山本千尋「財産になった」舞台『INSPIRE 陰陽師』で躍動
「今年も駆け抜けたい」
大沢たかお主演舞台『INSPIRE 陰陽師』が6日千秋楽を迎えた。終盤にかけて存在感を発揮した山本千尋はアクションを活かした演技を見せた。山本は公演を振り返り「幻の6日間のステージを年末年始のこの時期に経験させて頂けたことはこれからの財産にもなりますし、気持ち良いスタートを切ることができました」と語った。
陰陽思想・陰陽五行論のもと、天文や暦を読む知識を備えることで、森羅万象を読み解き、人々に道を示した陰陽師をテーマにした舞台。平安時代、異常現象を祓った大沢たかお演じる陰陽師・安倍晴明らだったが1000年の時が経った令和に再び謎の長期日食に襲われる。現世に顕現する安倍らが再び立ち上がる。12月31日から1月6日まで日生劇場で上演された。
この中で精神科医として現代に生きる藤原兼家(古川雄大/村井良大)に付く心理カウンセラー・河瀬景子役を演じた山本千尋は終盤に向けて存在感を放った。序盤は藤原に謎の占い師・芦野道隆(田口トモロヲ)を紹介するごく普通の女性だったが、終盤では“豹変”する。
再び闇に包まれようとするなかで、陰の力に支配されてしまった河瀬は藤原と戦うことになる。刀を手にして襲い掛かる河瀬こと山本。
決戦を彷彿とさせる映像が天井とステージバックに配された巨大スクリーンに映し出され、その中央に配する豪華絢爛の一条戻橋、そして、光の演出と相まって物語の舞台がそこに実在しているかのような幻想空間のなかで、ステージいっぱいにかけ迫った。
世界ジュニア武術選手権大会で2度の優勝経験があり、新世代アクション女優との呼び声が高い山本。刀を使ったアクションだけでなく、上段回し蹴りなど持ち前の武術を使ってダイナミックに見せた。鬼気迫るものもあったが、幻想空間が優雅に舞っているようにも見せた。
クライマックスにかけて“陰”側として“陽”側の安倍晴明らに大きく立ちはだかる難敵としてその役割を全うした。
山本は、香取慎吾主演×三谷幸喜脚本のAmazon Originalドラマシリーズ『誰かが、見ている』などここ最近はアクションを使わない一般的な女性を演じることが多かったが、得意とするアクションでは本領発揮とばかりに圧倒的な存在感を示した。
山本千尋:コメント
昨年から世の中の常識が変わり、もどかしい日々を過ごす時間が増えた中で、いつか皆様の前に立てた時にはベストを尽くした姿をお見せできるように、と強く思っていました。舞台「INSPIRE 陰陽師」はそのチャンスを与えて下さり、皆様との実力、経験の差を日々の稽古で痛感しながらも、悩み、課題を与えて下さったことに心から有難いなと思ってます。
幻の6日間のステージを年末年始のこの時期に経験させて頂けたことはこれからの財産にもなりますし、気持ち良いスタートを切ることができました。皆様のプロフェッショナルさを肌で感じ、互いに切磋琢磨しながら刺激を与えて下さったキャスト、スタッフの皆様には本当に感謝してます。
アクションは自分がしてきたスタイルを取り入れ、思いっきり気持ちよくさせていただき、約4年ぶりの舞台でしたので、観客の皆様に生で見て貰える嬉しさを毎公演噛み締めていました。
大沢さん演じた晴明様が仰った通り、『これより暗雲、開ける』日々を見据えて、この舞台で頂いたパワーを胸に今年も駆け抜けたいと思います!