ひらめ「聴いてくれる人たちがいるから」音楽活動の原動力とライフスタイルに迫る
INTERVIEW

ひらめ

「聴いてくれる人たちがいるから」音楽活動の原動力とライフスタイルに迫る


記者:村上順一

撮影:

掲載:21年02月19日

読了時間:約10分

 TikTok発シンガーソングライターのひらめが14日、3rdシングル「恋のスタートボタン (feat. さくらしめじ)」を配信リリースした。TikTokでオリジナルソング「ポケットからきゅんです!」が、著名人を含む関連動画が30万に登り、総再生回数が数億回を誇るなど、TikTokから社会現象を生み出し、「TikTok流行語大賞2020」のコトバ部門と大賞の2冠を達成したことは記憶に新しい。14日には今回コラボしたフォークデュオ・さくらしめじに楽曲提供した「ストーリーズ (feat.ひらめ)」も同時リリースされ、「恋のスタートボタン (feat. さくらしめじ)」とリンクする楽曲に仕上がった。インタビューでは、「恋のスタートボタン (feat. さくらしめじ)」の制作背景、「ストーリーズ(feat.ひらめ)」で初めての楽曲提供に挑戦し感じたこと、一人暮らしを始めたひらめのライフスタイルなど、多岐にわたり話を聞いた。【取材=村上順一】

ひらめのライフスタイルに迫る

「恋のスタートボタン (feat. さくらしめじ)」ジャケ写

――「ポケットからきゅんです!」が「TikTok流行語大賞2020」の大賞に選ばれましたね。

 みんながこの言葉を知ってくれているのが本当に嬉しくて、「TikTok流行語大賞2020」のコトバ部門と大賞で二つの賞をいただいたので、信じられないくらい嬉しかったです。

――そして、一人暮らしを始めたそうですね。生活も結構変わったんじゃないですか。

 実家にいた時は買い物とかする時間は特になくて、ほぼ全部音楽に時間を費やしていたんですけど、一人暮らしでは家事もやらなければいけないので、ライフスタイルは大きく変わりました。

――食事もちゃんと作ってるんですか。

 はい。自炊するのは好きなのでちゃんと作ってます。お腹が空いたから作るというよりも、料理がしたいから作るという時もあります。

――そんな料理好きのひらめさんの得意料理は何ですか。

 得意料理は唐揚げです。

――1日のルーティンはどんな感じですか。

 お休みの日はけっこう遅くまで寝ていて、10時半から11時ぐらいまで寝ていることが多いです。 睡眠をすごく大事にしているので遅くても深夜の2時までには寝るようにしています。 でも、睡眠時間が少なくても、「しんどいなあ」とかほとんど思わなくて、寝ても寝なくてもそんなに変わらないんですけど(笑)。 

――すごいですね! 私のミュージシャンのイメージだと朝まで曲など作っていて、お昼過ぎに起きるというイメージがあるんですけど、ひらめさんはそんなこと全然ないですね。

 私の場合曲作りとかは昼間にやることが多いので、夜は遅くまで作業したりとかしないんです。

――一人暮らしをする中で一番大変なことは何ですか。

 私は掃除です。 どうしてもやる気が起きなくて...。一応やるんですけど嫌々やっています(笑)。

――でもちゃんとやっているんですよね。そういえば先日、ひらめさんのSNSを見ていたら、「努力って何?」という発言を見たんですけど、この時は何があったんですか。

  特に深い理由はないんですけど、 自分が今頑張っているのかもよくわからなくなってしまったんです。それでどこまで行ったら「この人は努力している」と思ってもらえるのかな、というのが気になって。周りからは「頑張ってるね」と言っていただけるんですけど、その度に自分は本当に頑張ってるのかな? って思っちゃうんです。

――きっと楽しく音楽をやっていると思うので努力しているという感覚がないのかも知れないですね。ちなみに音楽を作ったり歌ったりしていて「辛いなあ」と思った瞬間というのはあったりするんですか。

 辛いと思ったことはないです。歌詞がなかなか出てこないという時はありますけど、もう音楽を作りたくない、とか思ったことは一度もないんです。 

――どんなところに音楽を作って発信することのやりがいを感じていますか。

  私の音楽を聴いてくれる人たちがいるから頑張ろうって思えます。 なので「毎日聴いているよ」という言葉をかけられるとすごく嬉しいです。今日は何を聴いてるとか具体的に言っていただけるともっと嬉しいです(笑)。

