『映画ヒーリングっど(ハートマーク)プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!』が3月20日(土)公開された。映画オリジナルキャラクター“ゆめアールプリンセス”のカグヤ役を務めるのは小林星蘭(16)。花寺のどか(キュアグレース)を演じる悠木碧とは4歳から芸能活動をスタートさせた共通点がある。プリキュアの大ファンだった星蘭は悠木らとの共演に目を輝かせる。互いに声優は天職と捉えている2人にプリキュアの魅力や互いの印象などを語ってもらった。【取材・撮影=木村武雄】
カグヤの存在
小林星蘭 プリキュアシリーズは小さい頃から観ていて、すごく憧れて大好きな作品でしたので、同じプリキュアの世界に入れると思うとすごく嬉しかったです。最初に聞いた時は夢なんじゃないかと思うぐらい戸惑ってしまい、「本当ですか!?」という声もガタガタと震えていました。プリキュアのみなさんと同じ場所でやれるという事もすごく緊張したんですけど、楽しんでやれたらいいなと思いました。
――カグヤは人気モデルというキャラクターですが、役作りはいかがでしたか。
小林星蘭 カグヤちゃんが14歳くらいなので、私と年齢はそう離れていませんが、すごく可愛らしい子なので自分より少し高めの声にしたほうがいいのか、私自身が声はもともと高い方だと言われるので、そのまま自分らしくした方がいいのか、考えながらやっていました。ドキドキ録りながらこれで合っているのかなと。
――悠木さん、星蘭さんの声を聞いてどのように感じましたか。
悠木碧 カグヤちゃんからこういう声がしたらいいなという声だったので、すごくワクワクしました。とてもアイドルチックな事をしてくれるカグヤちゃんですけど、そこに作り込まれた媚びのようなものが絶対にあってはだめで、星蘭ちゃんのカグヤちゃんは純粋でみんなが好きになれる声でした。それにキュンとしながら収録させていただきました。星蘭ちゃん自身が、きっとカグヤちゃんのこういう部分が好きって考えながら役を構築されていたんだろうなということが伝わってきて、丁寧に愛されて生まれてきたお芝居なんだなと思いました。
――そのカグヤですが、悠木さんから見たカグヤ、星蘭さんから見たカグヤの印象は?
悠木碧 ストーリー上では守るべき存在として登場します。のどかは、分かってあげたい、守ってあげたい、カグヤの喜ぶ顔が見たいと思って頑張ります。とにかく愛おしいキャラクターです。『映画プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日』で登場したミラクルンと違うのは、カグヤにはカグヤなりの悩みがあって、何かに追われているのではなく、助けたいという意思が明確にあります。そこに協力してあげる形です。表舞台に立っている明るいカグヤと、少女として家族のことで悩んでいるカグヤ、どちらもピュアで愛おしい存在です。
小林星蘭 ステージに立って歌っているカグヤに、人の前に立つ身として親近感がありました。みんなに向けて何かを発信している姿がすごく可愛らしいし、冒頭のライブシーンでも、「あなたの夢が叶いますように」ってみんなに向けて発信していて、私よりも年下なのになんて偉い子なんだと思いながら演じました。お母さんの事が大好きで親子愛がはっきり出ていながらも、親子ならではのすれ違いも描かれていて、私が実際にお母さんと喧嘩した時のことを思うと、すごく分かるなって共感しつつも、カグヤちゃんも子供らしい子供なんだなって思いました。
――今回のプリキュアは衣裳も見どころの一つですが、カグヤの衣装も可愛いですよね。
小林星蘭 最初観た時からハートを打ち抜かれました! 首元のチョーカーが蝶々の形になっているのがすごく好きで。ドリームちゃん(キュアドリーム)をちょっと感じる。背中の装飾も可愛い。
――しかも星蘭さんが好きなピンク。
小林星蘭 そうなんです。ピンクは裏切らないですから。たとえどんなカラーのキャラであったとしても、プリキュアに一切裏切りはないんですけど。本当に王道ピンクが大好きで、私的には瞳の中で愛らしさというか、なにか放たれているキラキラとしたものがすごく素敵で大好きです。
――そして、ヒープリチームの衣装も可愛い。
