NEEとPEOPLE 1が出演する対バン形式の音楽イベントが6月3日、恵比寿LIQUIDROOMで開催された。今回が初開催となる「BLT LIVE BOOSTER」は、2021年に設立された音楽レーベルBLT Recordsが主催するイベントであり、オープニングアクト2組を含む合計4組の若手アーティスト/バンドが出演したその様子をレポートしていく。

 この日のトップバッターとして登場した1組目は、2000年生まれのシンガーソングライター・冨田直(トミタナオ)。昨年行われたUMAとCINRA.NETの新人発掘企画『XX AUDITION』の優秀賞にも選出された彼だが、ピアノサウンドと現代的ビートミュージックが融合したトラックの上で堂々と歌い上げる姿が印象的であり、人生で初めて作曲したという「あっけらかん」を含む4つのオリジナル曲を披露した。

冨田直(撮影=nakaiso yoshio)

 2組目に出演した滋賀県出身のシンガーソングライター・ナカムラマユは、「煙」「Y字路」「今日は」というオリジナル曲3曲を全編アコースティックギターの弾き語りで披露した。20代前半とは思えないメロディセンスと文学的な歌詞が詰まった楽曲を、やさしさのなかに力強さが見え隠れする声で歌い上げる姿に会場が引き込まれていくように感じられた。そしてこの日、「煙」のミュージックビデオがYouTubeで公開されるなど、今後の活躍が一層期待される。

ナカムラマユ(撮影=nakaiso yoshio)

 オープニングアクト2組のパフォーマンスが終わり、ステージにNEEのロゴが描かれたバックドロップが掲げられると会場からはどよめきが起こり、今夏にメジャーデビューすることが発表されたばかりのNEEの人気が伺えた。EDM/フューチャーベースを彷彿とさせるSEが流れるなか、大樹、かほ、夕日、くぅとロックバンドとして100点とも言える個性的なビジュアルのメンバーがひとりずつ登場し、会場からは歓声の代わりとなる盛大な拍手が贈られた。もはやオープニング曲として定着しつつある「ボキは最強」、縦横無尽にリズムが変化していく「万事思通」が二曲続けて演奏されると、会場の空気感はNEE一色に。そして高い人気を誇る「歩く花」、4月にデジタルリリースされたばかりの「アウトバーン」、狂気とセンチメンタルな感情が共存する「aLaLe」と、アグレッシブ且つ一筋縄ではいかない楽曲が披露されると会場のボルテージは一段階上がった。さらに「幸せか幸せじゃないかよくわからない曲をやります」とくぅによって紹介された未発表曲「こたる」では、それまでと打って変わった内省的な空間からエモーショナルに弾けていく展開で会場全体の心をつかんだ。ラストMCで「みんな革命を起こしたことある?革命なんてめったに起こらない、そんな日常のなかにいます僕たちは。そういう日常で僕たちは革命を起こしていこう!まだ革命なんて起きないですからねこの世界は」と言い残すと、YouTubeで1,000万回再生目前のスマッシュヒットアンセム「不革命前夜」で会場全体をより一層沸き立てひとつに。そして最後にNEEのパンキッシュなキラーチューン「下僕な僕チン」をなだれ込むように披露し、会場の熱気を最高潮まで高めてこの日のステージを終えた。

NEE(撮影=nakaiso yoshio)

 そして「BLT LIVE BOOSTER vol.1」のトリを務めたのは、この日が初ライブのPEOPLE 1。「2019年末、Deu、Takeuchi、Itoの三人によって結成されたバンド」ということ以外の情報がない彼らが暗転のステージに登場すると、何とも言えない緊張感が会場に広がっていき、そんな緊張感をかき消すかのように1曲目「さよならミュージック」が演奏され、PEOPLE 1が初めてファンの前に姿を現した。客席から見て、左からDeu、Ito、Takeuchiと並び、その後ろにサポートメンバー2名がいる変則的なステージ配置からも、独自の活動スタイルを守ってきたPEOPLE 1らしいこだわりが感じられた。2曲目「フロップニク」、3曲目「スラップスティック・ガール」とPEOPLE 1の楽曲群のなかでも特に中毒性の高い2曲に続けて、4月28日にMVが公開されて早くも人気曲になりつつある「ラヴ・ソング」が披露された。その後、はじめてのMCのなかでItoが「もっとあのときああしていれば良かったな、と思ったときに自分を許してあげられるような曲です」と紹介をして未発表曲「魔法の歌」を初披露し、客席からは大きな拍手が沸き起こった。新曲を聴いた高揚感が収まらないなか、「常夜燈」「113号室」「アイワナビーフリー」とPEOPLE 1のヒットナンバーが続けて演奏され、会場は多幸感と熱気に溢れた。そして最後に「東京」「イマジネーションは尽きない」で会場をさらに熱く盛り上げ、PEOPLE 1にとっての記念すべき初ライブは幕を閉じた。

PEOPLE 1(撮影=nakaiso yoshio)

 NEE、PEOPLE 1、ナカムラマユ、冨田直と新進気鋭のアーティストたちが期待値を超えるパフォーマンスを披露した「BLT LIVE BOOSTER vol.1」。それぞれのアーティストと共にBLT Recordsの今後の躍進を約束するかのような一夜となった。

この記事の写真

記事タグ 


コメントを書く(ユーザー登録不要)