――このインタビュー読んだ方達はどんなシチュエーションで、どんな曲を何回聴いたのか報告してもらえると嬉しいですね。昨年の大晦日にはももいろクローバーZのイベント『第4回 ももいろ歌合戦』にも出演されてましたけど、参加してみていかがでしたか。

 初めてあんなに大きな会場で歌わせていただいてすごく楽しかったです。 いつも通りに自然に歌えたと思います。もちろん歌う前はすごく緊張するんですけど。そして、2月19日には、ずっと憧れだった『ミュージックステーション』に出演させていただくことになりました! どんなふうに歌わせていただくかまだわかっていないんですけど。

「恋のスタートボタン」と「ストーリーズ」2曲の関係性

「ストーリーズ (feat.ひらめ)」ジャケ写

――「恋のスタートボタン (feat. さくらしめじ)」、「ストーリーズ(feat.ひらめ)」とさくらしめじさんとコラボされてますが、どのような経緯があったのでしょうか。

 さくらしめじさんからお誘いを受けました。最初は「ストーリーズ(feat.ひらめ)」からなんですけど「楽曲提供してもらえませんか」、と最初は私も歌う予定ではなくて、後に一緒に歌ってもらえませんか、というオファーをいただきました。曲を作るのが好きなので「曲を提供したい」という思いは昔からあったので、このお話を聞いた時はすごく嬉しかったです。

――作るにあたってリクエストとかあったんですか。

 さくらしめじさんは男の子目線の楽曲が多いこともあって、「女の子目線の楽曲が欲しい」というリクエストをいただいていました。 そして打ち合わせの時に細かいところを詰めて、そこから自分の中でイメージしていきました。そのリクエストの中にはバイトの先輩という設定とか、大学生ぐらいの年齢とかいろいろありました。

――初の楽曲提供となる「ストーリーズ(feat.ひらめ)」が完成してみて、今どのような心境ですか。

 アレンジもさくらしめじさん色になっていて、自分が作って楽曲だとは思えないくらい良い歌曲になったなと思っています。そしてお二人の声がすごくいいなと思いました。

――ひらめさんはコーラスでも参加されていますが、メインで歌われる時とは声の感じが違うなと思いました。どのような意識で歌いましたか。

  さくらしめじさんが歌いやすいキーということで、女性の私が歌うと低くなってしまうんですけど、そのキーの中で歌うことがすごく難しかったんです。いつもの私のキーではないのでそれが普段とは違う声に聞こえたんじゃないかなと思います。

――「ストーリーズ(feat.ひらめ)」の歌詞で<あのドラマの主題歌を>というのがあるんですけど、ひらめさんは印象的だったドラマの主題歌ってありますか。

 『表参道高校合唱部!』の主題歌のリトグリ(Little Glee Monster)さんの「好きだ。」という楽曲がすごく印象に残っています。

――ちなみに好きな映画はありますか。

 そんなに数多く映画を観ているわけではないんですけど、何回も観てしまうのはジブリアニメの『千と千尋の神隠し』です。小学生の頃から大好きで本も買いましたし、あの不思議な世界に自分も吸い込まれていきそうな感じがすごく楽しくて、何回観ても全然飽きないんです。あと、自分が千尋と同じ立場だったらどうするんだろう? とか考えちゃうんです。冒頭で両親が豚になってしまって、あの不思議な世界に入っていくところが特に好きなシーンなんです。

――導入部分はすごく重要ですよね。出だしといえば「恋のスタートボタン」はイントロがなくて歌から入りますが、このイントロなしというのはひらめさんからのリクエストで?

 はい、私からのリクエストでした。 すごく出だしは大切だと思っています。この曲は「ストーリーズ(feat.ひらめ)」のアンサーソングのような感じで作りました。 「ストーリーズ(feat.ひらめ)」が女の子目線の曲で、「恋のスタートボタン (feat. さくらしめじ)」は相手の男の子側の気持ちで歌詞を書きました。これまで私は男の子目線で書いたことがなかったので、これがすごい難しくて。想像を働かせて頑張って書きました。 

