ザ・リーサルウェポンズが6日、東京キネマ倶楽部で『哭くよウグイス Hey!& 叫!』公演をおこなった。ザ・リーサルウェポンズは80年代カルチャーを背景にアメリカ生まれのサイボーグジョー(Vo)と彼を発明した日本人プロデューサーのアイキッド(Gt/Key)が放つ衝撃エンターテインメント。本公演は彼らにとって10カ月ぶりにして、メジャーデビュー後初のワンマンライブ。チケットは即日完売、また、会場に足を運べない人のために有料配信もおこなわれた。“新時代の最終兵器” ザ・リーサルウェポンズの衝撃ワンマンライブのもようを以下にレポートする。【取材=平吉賢治】

拍手喝采大ハッスルの一夜

ザ・リーサルウェポンズ(撮影=片岡光正・kimi)

 ジョーからのライブ前アナウンスが陽気なテンションで会場にこだまする。しかし、コロナ禍期間公演の注意事項の単語の複雑さからか「日本語むつかしいよ! 誰か代わってよ!」と叫ぶと即座にスタッフの方と声が変わり、会場から笑いの声が漏れる。開演前からほっこりと会場は温まり、「アーニーキ! アーニーキ!」という野太い掛け声のSEからオーディエンスは拳を突き上げ、「80年代アクションスター」へいざ突入。

 ジョーは赤のベストを、アイキッドは黄色のオーバーオールというルックスで初曲から飛ばしまくる。シルヴェスター・スタローンやアーノルド・シュワルツェネッガーなど80年代アクションスターの画をバックに<エイドリアン!>や<アイルビーバック!>など、ライブとして斬新すぎるコーラスが轟き、発声が制限されている条件でのライブではあるが、オーディエンスの合いの手のアクションは最高の一体感を見せる。

 1曲が終わり大拍手に包まれると、ジョーが両手両足を力強くも軽快に広げ大ハッスルのパフォーマンスで魅せる「クールジャパン」へ。傍でクールにスタインバーガーギターを演奏するアイキッドとの静と動の対比がたまらない。クールジャパンな和の空気感は「東海道中膝栗毛」へ引き継がれ、3、3、7拍子から、ステージに釘付けのオーディエンスを前にジョーは日本の風情を“ザ・アメリカ人”といわんばかりのテンションで熱唱。インタビューでアイキッドが語っていた、ジョーの「日本人にはできない動き」がたっぷりと楽しめる。

サイボーグジョー(撮影=片岡光正・kimi)

 ジョーはMCでもはち切れんばかりのエネルギーで「めちゃめちゃ盛り上がってるよ! もう〜凄い! ありがとうございますよ!」と、抜群に通る声でトークを展開させる。アイキッドを「ベリーベリー立派な先生!」と紹介。そして声高らかに自己紹介もし、改めて「こんなコロナウィルスの状態でみんなきてくれて本当にありがとうございます!」と感謝を伝えると、オーディエンスは拍手喝采。

 そしてジョーは「このライブのあと、“半額タイムセール”は間に合うかな? 先生!」と、次の曲への契機を促す。この時点で19時過ぎ。確かにスーパーでは店員が半額シールを貼りだす頃からの絶好の煽りから楽曲「半額タイムセール」披露へ。

 この日の公演はコロナ禍ということもあり感染症対策は徹底されていた。無言でも楽しめるようにスクリーンには歌詞がほぼ全て映し出され、太字や様々なフォントでオーディエンスのレスポンスのタイミングがわかる書かれ方により、声を出さずともライブの一体感が存分に味わえるという粋な配慮がなされていた。それもあり、ライブの熱気はアツアツのエネルギーで満ちていた。ちなみにこの曲で強調されていた文字は「惣菜」「精肉」「お魚」など、半額シールが期待できる商品の数々。これらのワードで熱気上昇を引き起こすのはザ・リーサルウェポンズならではと言えよう。

 そして続く「Super Cub is No.1」「なんでやねん」「シェイキン月給日」と進み、会場のボルテージは天井知らずに上がりまくる。ジョーのクネクネと妖艶な動きで楽しげに踊る姿が目に焼き付いて離れない。

永遠に右肩上がりの熱気

ザ・リーサルウェポンズ(撮影=片岡光正・kimi)

 ライブ中盤では2人はステージから姿を消し、動画映像演出へ。ジョーとアイキッドが部屋で麻雀牌を使った勝負をするシーンが映し出された。その姿は真剣そのもの。初局、ジョーがオールグリーン(「緑一色」という高い役)をアガり、これでもかというくらいアイキッドを煽るもアイキッドも次局では怪しい手つきから天和(高い役)をアガる。両者切迫のなか、アイキッドのイカサマを見破ったジョーはありとあらゆる罵詈雑言をアイキッドに浴びせつつ勝負続行となるがじわじわとジョーが劣勢に。

