Rei、アコースティック東名阪ツアーで見せた"Mahogany Girl"の真価
「Rei Acoustic Tour "Mahogany Girl" 2021」
(撮影=上飯坂一)
シンガー・ソングライター/ギタリストのReiが11日、7月3日よりスタートした東名阪ツアー「Rei Acoustic Tour "Mahogany Girl" 2021」のファイナル公演を名古屋・JAMMIN’で行った。“Mahogany Girl”ツアーは2017年より開催しており、ギター1本で旅をするというテーマで展開。今回のツアーは全会場2ショウ(入替制)で実施された。MusicVoiceではツアー初日となった7月3日の東京・日本橋三井ホールで行われた1st showの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】
こんなに長いメンバー紹介は初めて
ステージ上にはアコースティックギター、エレキギターが合計10本と壮観な光景が広がり、ちょっとした展覧会のような雰囲気があった。他にもサンプラーや少しサイズが小さめのバスドラムなどギター以外の楽器も設置。これから始まるステージを想像し、ギターのインストゥルメンタルを中心としたBGMに身を委ね開演までゆったりと待つ昼下がり。
いよいよ開演時刻になり、Reiがステージに登場すると大きな拍手で迎えられた。まずは並べられたギターの中からFenderのAmerican Acoustasonicを手に取り、“Mahogany Girl Tour 2021”のインストゥルメンタルナンバーである「Riverside」を演奏。その抒情的な演奏に観客も耳を傾ける。そして、スライドバーを使用しブルージーな雰囲気がたまらない「B.U」へ。ギターだけではなく自身でバスドラムを打ち鳴らしながらの歌唱。そして、身体を揺さぶるグルーヴィーな演奏で楽しませた「JUMP」では、印象的なクラップを観客と楽しむ場面も。その観客のクラップも演奏の一部となり、一体感のあるパフォーマンスとなった。
続いてGibsonのフルアコースティックギターのES-225にギターをチェンジし、膨よかなサウンドを響かせた「ORIGINALS」。温故知新を感じさせるナンバーで、彼女の音楽性の幅広さを堪能。「Route 246」に続いて「メンバー紹介」とコールするRei。一人しかいないステージでどうするのか? と思いきや、並べられたギターを1本ずつ紹介するという粋な演出。紹介を半分ほど過ぎたところでReiは「こんなに長いメンバー紹介は初めて」とぽつり。
ユニークなメンバー紹介を終え、事前にSNSで募ったリクエストから選ばれた曲を披露するコーナーへ。GibsonのアコースティックギターLG-2を使用し「Silver Shoes」を披露。Reiはこの「Silver Shoes」について、コロナ禍によって人と会うことに躊躇してしまう世の中になり、この曲のメッセージが現在とリンクし「いま歌いたい曲」だと語った。この話を聞いて、曲の意味合いはその状況によって変わっていく、その時代に寄り添った歌になっていくことを感じさせてくれた瞬間でもあった。そして、この楽曲を歌うReiの歌声は温もりに満ちていた。続けて届けられたのはビリー・アイリッシュの「bad guy」だ。オリジナルの打ち込みとはまた一味違う、生ならではのReiのテイストが加わったブルージーなアレンジで聴かせてくれた。
リクエストコーナーを終え、ライブは中盤戦へ。フェンダーのシンライン・テレキャスターにチェンジし演奏したのはインストナンバーの「Broken Compass」。美麗なアルペジオを奏でながら、ギターアンプの上に積まれたテープエコーを調整するReiの後ろ姿はギターの声を聞いているかのような雰囲気もあった。1音1音丁寧に紡ぎ、その流れのまま届けられた「Categorizing Me」では、リズムマシーンを使用しパフォーマンス。ガラッとここまでの雰囲気を変え、緩急のある流れでライブを展開。
そして、Fenderのストラトキャスターにギターを変えファンキーな「COLORS」と最新アルバム『HONEY』からの曲を立て続けに披露。ピックとフィンガーピッキングを巧みに使い分け、表情豊かな演奏とエネルギッシュな歌声を響かせた。さらにGibsonのファイヤーバードで、今年リリースされた1st アルバム『REI』のインターナショナルバージョンより全英詞の「LAZY LOSER - international ver」を歌唱。アップチューンでボルテージはさらに上り詰めていく。
会えて嬉しい
ES-225にギターをチェンジし、妖艶なフレーズから躍動感に満ちたナンバー「Lonely Dance Club」でライブは後半戦へ突入。中域が持ち上がった歪みサウンドが印象的でクールな演奏で魅了していく。そして、ジャンプ・ブルースのような疾走感のあるビートが心地よい「DANCE DANCE」へ。ライブ前日にSNSで「お家にあるお気に入りの食器、持ってきてください」とReiが告知していた意味がここで解明。観客は待ってました! と言わんばかりに持参したスプーンや箸を楽器にし、Reiと観客によるリズムのコール&レスポンスを展開。客席から金属音が鳴り響くという稀有な空間を作り上げていた。
「またまだいけますか?」と投げかけ、ラストスパートはLG-2でライブ定番ナンバーの「BLACK BANANA」演奏。観客もスタンディングでReiのエネルギッシュな演奏にクラップで応える。ラストはGibsonのフライングVで「What Do You Want?」をパフォーマンス。Reiのアグレッシブな一面が強調され、終始ハイテンションの中、本編を締めくくった。
アンコールでは、「皆さん、会えて嬉しいです」と素直な気持ちを伝え、クラシックギターで「matatakuma」を届けた。間奏から観客もクラップで楽曲を盛り立てる。このステージのエンドロールのような雰囲気を感じさせた演奏だった。「最後に一緒に踊りましょう!」と、ラストはFenderジャズマスターにチェンジし、ソリッドなギターカッティングが印象的なナンバー「COCOA」で1st showの幕は閉じた。
アンコール含め全17曲。アコースティックライブだが、1人で演奏しているとは思えないバリエーションと説得力があったステージだった。そして、彼女自身が音楽を存分に楽しんでいることが伝わってきた。改めて生のライブの素晴らしさを感じながらも、“Mahogany Girl”の未来への期待が高まった濃厚な約90分間だった。
この日、リスペクトするミュージシャンを招き行っているライブ『Reiny Friday -Rei & Friend-』を10月に東京と大阪で、“フレンズ”にシンガーソングライターの藤原さくらを迎え開催することを発表した。
セットリスト
Rei Acoustic Tour “Mahogany Girl” 2021
2021年7月3日(土) 東京・日本橋三井ホール
1st show_ open 13:45/start 14:30
2nd show_ open 17:15/start 18:00
1.Riverside
2.B.U
3.JUMP
4.ORIGINALS
5.Route 246
6.Silver Shoes
7.bad guy(ビリー・アイリッシュ)
8.Broken Compass
9.Categorizing Me
10.COLORS
11.LAZY LOSER - international ver
12.Lonely Dance Club
13.DANCE DANCE
14.BLACK BANANA
15.What Do You Want?
encore
16.matatakuma
17.COCOA
Rei Acoustic Tour “Mahogany Girl” 2021 セットリストプレイリスト






















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