 「ストーリーズ(feat.ひらめ)」の歌詞の最初の<信号は青に変わる>とリンクするように「恋のスタートボタン (feat. さくらしめじ)」は<走り出した僕の恋は>という出だしになっているんです。好きな人に会いに行くという感じを2曲で表現して、別々のお話ではなく1つのお話になるように考えて作りました。

――すごく複雑な構成になっているんですね。特に難しかったところはどこでしたか。

 一番伝えたい部分をサビでどのように表現するかというのが大変でした。あと、現在のことを歌った曲にしたいというのがあって、「ストーリーズ(feat.ひらめ)」は女の子の恋の話と、 Instagramのストーリーを掛けています。そのInstagramのストーリーと女の子の恋のストーリーをどうマッチさせるか、というのが特に難しかったところです。

――「恋のスタートボタン (feat. さくらしめじ)」もそういった現代のものとリンクしてるところはあるんですか。

 この曲はリンクしているところはなくて、ひらめっぽい可愛い曲にしたいなと思って作りました。 歌詞にあるボタンを押す<ポチっ>とか気に入っています。

――最後の<君の心奪うしかないじゃん!>というのが、男の子っぽい感じがあっていいですね。

 男の子目線で書いたので、謙虚な感じよりも自分から行かなきゃ、という思いをこの歌詞に込めました。自分から言った方が男の子は絶対格好いいなと思ったんです。 

言葉に興味がある

――この曲は2月14日バレンタインデーに配信リリースされますけど、ひらめさんのバレンタインの思い出ってありますか。(取材日は2月上旬)

 初めてホールのケーキを作ってプレゼントしたのは自分の中でバレンタインデーの印象として残っています。バレンタインのレシピを色々調べていて、すごく可愛いケーキがあったので作ってみたいなと思ったんです。

――どんなケーキだったんですか。

 それはチョコレートとイチゴのタルトだったんですけど、黒の中に赤いのがあるというのが、バレンタインぽくってすごく可愛いなと思いました。こういったイベントごとはすごく好きなので、今回のバレンタインに向けても色々調べてる最中なんです。 

――積極的にイベントに参加するというのはいいですよね。さて、昨年インタビューした時にラップやバラード曲にも挑戦したいというお話をしていたんですけど、実行できた事ってありますか。

 バラードという意味では去年の12月にリリースさせていただいた「午前0時」という曲があるんですけど、その曲はバラードぽい感じ、いつもとは違った雰囲気の曲になっていると思います。ヒップホップはガチガチの感じではないんですけど、そのニュアンスを取り入れた楽曲を作ったので、1月11日にビルボードライブ東京で行なった『LIVE BEACON2021』で披露しました。そのライブを観てくれた人しかしらない曲なんです。

――音源としてリリースされる日を楽しみにしています。さて、今ひらめさんが興味を持っていることは?

 前回のインタビューでもお話しさせていただいたピアノで曲を作りたい、というのも継続中なんですけど、いま言葉に興味があってその勉強をしています。というのも、作曲は得意なことなんですけど、作詞は苦手なんです。ありきたりな言葉しか出てこなくて...。なので、バンド系とかヒップホップ、ボカロなどジャンル関係なくたくさん聴いて勉強しています。

――その反面、ストレートでわかりやすい歌詞だと思うんです。

 それはよく言っていただけるんですけど、自分としてはもう少しひねりも加えたいなと思っていて。

――その傾向が「恋のスタートボタン (feat. さくらしめじ)」の歌詞にある<2文字の愛言葉を君へ>というフレーズで垣間見れますよね。

 そうかも知れないです。好きという言葉をなかなか言わない曲もいいなと思って、このフレーズにしました。こういったストレートではない部分も、これからちょっとずつ出せていけたらなと思っています。

――ちなみに言葉というところで、ひらめさんは四字熟語とか興味ありますか。

 詳しくはないんですけど、学生時代に友達とお弁当を食べる前に四字熟語を出し合ってから「いただきます」をするという遊びはやっていました。意味は全然なくて、ただ笑っておしまいなんですけど(笑)。

――面白いエピソードですね(笑)。最後に2021年はどんな1年にしていきたいですか。

 私はまだ配信ライブしかしたことがないので、コロナが収束してファンの方の目の前で歌いたいということと、去年から生活が変わってまだまだ追いつけていない自分がいるので、もっと気を引き締めて目の前にあることを全力でやって、しっかり継続して活動をやっていきたいなと思っています。皆さん応援よろしくお願いします。

(おわり)

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