(C)2021映画『Arc』製作委員会

 芳根京子が、映画『Arc アーク』で主演することが決まった。『愚行録』『蜜蜂と遠雷』の石川慶監督の新作。人類で初めて永遠の命を得た女性の人生を描く。主人公・リナを演じる芳根京子は17歳から100歳以上を生き抜く難役に挑む。

 舞台は、そう遠くない未来。放浪生活を送っていたリナは、師となるエマと出会い、彼女の下で「ボディワークス」という仕事に就く。それは最愛の存在を亡くした人々のために、遺体を生きていた姿のまま保存できるように施術(プラスティネーション)する仕事であった。エマの弟・天音はこの技術を発展させ、遂に「不老不死」を完成させる。リナは不老不死の技術を受けた世界初の女性となり、30歳の姿のまま永遠の人生を生きていくことになるが…。

 原作は、2011年に発表した短編「紙の動物園」で、その年の最も優れたSF・ファンタジー作品に与えられる3大賞として知られる、ネビュラ賞、ヒューゴー賞、世界幻想文学大賞の3冠を制覇するという史上初の快挙を成し遂げた奇才、ケン・リュウ。

 原作の息をのむほど斬新な不老不死のシチュエーションを引き継ぎながら、映像世界へと鮮やかに転生させたのは、石川慶監督。長編映画デビュー作の『愚行録』がベネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門に選出されるなど当初より海外においても熱い注目を浴び、続く『蜜蜂と遠雷』で毎日映画コンクール監督賞、報知映画賞作品賞、日本アカデミー賞優秀作品賞他多数の映画賞を受賞した逸材。本作では女性の圧倒的支持を得た『愛がなんだ』の澤井香織とともに脚本を手がけ、新たなオリジナルストーリーを融合させた。

 撮影は2020年2月〜3月にかけて主に香川県にて実施された。

 リナに扮するのは、『累 -かさね-』と『散り椿』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、新作『ファーストラヴ』も話題の芳根京子。1人の女性の17歳から100歳以上を生き抜くという、キャリア史上最難関の役どころを繊細かつ大胆に演じきった。

 その他、リナが勤めるエターニティ社の責任者エマに、寺島しのぶ。エマの弟で天才科学者である天音役に、岡田将生。さらに、物語の重要なカギを握る人物を、倍賞千恵子、風吹ジュン、小林薫という日本映画界の至宝である3人が演じ、その全身から滲み出る人間味でスクリーンに情感を与えた。

 この度解禁された特報映像では、斬新な衣裳に身を包んだリナ(芳根)が、舞うような美しさとキレのある動きでボディワークスに挑むシーンから始まる。そして、不老不死を現実のものとした天音(岡田)の会見の様子が描かれ、リナは人類初の永遠の命を得る女性となる。そして美しい旋律に乗せ、リナの苦悩や彼女を取り巻く人々との幸せな様子が圧倒的な映像美で収められている。

 後半部がモノクロ映像で表現されている意味とは?石川慶監督の手により、誰も見た事のない不老不死の世界がどう描かれるのか。「私は世界に触れる」というコピーが意味するものとは?今後の映像にも期待が高まる。

 映画『Arc アーク』は6月25日(金)全国ロードショーされる。

芳根京子:コメント

 はじめにこのお話を聞いた時、あまりの難役にどうして石川監督は私にリナを託してくださるのか、嬉しさもありましたが、疑問、不安、恐怖が大きく即答することが出来ませんでした。お時間を頂き、正直に自分が思ってることをお伝えしました。監督は真っ直ぐ向き合ってくださり、私の不安を取り除き、そして「最高のスタッフを集めました」と言ってくださいました。監督から背中を押してもらい、この世界に飛び込ませてもらいたいと決意しました。“生きている“ことに対して無意識、というか、当たり前、というか、それが日常になっていたものが、この作品と出逢って特別なものと思えるようになりました。タイトルの“Arc”からも、人生の始まりと終わりは一直線上の対極ではなく、弧を描いた隣同士だと感じました。もしも自分のこれからの人生の選択肢の中に“人生を終えない道”があるとしたら、自分はどういう選択をするだろうかと、この作品に出会わなければ出てこない発想・想像力をたくさん膨らまして、自分の人生をより一層濃いものにしてくれました。観てくださった方も、自分の人生を今までとは少し違う角度の視点から感じられるような、新しい発見のきっかけになっていただけたら嬉しいです。たくさんの方に届きますように。

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寺島しのぶ:コメント

 台本を読んだ時、内容がよくわからないけれど全ては監督の頭の中にあるのだなと思いました。私はそこに飛び込み、ただ身を委ねました。不思議な作品になっていると思います。永遠に生きるとは…。そう遠くない未来、世界はそうなっているかもしれません。

岡田将生:コメント

 後悔のないように必死に生きる姿は、やはり尊くそして綺麗でした。生きること、死ぬこと。命とは何か。それくらい壮大なお話で、命がめぐるように僕たちもこの世界で必死に回っている感覚に陥りました。多分僕はこの脚本、この映画の本質を今も100%は理解出来ていません。この脚本を理解するのにとても苦労したことを覚えてます。しかし、石川監督なら絶対大丈夫。安心して身を任せられると思いました。石川監督の演出はとても独特で、監督とキャストだけで何度もリハーサルをし、撮影の仕方も他の現場と異なる感じで、カメラの前にいることを忘れるほど集中して現場に立っていた感覚でした。

風吹ジュン:コメント

 『Arc アーク』は近未来のお話ですが、死生観を問うような面白い脚本でしたので、石川監督にお会いするのを楽しみにしておりました。小林薫さんとの共演も…。監督に”Arc“ってなんですか?って聞いたことがありました。「弓のような形」と答えてくださいました。でも見えているのはもしかしたらほんの一部で、大きな丸が隠れて居るのでは。それはきっと亡くなっても、何かは続いていて円周を一回りしたら又”Arc”の線につながってる?そんなイメージが湧いてきました。見終えたときに幸せを受け取れる不思議な力がある作品です。

小林薫:コメント

 近未来の世界に不老不死。どんな映画になるのか、どんな仕上がりになるのか、全く見当がつきませんでした。

 ただワタシの役は自然に歳を取った老人でしたので、役にすんなり入ることができましたが、コロナがじんわりと広がりつつあった3月初頭の撮影で風邪をひいてしまいまして、ビビリましたね。共演の風吹さんから濃縮のビタミンをいただきましたらこれでケロっと治りまして、ホント風吹さんには感謝しております。

石川慶監督:コメント

 不老不死をテーマにした物語は古今東西あれど、ケン・リュウが提示するテーマは全く新しいものでした。そこにあるのはありきたりな不死への警笛ではなく、不死を得た新しいカラダに僕らの価値観がついていけるのかを強く問うてきます。アンチエイジングが発達した今、ストップエイジングは必ずしも遠い未来の話ではないのです。この大きなテーマを背負う主人公を、芳根京子さんがまさに体当たりで演じてくださいました。役とともに本当に生きることができる芳根さんと、この映画を作れたことは自分にとって大きな幸運です。他に寺島しのぶさん、岡田将生さん、倍賞千恵子さん、風吹ジュンさん、小林薫さんら名優たちが、一見荒唐無稽に見えるこの物語に大きな説得力を与えてくださいました。ぜひ劇場まで足を運んでいただけたら幸いです。

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