Tani Yuuki「自分で聞いて鳥肌が立つか」音楽のスタンスに迫る
INTERVIEW

Tani Yuuki

「自分で聞いて鳥肌が立つか」音楽のスタンスに迫る


記者:平吉賢治

撮影:

掲載:21年03月19日

読了時間:約7分

 TikTokやYouTubeを中心に活動するシンガーソングライターのTani Yuukiが、「Unreachable love song」を配信リリース。2015年8月から活動スタートしたTani Yuukiは、ボーカルグループWHITEBOXのメンバーとしても2018年夏より活動。2020年5月に投稿した楽曲「Myra」がTikTokを中心にSNSでティーンの支持を集める。本作は、オリジナル楽曲としては5カ月ぶりとなる3作目。恋をしている瞬間の葛藤や、記憶の断片を辿ってしまう未練を歌った歌詞とは裏腹に、リズミカルなテンポ感が印象的なポップナンバーで、Tani Yuukiの艶やかな歌声が映える1曲となっている。本作の話題、そしてTani Yuukiの人物像などについてメールインタビューをおこなった。【平吉賢治】

届けたいけど届けられないでいる思いを軸に

――1stシングル「Myra」は、YouTubeでは2,100万回以上の再生数を記録し、TikTokのテレビCMにも起用されるなど大きな反響を呼びましたが、率直な心境はいかがでしょうか。

 率直な心境としてはとても嬉しいです、こんなに愛してもらえるなんて思ってなかったので。テレビCMや街頭ビジョンで流れていたランキングなどにもまさか実家がそのまま映るとは…! という面白かったような、小っ恥ずかしかったような(笑)。なんとも言い難い嬉しさがありました。(※「Myra」の映像は実家で撮影)

――音楽活動の場として、主にTikTokやYouTubeというプラットフォームを選んだ理由は?

 実は、個人の活動以外にWHITEBOXというグループを組んでいるんですけど、そのリーダーにYouTubeでの動画投稿という発信方法を教えてもらった感じです。それまでYouTubeは見るばっかりだったんです。その後にグループのメンバーが、TikTokにこれまでの動画を投稿してくれていてそのアカウントがすごく伸びたんです。それを見て「これはすごい可能性あるな」と思って自分でもTIkTokに投稿し始めました。

――WHITEBOXのメンバーとしての活動と、シンガーソングライターTani Yuukiとしての活動での大きな違いは?

 結構あります。WHITEBOXの活動はカバー曲が主体なのと、全て声だけで作成、表現しているのに対して個人の活動はオリジナル曲主体で楽器を用いた演奏だったりしますから。それでもやっぱり大きく違うのは当たり前ですが人数の違いです。こればっかりは…(笑)。グループは良いところも悪いところも高め合ったり、引っ張られたりあるんですけど1人は孤独になりがちなので結構寂しいです(笑)。

――音楽的ルーツは?

 両親の影響があります。家や車の中でRockやJ-pop、ラジオも良く流れていたりと、自然と音楽が耳に入ってきやすい環境だったとは思います。ちなみに母は、お腹の中にいる時からクラシックをよく聴かせていたみたいです。父はハードロック好きで、母がJ-Pop好き。父の好きの押し売りにやられて、僕はJ-Pop、アコースティックが好きになりました(笑)。

 小学生の時にやっていた小学生の時にやっていた進研ゼミの景品で、初めて音楽プレーヤーをもらって確か3曲くらいしか入らないんですけど「イエロー・サブマリン」と「このまま君だけを奪い去りたい」、あともう一曲なんだったかなぁ…それをよく聴いてたのを覚えています。

――音楽を始めたきっかけは?

 音楽を始めたきっかけは中学生の時に、おじいちゃんからおさがりでもらったアコースティックギターです。当時、病気であまり学校に通えていなかった時に気分転換にとギターをくれたんです。最初はスピッツさんの「チェリー」から練習して、ある程度コードを見れば弾いて歌えるようになった頃には、自分の言葉では吐き出せない感情とか想いを、誰かの曲の言葉を借りて歌うことにハマりました。100%代弁者じゃないにしても僕の中のいろいろなポジティブのきっかけになっていました。これに気づいた時ふと、僕と似た境遇の顔も知らない誰かの何かしらのきっかけになれる曲を作りたい、歌っていきたいと思ったのが曲作りのきっかけです。

――好きな音楽や影響を受けたアーティスト等はいますか?