悠木碧 めちゃめちゃ可愛いデザインですよね。うさ耳も生えちゃって。(キュア)スパークルがしましまの靴下になったのはあざとくて最高! あと、(キュア)アースが銀幕デビューなんです。ヒープリをやっているとアースって子供的なイメージがあって、3人で育てている感じがあるから、「うちの子、映画出るんですよ」みたいな気持ちになって(笑)。嬉しいこと尽くしです。最初、カグヤちゃんのデザインを見たとき、新しいプリキュアのように感じられるほどで。後ろの透明なお花が可愛いよね。透け素材ってテンションが上がるよね。
小林星蘭 そうなんですよ! 透け素材もそうですし、ちょっとフォームが変化した時のリボンもたまらなくいいですね。
――愛が溢れていますね(笑)。
悠木碧 収録の時、星蘭ちゃんの「5(Yes!プリキュア5 GoGo!)のみんなが来るぞ」ってなった時のソワソワ感が愛おしかった(笑)。子供の頃に憧れていたヒロインが目の前で闘うと思ったら、それはわくわくするよなって。そういう意味でも、私は世代ではなかったけど一緒に嬉しくなりました。彼女たちが人々に与えてきた希望の形がそこに見えて嬉しくて。
それぞれのヒーロー
――子供たちにとってプリキュアが、カグヤにとって母がヒロインだと思いますが、お2人のヒロイン的な存在は?
悠木碧 両親は身近なヒロインですね。学生の時、目立つ仕事をしているから、やゆの対象になったりして学校に行きたくなくなった時がありました。それをお母さんに話したら、「じゃあ、行かないでお母さんとテレビを観よう」と言われて、当時「お母さんすごい」と思いました。今思い返してもあの時の母の決断は有難かったなと思いますし、娘を守ろうとして一つ一つ決断をしてくれているのは紛れもないヒロインだと思います。プリキュアも自分の大事なものを守るために一つ一つの決断を悩んでいきます。お母さんは変身しないけど、選択を自分の娘のためにしていく。
――あの姿は泣けますね。星蘭さんはどうですか。
小林星蘭 小さい時からお仕事していたというのもあって、学校の友達はいたんですけど、その友達というネットワークをもって過ごす事がそんなに多くなくて。その分一緒に遊んでくれた親戚やおばあちゃん、お母さん、自分のやりたい事を言った時に「進めていいよ」って言ってくれた事務所の方が私にとってのヒロインです。今声優としてプリキュアの世界に出させていただけるのも「周りの人が自分のやりたいことを好きなようにやってみたらいいんじゃない」って言ってくれたおかげで、それがなかったらこんなに素晴らしい事ができていなかったと思う。それとファンの存在も大切です。今日良くない事があったり、ショックな事があったことをSNSでつぶやいた時に、「今週大変だったかもしれないけど頑張ろう」って返事をくれたり、「お仕事決まりました」と入れたらたくさん喜んでくれるファンの方がいて。自分がお仕事していることが周りに喜びや幸せを与えられているのは、ファンの方がいてこそ。ファンの方も私にとってはヒーローみたいな存在だと思っています。
声優は天職
――実はお2人は4歳から芸能活動を始めているという共通点がありますが、悠木さんが声優の道に進んだのは、ある種の表に出て演じることへの葛藤があったからと過去に語っていますが、声優という職業はご自身にとってどういう存在ですか。
悠木碧 何にでもなれる究極の仕事だと思っています。マイクの前に立ったら別の誰かになれる。形も年齢も性別も何でも超えられるので、自由度の高い仕事だと思います。声優は作品に出ている期間(放送期間などのサイクル)が短いので、いろんな役に当たる機会が多くなります。短期間でいろんな人の視点からいろんなストーリーを見られるお仕事で、演じているとすごく心が豊かになります。もっともっと勉強して、いろんな役に取り組んで行きたいと思っています。
――すごく充実しているように感じます。
悠木碧 充実しています! すごく芝居が好きで、いつか飽きちゃったらどうしようと思う時も一瞬あるくらいずっと熱中していたんですけど、飽きはこないですね。もう一生それはこないんじゃないかと思うようになりました(笑)。
――まさしく天職ですね。
悠木碧 みなさんにそう思って頂けたら、私としては幸せな限りです。
――星蘭さんは、いつかプリキュアの声をやりたいという夢は?
