘れないようにしました。
――薫は弟を突っぱねるところもありますが、どこかしらに弟を思う気持ちはあったということですか。
薫は両親にはガーっと言いますが、弟には「出て行って」と言った後には申し訳ない気持ちもあって、両親に向けて何か言う時とは違いました。弟という守るべき存在みたいなものが、末っ子の私にはない部分でしたので、常に忘れないようにしなきゃと思っていました。
芝居することが楽しい
――この現場から学んだことは?
演技はもちろんですが、それ以外のところにもありました。みなさんお茶目な一面もあって、そういうのを見ていて、現場の雰囲気作りとか、やっぱり引っ張っていっている存在なんだなと思いました。なかでも印象に残っているのは、カメラが回っていないところでもいろいろ考えている表情が見られました。こんなに本気で作っている作品の邪魔を絶対にしてはいけないと思いました。一緒に作品に携われる喜びもありますし、これを壊さないようにしなきゃという気持ちでした。
――撮影を終えて達成感はありますか。
撮ったものを全く観られていなくて、今話していて、実際全然違っていたらどうしようってずっと不安なんです(笑)。家族はすごく楽しみにしていて、期待値だけが上がっているので、余計不安になります(笑)。
――そこも始まってしまえば不安が消えるかもしれないですね(笑)。目標しているものはありますか?
できるだけ自分の枠は決めたくないというのがあります。今までは田舎の娘とか元気なハッピーな役が多かったところで、今回こういう役をいただいたので嬉しかったです。当たり前ですけが、世の中にはやったことがない役がたくさんあるので、全部やりたいぐらいの気持ちではいます。
――演じることの楽しさを感じたのは当初からですか。
このお仕事をする前からお楽しみ会で演技をしていたので、楽しいというのがベースにあるんだろうなと思います。なので、ちょっとした事で「おーっ」と感動します。今回も初めて楽屋が個別にあって、それだけでテンション上がって写真撮りまくっちゃうみたいな(笑)。ちょっとしたことも楽しくて、基本的にドキドキワクワクという感じです。
――憧れている俳優さんは?
二階堂ふみさんがずっと好きで、演じる幅が広いというか。ギャップにいつもやられているので、ギャップのある人になりたいというのはあります。
――いつか共演する日があるといいですね。
それを夢に頑張ります!
(おわり)