森高千里がデビュー記念日の25日、栃木県の足利市民会館でコンサートを行い、新型コロナウイルス感染防止のため昨年から延期してきた「この街」TOUR 2020-22をスタートさせた。足利市は1993年のヒット曲「渡良瀬橋」の舞台。数々の森高伝説を刻んだ会場が老朽化で来月閉館となるため、この日だけは「さようなら足利市民会館ありがとう五十五年」のサブタイトルを付け特別な思いを込めてマイクを握った。

 大きな手拍子で迎えられながら、20代の頃のような超ミニスカート姿で登場。

 1曲目は応援ソング「ファイト」。コロナ禍とたたかうファンを歌声で元気づけた。コロナの感染拡大防止ガイドラインに沿って、観客は収容人数半分以下の約700人。パフォーマンスも1時間30分に制限。その分、昼夜2公演で約1400人を前に15曲ずつ計30曲を歌った。

森高千里

 前後左右とも1人分ずつ間隔の空いた客席に向かって「今日は私のデビュー記念日でもあるので、そんな日にステージに立っていられるのも感謝です」とあいさつ。

 声援を送りたくても送れないファンに「みなさんが声を出せないのはつらいですが、コンサートができるだけでも感謝。熱い気持ちで応援してくれたらうれしいです」と呼び掛けた。

 足利市民会館でのコンサートは3度目。

 築55年を経て取り壊される前にファンとお別れしたかった。忘れられないのが93年6月15日の公演。「渡良瀬橋」をご当地で初披露すると、地元ファンは大合唱で歓迎。その手厚さに感激した森高は思わず泣き崩れてしまったエピソードがある。

 結婚、出産直後は、なかなかステージに立たなかった時、復帰公演に選んだのもこの会場2013年3月に約15年ぶりのコンサートを開いた。「渡良瀬橋」に登場する「八雲神社」が12年末に焼失したことに心を痛め、再興へのチャリティーもかねて開催。これが弾みとなって2019年までは、精力的にライブを行ってきた。しかし、コロナ禍で状況は一転。昨年6月から予定した「この街」TOUR 2020-22は中止が続いた。

森高千里

 当初3月に予定しながら延期を余儀なくされた経緯もあり「本当にツアーができる状況に間に合ってよかった」と笑顔。公演前には八雲神社に立ち寄って感謝状を受けたことを観客に報告。「再建の際の募金の感謝状をいただきました。私とみなさんの感謝状。みなさんのおかげです」と一礼した。「今日は会館に入る前に渡良瀬橋を渡って来ました」と明かし、「渡良瀬橋」の間奏ではリコーダーを演奏。「私がオバさんになっても」「17才」「気分爽快」「私の夏」などヒット曲も連発。ツアータイトル曲の「この街」では、「足利しゅうまい」「岡田のパンヂュウ」などご当地グルメを間奏のセリフに盛り込んだ。

森高千里

 「今年のコンサートツアーがここ足利市民会館でスタートできたのは本当に感慨深いです。この足利市民会館がなくなってしまうのは本当に寂しいです」と思いを伝え、「私にとって足利は第二のふるさとです。みなさんにとっても特別な場所であって欲しいな」と語った。

 19年以来となるツアーの初日を特別な会場で終えると、「みなさんに歌で元気を届けたいと思っています。配信ライブとかもやりましたが、やっぱり、皆さんの前でやるのが一番私のパワーが出る時間。みなさんに元気を届けたい」と約束。「初日を足利で迎えられたこと、忘れられないコンサートになりました。また足利でコンサートをやりたいです」と誓った。

 足利市側もこの日は午後6時の市内放送で流す音楽を「渡良瀬橋」にして応じた。

森高千里

この記事の写真

記事タグ 


コメントを書く(ユーザー登録不要)