デーモン閣下、スペシャル楽器編成で届けた「うただま」の世界観

デーモン閣下(撮影=山田晋也)
デーモン閣下が6月18日と19日に、東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREでワンマンツアー『うただま プレミアムコンサート』の東京公演をおこなった。ツアーは昨年の11月8日にリリースしたソロアルバム『うただま』を引っさげて、東京を皮切りに24日の新神戸オリエンタル劇場、30日の名古屋能楽堂まで3カ所5公演をおこなうというもの。ツアー初日となった東京公演は2回公演。アルバム全曲を曲順通りに届け、アンコールでは聖飢魔IIの「嵐の予感」や自身のソロナンバーから「AGE OF ZERO!」など全12曲を披露し、『うただま』の世界観をこのツアーだけのスペシャルな楽器編成で届けた。18日夜の部の模様を以下にレポートする。【取材=村上順一/撮影=山田晋也】
楽しめる時に楽しんでおこう
穏やかなSEに閣下のハミングが会場を包み込む。バンドメンバーがステージに登場し、デーモン閣下もゆっくりと上手から登場。井上陽水の「少年時代」でコンサートの幕は開けた。情景を映し出すかのような優しい歌声がホールに響く。間奏では口笛も披露。原曲の持つ世界観を保ちながらも、デーモン閣下の色に染め上げた。
続いては「砂漠のトカゲ」。吉見征樹(Tabla)によるインドの打楽器・タブラが小気味良く鳴るなか、トカゲのぬいぐるみを抱えながら軽快に歌い上げる閣下。観客の手拍子も楽曲を彩った。そして、一転して、「見上げてごらん夜の星を」をしっとりと歌唱。
この日、大阪の北部で発生した地震ついて話すデーモン閣下。いつ何が起こるかわからないということを実感したこの日、「楽しめるものは楽しめる時に楽しんでおこう」と言葉をかけた。MCに続き、アルバム音源とはまたちがった趣きに変わった「千秋楽」を届けた。稲葉明徳(篳篥・笛)が奏でる笙(しょう)の響きに岡田鉄平(Violin)のバイオリンが絡み、そこに閣下の透明感のある歌声が融合。そのアンサンブルに至高の空間が広がった。
そして、杉浦哲郎(Piano・Keyboards)によるトイピアノの音色が印象的だった「やつらの足音のバラード」。デーモン閣下もタンバリンを叩き、その音色はどこからか忍び寄る足音を表現するかのようだった。続いての「今も翔ぶ - From The New World -」では、言葉を一音一音置きにいくかのような歌を聴かせてくれた。しばしの静寂からアレンジを変え、リズミックに展開し緩急をつけた2つのセクションで楽曲を表現。
ここでMC。短歌にハマってしまい自身の歌詞を使い117首も作ってしまったエピソード。ここでその作った短歌を「一悪魔百首」と題し、クジを引くかのようにランダムに発表。楽器隊の演奏に合わせアドリブのメロディを歌いながら紹介し、ライブならではの趣向で楽しませた。
大陸を感じさせるスケール感で届けた「Zutto」では、伸びやかな歌でその世界観を余すことなく伝え、虫の音のSEから鍵盤ハーモニカを伴奏に「故郷」を歌唱。ステージは夕暮れを感じさせるオレンジ色に染まり、この場にいる各々の故郷を感じさせてくれるような歌声。そして、瀬尾高志(Contrabass)によるコントラバスのアグレッシブなフレーズにバイオリンや笛の音色が、それに応えるかのような演奏。
「嵐の予感」や「AGE OF ZERO!」を披露
そして国歌である「君が代」を披露。音源とは違ったスペシャルバージョンで、コンサートでは2番まで叙情的な声で紡ぎ、レアなバージョンでの披露となった。ここで再び「一悪魔百首」を紹介。「雷電為右衛門」の歌詞を使った短歌から、メドレー形式で伴奏に合わせアドリブのメロディーで歌い続ける。「いつまでやるのこれ?」と言いながらもどんどん「一悪魔百首」を紹介していくデーモン閣下。
コンサートも終盤に差し掛かり、観客もスタンディング。「お前らみんな農林業にしてやろうか!」と本編ラストは「toi toi toi !! - うただま編 -」を披露。デーモン閣下は木魚を手にカウベルを演奏するかのよう。それに合わせ観客も手拍子で参戦。デーモン閣下は<いい日であるように>と歌い投げかけ本編を終了した。
アンコールで蒼く染まるステージで聖飢魔IIからのナンバー「嵐の予感」を届けた。閣下もスタンドにセットされたシンバルで加わった間奏パートは変拍子を使ったまさに嵐を感じさせるスリリングさ。起承転結を見事に表現。ラストは再び観客もスタンディングし、「AGE OF ZERO!」を披露。ロックヴォーカルスタイルで突き抜ける歌声、リズムに合わせ観客も手を振り上げ、その躍動感に身を委ね盛り上がった。
『うただま』を音源とはまた別の世界観で表現したコンサートは、音楽の奥深さと楽しみを与えてくれた。まさにプレミアムの言葉に偽りなしの、感動あり笑いありのデーモン閣下ならではの音楽への本質に迫ったステージの幕は閉じた。