Leola「影のある私も見せたい」第2章で見せる新たな一面
INTERVIEW

Leola

「影のある私も見せたい」第2章で見せる新たな一面


記者:村上順一

撮影:村上順一

掲載:20年11月19日

読了時間:約6分

 シンガーソングライターのLeolaが13日、「白いページの中に/朝が来るように」を配信リリース。「白いページの中に」は1978年にリリースされた柴田まゆみの楽曲で、今回13日に劇場公開される桜木紫乃原作の映画『ホテルローヤル』の主題歌となっている。同時にリリースされる「朝が来るように」は、Leolaのデビュー前から存在していた思い入れの深い一曲を満を辞してリリース。インタビューでは、カバー曲「白いページの中に」をどのような意識で取り組んだのか、なぜこのタイミングで「朝が来るように」を発表したのかなど、第2章に突入し「影のある私も見せたい」と語るLeolaに話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

優しさを声で表現したかった「白いページの中に」

Leola

――100日連続でカバー曲を投稿されて、8月に達成されましたが、今振り返るといかがですか。

 自分でも良くやったなと感じています。100曲もカバーに挑戦することもこれまでなかったですし、全てリクエストからだったので、私が何を求められているのかとか、SNSで皆さんの反応を見て意外な人気曲があったり、発見が沢山ありました。さらに楽曲の成り立ちみたいなものも知れて、勉強になった企画でした。

――リクエストされた中でご自身として意外だった曲はありましたか。

 年代問わず色んなジャンルのリクエストだったのですが、その中で私が意外だったのはバンド系の曲のリクエストがあったことです。ワンオク(ONE OK ROCK)さんの「Wherever you are」とか、SHE'Sさんとか。

――今回、映画『ホテルローヤル』の主題歌となった「白いページの中に」もカバー曲ですね。これがカバー企画に影響された部分も?

 この主題歌のお話は昨年頂いて、年末にはレコーディングを終えていました。でも、これがあったからカバー企画を始めたわけでもなくて、新曲がなかなか届けられない中で何かできないかというのがあって、その中でパッと思いついたのがカバーでした。結果的にカバーライブも出来て、こうやって「白いページの中に」もリリース出来て、すごく良い流れだったと感じています。

――「白いページの中に」を歌われていかがでしたか。

 大変でした。この時代の楽曲はすごく色んなものを含んでいて、聴く人によって捉え方が変わるような詞の書き方や歌い方をされていて。私はこういう歌を表現した事がなかったので、この曲の良さを崩さないように、自分の今の歌声でどう表現出来るのか、というのが課題でした。

――Leolaさんはどのような解釈でこの曲に臨みましたか。

 楽曲単体で聴いていると「誰か思う人がいたのかな?」と、色っぽいメッセージを感じたんですけど、等身大の自分と重ねられる何かがあるとしたら、故郷を離れ東京で暮らしているからこそわかる、両親への愛だったり、地元の心地良さでした。昔は田舎で嫌だな…と思っていたところもあったんですけど、離れてみてその良さがわかって。懐かしい景色を思い浮かべて歌いました。

――そんなに田舎だったんですか。

 熊本県なんですけど、その中でも畑に囲まれているようなところでした。この曲の歌詞にも<長い長い坂道を>とありますが、坂道も沢山あるし、コンビニも歩いてはちょっと遠いです(笑)。

――そうなんですね。武正晴監督から歌い方のリクエストみたいのはありましたか。

 直接はなかったんです。アレンジしたトラックを聴かせていただいて、原曲のイメージを崩さない方が良いんだろうなと思いました。より素朴に優しいアレンジになっていたので、私は柴田まゆみさんの歌からかけ離れないように、というのを意識しました。哀愁や懐かしさ、そして優しさを声で表現したかったんです。