 最終局、アイキッドがおやつを放るとジョーは食いつき、勝負の卓から目を放してしまう。その隙にアイキッドは何やら仕込みを入れ、最終的にアイキッドの勝利。しかし、やはりイカサマを施していたことがバレるとジョーは激怒し「先生とはやってられへんわ!」と言い放ち、見事に次曲「なんでやねん」へ繋げた。清涼感たっぷりの80年代サウンドがキラキラと響く中、ジョーは縦横無尽にステージを駆け巡る。

 ゲーム『ストリートファイターII』をフィーチャーした「昇龍拳が出ない」ではジョーの“強パンチ”がしたたかに天を突く。アイキッドの必殺ギターソロが轟く。『ストII』をプレイしたことのある者なら誰しもが“あるある”とシンパシーを受けるフレーズがたたみこまれる。<YOU WIN>と、全員勝利のコールの締めから再度MCへ。

 ジョーの「イエァ! 今日は金曜日ですよね? だから次の曲は社畜の曲だよ!」というもの凄い煽りからオーディエンスの拍手に包まれ「プレミアムフライデーナイト」へ。意気揚々とステージングを魅せるジョーにアイキッドの豪快なギターアームプレイと、見どころ満載のパフォーマンスの中「プータロー」へと続き、この曲のラストでは大興奮したジョーがアイキッドに手を出す場面も。その直後、曲が終わるとアイキッドはギターを置きヘッドロックでジョーに応戦。その状態のままステージ袖へ移動し、スクリーン映像のシーンへ。

 映像ではヘッドロックされたままのシーンから始まり、ザ・リーサルウェポンズ出会いの地である都立家政にあるブックマートで、陳列されているあらゆる商品を武器にバトルをし続けて最終的には追い出されるというオチのもの。そして2人が再びステージに登場し、ジョーの「地元の絆はハンパねえ。先生。ねえ!」と、しっかりと映像からの次曲へと言葉で繋ぎ、ドリーミーなイントロからの「特攻!成人式」へ。

アイキッド(撮影=片岡光正・kimi)

 そして4つ打ちビートでダンサンブルな「マハラジャナイト」へ続き、オーディエンスは一斉にジャンプをしてライブの熱気を更に上昇させる。その熱気を表現するかのようにブンブンとタオルを回すジョー。一通り振り終わるとワイルドに床にタオルを置くも、そのタオルを丁寧にたたんでくれるアイキッドが優しすぎる。

 そして「次はドリンクソングだよぉ!」というジョーの掛け声から本編ラスト曲へ。そのドリンクにフォーカスした「ホッピーでハッピー」で大盛り上がりの締めくくりだ。ここではジョーはもちろん、アイキッドもギターを演奏しながら右手をアクティブに挙げるというパフォーマンスで、客席はソーシャルディスタンスを保ちつつも超お祭り騒ぎだ。

 そして「We are ザ・リーサルウェポンズ!」というキメで綺麗に本編終了。盛り上がり、笑いあり、粋な演出あり、そして何よりエネルギー全開のライブは、一旦幕を閉じかけたが拍手が途切れることはなく、よどみなくアンコールへ突入。

 最新シングル「押すだけDJ」がハイBPMで疾走し、MVに出演したDJ KOOとの3ショットの映像をバックにテンションは上がり続けた。最後の曲「きみはマザーファッカー」を終えるとあまりにもハッピーなバイブスを放出し続けた『哭くよウグイス Hey!& 叫!』は幕を閉じた。

 本公演は「ここが最高潮」という部分がどこというよりも、1曲目からアンコールまでテンションマックス、永遠に右肩上がりという表現が適切であろうと思われる熱気であった。“新時代の最終兵器” ザ・リーサルウェポンズの快進撃はまだまだ続く――。

セットリスト

『哭くよウグイス Hey!& 叫!』
2020年11月6日@東京キネマ倶楽部(鶯谷)

01.80年代アクションスター
02.クールジャパン
03.東海道中膝栗毛
04.半額タイムセール
05.Super Cub is No.1
06.なんでやねん
07.シェイキン月給日
08. 昇龍拳が出ない
09.プレミアムフライデーナイト
10.プータロー
11.特攻!成人式
12.マハラジャナイト
13.ホッピーでハッピー

ENCORE

EN1.押すだけDJ
EN2.きみはマザーファッカー

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