INTERVIEW

堀家一希

リベンジしたい。それが原動力
『東京リベンジャーズ』パーちん好演


記者:木村武雄

写真:木村武雄

掲載:21年07月10日

読了時間:約9分

 俳優・堀家一希(23)が、現在公開中の映画『東京リベンジャーズ』に出演している。日本テレビ系ドラマ『ネメシス』では第5話に出演、事件の舞台となった天久家の三男・三魚役を好演した。本作では、総長マイキー(吉沢亮)率いる東京卍會の参番隊隊長・パーちんを演じる。東京卍會が、敵対する愛美愛主との抗争の引き金を引く重要な役どころだ。役作りのために15キロ増量するなど気合を入れて臨んだ。吉沢亮や、副総長ドラケンを演じた山田裕貴は、役柄のように優しく接してくれたという撮影を振り返る。【取材・撮影=木村武雄】

堀家一希演じるパーちん(C)和久井健/講談社(C)2020 映画「東京リベンジャーズ」製作委員会

トップギアで

――出演が決まった時の心境は?

 嬉しかったです。と同時にプレッシャーも感じました。もともと原作は読んでいて、東京卍會のみんなクールなんですよ。クールでカッコよくてスタイリッシュ。そのなかで、パーちんは盛り上げ役でもあるので名立たるキャストのなかでどうやったら盛り上げられるか、そもそも僕にそれができるのか不安でした。

――濃いキャラクターがひしめくなかで、存在感を出さないといけないことも?

 その辺はあまり考えていませんでした。意識しすぎると周りが見えなくなってしまうので、演じる役が何をしたいのか、どう思っているのかという事を重点に考えていました。

――そのなかで役作りのために15キロ増量されて、役柄とどう向き合っていきましたか。

 体型を作るというのは大前提にあるのですが、パーちん自体はこの映画ではあまり描かれずに中盤から登場しますので、自分のセリフよりかは周りのセリフから東京卍會はどういうグループで、どういうことを目的としているのか、どういう想いで戦っているのか、ということをくみ取って作っていきました。あとは原作からの基盤となるケンカっ早いという要素などを入れていきました。

――最初の撮影はどのシーンからですか?

 東京卍會が神社で行った集会です。

――総長マイキーを始め、副総長ドラケンなど全員参加した集会ですね。錚々たるなかで…(笑)。

 もう緊張しました(笑)みんなに囲まれて(笑)しかも北村さんが演じたタケミチの胸ぐらを掴んで…もう緊張しないわけがないです(笑)

――なかなかの迫力でしたが、空気に飲まれそうにならなかったですか?

 それはありませんでした。パーちんは前触れもなく「おい、コラッ!」と怒り出すので、自分から空気を作るぞというテンションでやりました。でもパーちんはそれまでは誰とも絡んでなくて、いきなり発進するような感じでしたので、やることはやろうと思って、最初からギアを上げて「オラーーー、どこ見てんだコラーーーー!」という感じでした(笑)。

堀家一希

傷だらけのタイマン

――吉沢さんや山田さんはいかがでしたか。

 すごく優しかったです。実はお二人との共演は『トモダチゲーム』(16年)以来2回目なんです。それをなんとなく覚えていてくれて、初多面よりかは少し話しやすかったんです。それでパーちんのシーンを撮った後に、階段の上で山田さんが「グッジョブ!」ってやってくれて、「うわ~かっけえ」って思って嬉しくて。

――役柄とも相まって?

 そうです。パーちんとして扱ってくれている感じはありましたね。試写で会った時も「パーちん、痩せたね」とか、「パーちん、良かったよ、切なかったよ」と言ってくれて。より頑張ろうと思いました。

――タイマン(1対1のケンカ)のシーンはどうでしたか。

 あまりの激しさにケガしたんです。攻撃が実際に当たって鼻血が出て、更に飛ばされたところの角に当たって首を切って、数週間は痕が残っていました。相手・長内役の湊祥希さんも指の骨が折れているんじゃないかぐらい腫れていて。

――激しいタイマンだったので相当リハは重ねたんだろうと思います。

 やりました。1日2、3時間を、2、3日やりました。タイマンはその前日から前乗りして、その現場で実際にやって、次の日撮りました。

――あれはいくつかのカットに割ってアクションしているんですよね。

 そうです。ここからここまで撮って、そこからここまでを撮って、といういくつかのパターンで撮りました。すごく大変でした。体力がつらくて、吐きそうになるぐらいでした。でも楽しかったです(笑)

――『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』の時でもアクションシーンで、小栗旬さんから「リアルではなくなるから遠慮しないで来ていいですよ」と言われ遠慮なくいけたとも話していましたけど、今回はどうでしたか。

 いろんなアクションがあって全部本気だったんですけど、敵を殴ろうとして避けられて壁を殴るというシーンで、実際には壁ぎりぎりで止めるんですけど、本当の壁だったのでそこだけは少しためらいがありました(笑)。自分の腕の長さとかも感覚で分かっていないといけないので、たくさんシミュレーションして、最終的にうまくいきました。

堀家一希

現場に立った時によみがえった感覚

――撮影は去年初めにクランクインとなりましたが、コロナ禍で中断して、そこからだいぶ時間が空いて今年1月にクランクアップして、時間が空いてから再び役に向き合うのはどうでしたか。