小林星蘭 いつかプリキュアに出たい、プリキュアになりたい、プリキュアの声優になりたいっていうのがあります。今も憧れています。どの役がやりたいというこだわりはないです。世代交代の時に前プリキュアと新プリキュアが喋るタイミングがあるじゃないですか。それをやりたいという想いが強くあって。あの瞬間って儚くもあり悲しくもありエモーショナルになるんです。あの感覚を味わってみたいです。もし、やらせていただけるのであればやりたいです。やらせて頂けるのであれば…。
悠木碧 あり得るよ! 私、『アラモード』(映画キラキラ☆プリキュアアラモード)の時は敵(クック)だったから。カグヤちゃんを経験したらすぐにピンクだよ。もし、自分がプリキュアになるとしたら何色だと思う? 私は自分の事を紫と思っていたんだけど。
小林星蘭 何色だろう…あ! 黄色です! 性格が黄色っぽい。ちょっとオタク気質よりな感じですね。私が思い描いているのは、プリアラ(アラモード)の時のひまりちゃん。実際一人で集中して何か見たりするのは好きなんですけど、周りとコミュニケーションをとるのが苦手なんですよ。一つの事に熱中しすぎて、気付いたときにはあれ? みたいなところは黄色っぽいかなと思います。
――ピンクが好きだからピンクかと思いました(笑)。
小林星蘭 自信と前向きさがあればピンクと言っていたかもしれないけど、やる気の満ち溢れてなさが足りていないかも…。でも自らピンクとは言えないですよ!(笑)だいぶ勇気がいります(笑)。
――さきほど星蘭さんの話の中で、「周りの支えがなければ声優をやらさせてもらえなかっただろう」というのがありましたが、やはり声優はやりたかったんですか。
小林星蘭 小学校5年生でアニメにハマり始めていろんなものを観るようになってその時に声優をやりたいと思いました。プリキュアを観ていた時は声優さんになりたいというよりもプリキュアになりたいという方が強くて。声優になりたいと思って事務所の方にお願いして「そういう方向も考えてみようか」ってなって、実際に声優のお仕事をやらせて頂いて本当に良かったなと思いますし、タイミングも運も良く、声のお仕事もやらさせていただくようになったので、あの時アニメを見てなかったらどうなっていたんだろうと思う時もあります。今のお仕事が出来て良かったなと思います。
――星蘭さん、この作品に出た事は自分にどういう影響を与えそうですか。
小林星蘭 より一層プリキュア声優をやりたいという欲が強まったのと、プリキュア声優さん達と一緒に収録させていただいたことで、自分に足りないものというのが分かった気がします。これから先に繋げられるたくさんのことを吸収出来たので、今後はそれらを実行出来るようになりたいと思っています。自分にやる気をつけさせていただいた事が大きく影響していると思います。
――最後に悠木さん、エンドロールも見どころの一つになっています。
悠木碧 どのシーンもウルっときちゃうんですけど、一年通して放送が終わった後に公開する映画だからこそエンドロールの最後を見て集大成なんだと感じられて。試写したときもう決壊して泣いちゃいました。いろんな事があって今の彼女たちがいるんだぞというのがあってグッときました。ぜひそちらも楽しみにして頂きたいです。
(おわり)
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— voice - ヴォイス (@MusicVoiceEnt) March 21, 2021
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