「上手な医療のかかり方」プロジェクトを推進している厚生労働省は3月10日、第二回「上手な医療のかかり方アワード」事例発表・表彰式を、オンラインで開催した。「上手な医療のかかり方」大使を務めるアーティストでコメンテーターのデーモン閣下が出演し「想定外の事態に柔軟に対応できる考え方、取り組みが重要であると考える」とコメントした。

 「上手な医療のかかり方」プロジェクトは、2020年度に始まった取り組みで、高齢化に伴い医療ニーズの増大と担い手の減少がみられ、更に医療機関はコロナ対応に日夜奮闘している中で、「医師をはじめとする医療従事者の負担軽減」と「若年層に対する医療受診の教育」を進めていく取り組みだ。

左から秋山正子氏、熊木正人氏、迫井正深氏、デーモン閣下

 「上手な医療のかかり方アワード」では、そんな医療現場の問題解決につながる取り組みを全国の医療現場に広く募集し、その中から先進的な事例を発表し、表彰していく。本アワードでは、保険者部門、医療関係者部門、企業部門、民間団体部門、自治体部門、チラシ部門の6部門の優秀賞(2団体ずつ)と、最優秀賞(1団体)の合計13団体に賞が授与される。COVID-19感染拡大防止のため、受賞者はオンラインでの参加となった。

 今年度の厚生労働大臣賞 最優秀賞は、一般社団法人 佐久医師会の「教えて!ドクタープロジェクト」が受賞した。このプロジェクトは、小児科医師とイラストデザイナー、Web・アプリケーション制作者、発達支援NPO法人代表からなるプロジェクトチームにより、病気のホームケア、病院受診の目安、予防接種等をまとめた冊子を制作して、地域の保育所などに配布。さらに、受診目安を判断できるコンテンツを搭載したアプリケーションを開発して全国無料配信している。医療者と保護者の間で共有できる共通言語のコンテンツを作ることで、医療現場の負担軽減と保護者の子育て不安の軽減につなげることがねらいとした取り組みだ。

 表彰式の冒頭では、主催挨拶として、田村憲久厚生労働大臣の事前収録の動画が流された。受賞者へのお祝いの言葉を述べた後、田村大臣は「今回の取り組みが着実に日本全国に拡がり、日本の誇る医療が持続可能なものになっていく、次世代の医療のあり方の議論のひとつに繋がる第一歩となることを期待する」と述べた。

 表彰後、審査委員長である秋山正子氏から総評として、「今年度の応募者数は71件、いずれも優れた取り組みで、大変審査に苦労しました。前回との大きな違いは、新型コロナウイルス感染症に関する取り組みが多かった点です。最優秀賞を受賞した佐久医師会の『教えて!ドクタープロジェクト』につきましては、息の長い活動の集積による活動で、審査員満場一致でした。医療の専門家だけにたよるのではなく、地域住民が互いに支え合う取り組みである点に真価があると思います」と語った。

 さらに「上手な医療のかかり方」大使を務めるアーティストでコメンテーターのデーモン閣下は「今回の取り組みは、新型コロナウイルス感染症が蔓延する中で、それぞれの立場で少しでも今の状況を改善しようという試みが目立った。3月11日は東日本大震災から10年。自然災害や感染症など、人類が直面するさまざまな危機に対応するためには、想定外の事態に柔軟に対応できる考え方、取り組みが重要であると考える。想定外とも言えるコロナ禍の中で、医療にかかわる方々による、今の状況を打開しようという想いを感じた」と話した。

デーモン閣下

 最後に、熊木正人厚生労働省医政局総務課長から「いずれの取り組みも地域で医療を守ろうとする、医療従事者の方々の強い気持ちが伝わってきた。今回受賞された皆様の優良事例を参考にして、今後さらに国民の『上手な医療のかかり方』に対する啓発の輪が拡がっていくことを願っている。令和3年度も「上手な医療のかかり方アワード」を実施する予定である。」と総評を述べた。

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