高畑充希『異邦人(いりびと)』で主演「丁寧に作ってゆきたい」
原田マハ美術小説のドラマ化
原田マハ氏の美術小説『異邦人(いりびと)』(PHP文芸文庫)が、高畑充希主演でドラマ化されることが決まった。2021年初冬にWOWOWで放送・配信される。
ドラマ、映画、舞台など多彩な才能で他を圧倒し、話題作への出演が後を絶たない実力派女優の高畑充希が本作で演じる主人公は、希代の美術蒐集家の孫娘にして美術館の副館長を務める篁菜穂(たかむら・なほ)。祖父の血筋を受け継ぎ、透徹の審美眼を持つ菜穂は、無名画家が描いた一枚の絵に魅了され、それを世に出そうと企図したことがきっかけで、語られざる京都画壇の深みに踏み込み、その巨魁と対峙することに……。
時に美しく、時に狂おしく。美術世界で交錯する人間模様や、京都の雅やかな景色を交え、夭折したある天才画家の死の真相と、才能を隔てた激しい愛憎が暴かれる。
『キネマの神様』『総理の夫』と今年立て続けに公開される原作をはじめ、WOWOWでは「CONTACT ART~原田マハと名画を訪ねて~」がシリーズ化されるなど話題の絶えない原田マハ氏だが、美術キュレーター出身の小説家として本領とも言える美術小説が映像化されるのは本邦初となる。
監督を務めるのは、映画『サヨナラまでの30分』(20)や『東京喰種 トーキョーグール』(19)などを手掛け、CMやドラマでもその才気を遺憾なく発揮する萩原健太郎氏。
美しい京都の情景、由緒ある美術館、原作にも登場するクロード・モネ「睡蓮」など数々の名画がフィーチャーされ、目にも美しく知的好奇心をくすぐられるアートミステリードラマに期待だ。
主演・高畑充希:コメント
――本作のオファーを受けた際のお気持ちや、WOWOW初の主演を演じられることについての意気込み
WOWOWはいつも丁寧にドラマを制作されている印象があったので、お話をいただけてとても嬉しく思いましたし、大変光栄です。
私の周りにも、WOWOWドラマファンが沢山居まして、楽しみにしてるよ!と言ってもらえているので、じわじわとプレッシャーも感じつつ、頑張らなきゃ!という思いです。
こんな時期ですが、なんとか全編京都で撮影出来るということで、その喜びを噛み締めながら、私もこのチームの皆さんと丁寧にドラマを作ってゆきたいです。
――脚本を読まれた際の印象
このお仕事をしていると、“人としての正解”と、“芸術としての正解”が食い違う場面に時々遭遇します。
人としてはこれやっちゃうとまずいけど、芸術としてはこの選択したいよね…!というような。
今回の作品はその狭間でみんなが少しずつズレて行く様が怖くもあり、少し可笑しくもあり。
私自身の役柄もとても難しく、不安が大きいですが、つい先日まで舞台で演じていた役に引き続き「望まない妊娠をしている女性」という役で、不思議なご縁を感じています。
この作品は、京都で撮れなきゃ意味がない!と思うほど京都の美しい街並みが主役のような作品なので、脚本の世界に美しい風景が合わさったら、どんな素敵な画になるんだろう…と、とても楽しみです。
――視聴者へメッセージ
全5話、皆さんに楽しんでいただけるような素敵な作品になるよう、頑張ります。お楽しみに!
原作・原田マハ:コメント
「異邦人(いりびと)」がWOWOWでドラマ化されることについてのお気持ちや、期待されることなど私にとって京都は永遠の憧れの美の象徴です。その場所を舞台に、アーティストの才能と美の本質を見抜く眼力を持った主人公・菜穂が、運命に抗いながら強く生き抜いていく姿を描いたのが本作です。
映像化にあたり、偽物ではない京都の美を存分に取り込んで欲しいと、私自身も監修に関わりました。
主演の高畑充希さんは、凛として強く美しい主人公を演じてくださることと期待しています。
演出の萩原監督は、みずみずしく、また深い洞察力を持って、京都に生きる人々を描き出してくださるでしょう。
京都の美とそこに潜む人間ドラマを存分に堪能できる一作の誕生を、心待ちにしています。
監督・萩原健太郎:コメント
――本作のオファーを受けた際のお気持ちや、高畑充希さんの印象
原田マハさんの原作を読ませていただいて、読むたびに違った表情を見せるこの作品の奥深さにとても魅了させられました。京都本大賞を受賞したこの原作を、京都に何の縁も無い自分が監督させていただく事は、自分にとって大きな挑戦であると同時に、大変身の引き締まる思いです。主演の高畑さんと一緒に、“いりびと(異邦人)”の気持ちで京都の魅力を深いところまで伝えられる作品を目指します。
――本作の映像化に際して、こだわりや作品に込める想いなど
この作品は、ミステリー、メロドラマ、芸術と一つのジャンルでは括れない多様な顔を持っていますが、これは“生き方”の話でもあると思います。日々流れていく時間の中で、自らの生き方を問い、疑っている人がどれだけいるのでしょう?それは自分で決めた生き方なのか、誰かが決めた生き方なのか。“いりびと”である僕が京都で見つけたもの、それは表面的な美しさや伝統ではなく、もっともっと奥深い“理(ことわり)”そのものでした。最終話にその答えを用意したので、ぜひ最後まで楽しんでご覧ください。