――チャレンジでもあったんですね。

 はい。リズムとか感情で歌う曲ではないと思いました。今までのレコーディングだとグルーヴを大事にして、歌詞にある言葉の感情をちゃんと表現できるようにというのを心掛けてていたんです。でも、今回はそうではないなと思って。頂いたデモも当時の音源を参考にしているのか、微妙な揺れがあるんです。そのため、絶妙なところで歌が変化したりして、まずそこをコピーして逆にリズムをつけないような歌い方に挑戦しました。なるべく滑らかに歌いたいと思ったんです。原作者である桜木さんからコメントを頂いたんですけど「聴いた時に思わず涙してしまいました」と言っていただけて、嬉しかったです。

影のある私も見せたい

Leola

――もう1曲同時にリリースされる「朝が来るように」は昔からあった曲との事で。

 私がLeolaとして活動する前から存在していた曲です。この曲は下積み時代の2年間くらいライブハウスで歌っていた曲なんです。当時のプロデューサーさんの与田(春生)さんと一緒に歌詞も書いて作りまして、前座で歌わせていただく時や、今お世話になっているソニーさんに初めて聴いてもらった曲もこの曲で、色んな局面で歌ってきた曲なんです。

 「白いページの中に」のお話は実は与田さんから頂いたんです。8年ぶりくらいに一緒にお仕事させていただきました。与田さんから離れた後も可愛がってもらっていて、一緒に飲みに行かせていただいたりもしていたんです。その時に「やっと一緒に仕事が出来るね」って。それで良いタイミングだし私自身のモードと合っていると感じたので、「朝が来るように」を今の私で2020年バージョンとして出したい、と私から提案させていただきました。

――そうだったんですね。

 アレンジに関しても自分から提案させていただいた部分もあったので、すごく思い入れのある曲になりましたし、与田さんは今の私を見てどう思ったのか気になります(笑)。

――歌詞はどんな心境の時に書かれたんですか。

 これは私の恋愛経験から、想像も加えて書いたんです。当時、長くお付き合いしていた方と別れてしまった時に書いた記憶があります。

――この曲を今リリースすることになったのはなぜですか。

 ここまでリリースしなかったのは、与田さんから離れてしまったこともあるんですけど、デビューする時のLeolaのコンセプトが元気よく明るい歌を歌っていたい、というのがあって意図的に悲しい歌をあまり歌わないようにしていたんです。その中で2020年というのは、自分にとって第2章を始めたいなと思う年でした。

――デビュー5年目に突入したこともあって。

 はい。今までが明るく元気なLeolaだったとしたら、ここからはちょっと影のある私も見せたいなと思いました。Leolaの歴史とともに私も成長して大人になって、そこに合わせた音楽をやりたいなって。なので、前作「ないものねだり」も、これまでとサウンドを変えてみたのもその理由からなんです。歌う内容も光もあるけど影がある、その影の部分もしっかり歌って届けたいと思いました。

――すごく大切な曲だという事が伝わってきました。さて、2021年はどんな年にしたいとかありますか。

 今年は新型コロナという本当に予想外のことが起きてしまいました。自分としては今年第2章というのをもっと打ち出して行きたいと思っていたんです。それが不完全燃焼な部分もあるので、来年は“ニューLeola”を育ててもっと出して行ければと思っています。でも、この期間で自分が何が好きなのか、何が幸せなのかとか、自分自身を見つめ直せたような気がしているので、それを表現、体現できる女性になれたら良いなと思います。

――今、どんなことにLeolaさんは幸せを感じますか。

 家にいるのが前よりも好きになってしまいました。料理している時とかすごく心地良くて。コロナ禍を機に引っ越しをしたんですけど、すごく眺めが良いところなんです。空や景色を毎日見れることに幸せを感じています。毎日色も変わるし、形も変わるので「今日も暮れていくなあ」と眺めているのが楽しいんです。こういう感覚を音楽にして表現していきたいなと思ったり。

――楽しみです。最後にファンの方へメッセージをお願いします。

 予想のつかない1年になった中で、物思いにふける人、しょんぼりしてしまった方も大勢いたと思います。今回リリースさせていただく2曲とも哀愁や悲しさもあるんですけど、最後には明るい日差しが差し込むような曲になっているので、元気が出ない時や考えたい時、もう一歩踏み出したい、前を向きたい時に聴いてもらえたら嬉しいです。

(おわり)

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村上順一
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