 ビジュアルに関しては、ちょうどその時は『君と世界が終わる日に』(日本テレビ系)の撮影と同時進行していましたので、どうしようもなかったんですが、内面的な部分で正直不安はありました。1つ怒るにしても怒り方があって、パーちんはどういうところでキレて、どういう沸点なのか、そういうところを思い出すのに大変さもありました。でも現場でみんなと話していると自然に「こんな感じだったなぁ」とちょっとずつ思い出してきて、「そういえば俺、メンバーみんなに『いくぞ!!』とすごく声を出していたな」とか。

――ビジュアル面や基本的な性格の役作りはされたと思いますが、現場で感じたことを大事に受け取って表現するような感じでしたか。

 そうです。ビジュアルは寄せるにせよ、監督も比較的「原作のキャラに寄せなくてもいいよ」と言っていて「もっとアドリブで舌打ちとか、あおりとかを入れいいよ」とか。「楽しくやろう、楽しいものを作ろう」という感じでしたので、準備はもちろんしますが、現場で感じたものを大切にしていました。

――では現場で引き出されたものとかも。

 たくさんありました。逆に考えていったものを却下されるときもありました。「やりすぎだから」って(笑)。些細なことですけどね、最後の決戦とか。

――それがどこまで活きているのか、実際に見てのお楽しみですね。それでこの作品はご自身にとってどういうものになりそうですか。

 まずお客さんにこの作品を見てほしいというのがあります。そのうえでパーちんは、他のメンバーがスタイリッシュにケンカしているなかで、一人だけ泥臭く向かっている、チームの色にとって大事な役だと思うので、そこを任されたのは嬉しいですし、名立たるメンバーのなかで、こういう役者もいるということを知って頂く機会にはなればいいなって思います。これを機にもっともっとメインの役に入っていけたら嬉しいです。

――今言われて、パーちんは、義理人情とかマイキーが理想を掲げる東京卍會の象徴的な立場ですね。

 確かにそうですね。仲間を守るチームなので、そのなかで仲間の親友が殴られて、彼女もケガを負って、そのなかでどうするんだ、という物語の流れが変わる場面でもあるので、そこの役を僕が演じられてありがたかったです。

――パーちん自体にも同情が寄せられるようなキャラクーではないとダメで、それが表現されていたと思います。

 そうなっていたら嬉しいです。パーちんはかなり純粋ですし、仲間思いですし、ただケンカっ早いのはたまにキズという感じです(笑)。

堀家一希

『ネメシス』で学んだこと

――それと『ネメシス』では、第5話の父親殺害の容疑にかけられる三兄弟の三男・三魚を演じました。

 探偵を題材にした作品で、自分が犯人かもしれないという疑惑を生むようなところも出さないといけなかったですし、でも本人は疑ってほしくないわけですから、微妙なニュアンスを表現するのは難しかったです。でも嬉しかったですし、演じるのは楽しかったです。

――そのバランスはどう意識されたんですか。

 カメラの位置とか、監督の演出などを踏まえて、この場面ならこういう顔をしようというのは考えました。でも役自体は、そうしたくてそうしているわけではないので、自然に表現するのが難しくて。ただでさえ三魚は親思いの一面が出ていた役だったので、それをどう犯人っぽく見せるのかというのが大変で、でも最終的には「そのままでいいや」と割り切りました。変に犯人っぽくしなくても、視聴者は推理していると思うので疑いの目は自然とかけられるだろうと思って。そこからは普通に演じて、その合間に犯人っぽい顔や、こういう行動を起こしても不思議ではないよな、と思われるような表情を入れていきました。

――それは大きな収穫ですね。

 映像を通してお客さんが見る視点などを客観的な考えられたというのは大きな収穫でした。視野が広がったといいますか、表現のツールが増えた感じで、今後、推理ものだけでなく、いろんな作品に活かされるだろうなと思います。

――復讐心に燃える役や今回の作品もそうですけど、幅広く演じられているので、これで純愛作品をやったらどういう芝居をみせるのか楽しみです。

 それが、今度、ゲイの役をやるんです。『世界は僕らに気づかない』という作品で主演を務めさせて頂きます。自分は高校生ゲイカップルで、母がフィリピン人のハーフという設定で、約1カ月間、群馬で撮影しました。楽しみにして下さい!

――改めて、主演作も決まり、『東京リベンジャーズ』で重要な役どころを演じて、将来への期待も高まるところですが、ご本人はどう感じていますか。

 そんなに楽観視はしていなくて、もっとやりたい気持ちはあるんですけど、それに見合う、あるいは追いつかないと次の出演機会もめぐってこないと思っていて、そこをどうやって高めていけるという気持ちです。でも楽しみな面もあり不安もあり、もっともっと成長しなくてはという気持ちなので、現状にまだまだ満足していないですし、できるわけもないです。北村さんとかいろんなキャストのなかでどうしたら満足できるんだって自分は思っています。

――刺激を受けながらも改めて自分の立場が…。

 まだまだだなというのは感じています。

――1つ1つの作品が「一発勝負」ということですね。

 オーディションに落ちたらすごく悔しいですし、1つ1つにすごく執着するんです。「これ負けたわ」って悔しくて。結果的にいい作品になればいいんですけど、役者としては悔しいですし、「負けたな、悔しい、俺もああいう芝居をやりたい」って思うんです。

――でもそれが原動力になるわけですよね。

 なります。「絶対にいつか見返す、勝つ」みたいな。いろんな人に悔しい思いさせられてきたので、それは全員見返したいです。それこそリベンジですね。

堀家一希

(おわり)

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