 沢山いるんですが、影響を受けたのはゆずさん、絢香さん、玉置浩二さん、back numberさん、BUMP OF CHICKENさん、RADWIMPSさん、amazarashiさんです。あとはボカロをよく聴いていて、中でも無機質なボーカロイドじゃなくて歌い手さんがカバーしたものが好きでした。

 その中でも特に影響を受けたのはRADWIMPSさんです。歌詞、メロディ、世界観全てに憧れました。どんなものを見て、聞いて、感じてきたらこんなにも美しい表現ができるんだろう。と初めて曲を聞いた時、おこがましいですが、当時の僕は悔しくなってしまって(笑)。今でもどこか憧れながら曲を書いています。

――「Unreachable love song」には“Unreachable=到達できない”という単語も含まれた意味深と感じるタイトルですが、どんな想いを軸として書かれた楽曲でしょうか。

 いつどこにいても、何をしていても。もう二度と隣を歩けない誰かを思い出してしまったり。あと一歩踏み出して伝えたい誰かを探してしまったり。皆さんも一度は経験したことがあるような想いや感情を軸に作った曲です。

――楽曲の制作はどのように進行していきましたか。

 まずリリース時期をある程度決めて、そこに合わせるように制作していきました。今の活動環境は、小回りが効くのが僕らチームのいい面でもあって制作から配信までのペースはすごく早かったと思います。1つ前と一部重複してしまうんですが「もう二度と隣を歩けない誰かを思い出してしまったり。あと一歩踏み出して伝えたい誰かを探してしまったり。」という心境を軸に僕らしさを出したい、情景が浮かぶようにしたい、聴き心地をよくしたい、というポイントを頭の片隅に置いて制作していきました。制作過程で楽曲をスタッフに聴いてもらって率直な感想を求めたりもしました。

――作詞作曲をする上で、Tani Yuukiさんが最も大切にしているポイントは?

 いくつかあるんですけど一番は作った楽曲を自分で聴いてみて鳥肌が立つか、良いと思えるかを大切にしています。昔誰かに聞いた言葉だったか、ちょっと定かじゃないんですけど「自分が好きだと言えないものは誰の好きにもなれない」この精神で作ってます。

軸にあるのは“葛藤や負の感情”

「Unreachable love song」ジャケ写

――YouTubeではオリジナル曲の他にも、宇多田ヒカルさんやOfficial髭男dism、神はサイコロを振らない、BUMP OF CHICKENなど、様々なカバーを披露されていますが、カバーする楽曲、アーティストのセレクト基準などはあるのでしょうか。

 基本は自分が好きな曲を歌いたいので、好きなアーティストの曲を中心に選ぶことが多いです。他には、動画のコメント欄で「あの曲歌ってください!」ともらったリクエストに応えたり、特に流行りやランキングは鮮度があるので、臨機応変に選びます。

――Tani Yuukiさんが音楽で表現する際に、軸にある想いは?

 葛藤とか嫉妬、怒りとか悲しみっていう負の感情が軸にあると思います。そしてそれについてのリアルを無意識にも大切にしている気がします。

――今後、今までやっていない方法でこれからやっていきたいと思う、新しい音楽の発信の仕方などはありますか。

 これからやっていきたいことは映画とのコラボというか、映画を作りたいというか…。音楽×映画ってすごく馴染みがあると思うんですけど、僕はまだやったことがないのでなんらかの形でいつか実現したいです。ただ今は、新しい発信方法よりは現状自分にできるものをちゃんと固めていきたい時期ですかね。時代が流れるにつれてまた新しいものがどんどん出てくるとは思うのですごく楽しみですし、臨機応変に取り入れていきたいです。

――音楽以外で特に注目しているカルチャーや趣味などは?

 んー、サウナですかね(笑)。最近スタッフの人達にサウナへ連れて行ってもらいまして、そこで初めてちゃんとサウナを経験して、「整う」という言葉を知りました(笑)。

 あとはアニメにハマっています。最近の作品は結構観ています。特に写実的な絵が好きで、『ヴァイオレットエヴァーガーデン』が好きです。映画も観にいきましたし、作品に感化されて曲まで作りました(笑)。

――今後、どのような想いを音楽にしていきたいですか。

 今までの葛藤や負の感情はそのまま描いていこうと思っているんですがもっとポジティブな部分、明るい楽しい正の感情も形にしていきたいです。それから僕自身から手の届く距離、目に見える距離の出来事など主に自分を描くことが多いのですが、もっと広い視野で、もっと多彩な心で世界を見て自分の中に落とし込んで音楽を作っていきたいと思っています。

 目標は大きいことから小さいことまで色々あって5年後に武道館に立つこと、YouTubeチャンネル登録者100万人、アルバムのような何かしら形のあるものを作って全国ツアーを行いたいです。まだまだやりたい事が色々あるので皆さん楽しみにしていてください!

(おわり)

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