榮倉奈々、吉高由里子、大島優子

 2017年に放送された『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)が、スペシャルドラマ『東京タラレバ娘2020』として帰って来た。「東京オリンピックまでには結婚したい!」と話していたタラレバ娘3人。その東京オリンピックは延期となったが、33歳になった彼女達はかなり変化を遂げていた。『東京タラレバ娘2020』には、失恋も未来への幸せにつなげるヒントが詰め込まれていた。※ネタバレあり。

あらすじ、印象的だった言葉

 まず、ネイリストの山川香(榮倉奈々)は、バンドマンの元カレと別れ、小学校の同級生・平沢ゆう(渡辺大知)と令和前の駆け込み結婚。実家の居酒屋の看板娘・鳥居小雪(大島優子)は、妻子持ちの男性・丸井良男(田中圭)のことを吹っ切り、「カフェをオープンさせる」という夢に向かって邁進中だ。そして、脚本家の鎌田倫子(吉高由里子)も、年下で生意気な金髪モデルKEY(坂口健太郎)の帰国は待たず、新恋人・朝倉理一(松下洸平)との交際をスタートさせていた。

 3年前、「もしあの時結婚していタラ…」「好きになれレバ結婚できる…」と、結婚へ夢を馳せていた彼女達。だが、実際に結婚した香は、マザコン夫との関係に悩み、「なんで私あんなに結婚したかったんだろう…」と漏らす。目指していた「結婚」ではなく、「仕事」で夢を追うことにシフトチェンジした小雪も、「夢が叶ったら、達成感でいっぱいになって、孤独なんて怖くなくなるはず」と言いながら、どこか寂しさを感じてしまう。

 そして、どこか危うげな雰囲気を持つKEYに惹かれていた3年前の倫子。今では、「楽しさと苦しさ、幸せと切なさが背中合わせなのが恋だと思っていたけど、少しずつじわじわ好きになっていく恋もある」と感じるようになり、一緒にいて背伸びをしなくていい朝倉の魅力に気付く。少しダサいが、優しく真面目で、「絶対に幸せにしてくれそうな男」の代表とも言える早坂哲朗(鈴木亮平)を、振ったことがあるほど、“ドキドキ”を大切にする倫子にとっては、かなり大きな心境の変化とも言えるだろう。
 
 朝倉への逆プロポーズに成功した倫子。だが、すぐに幸せを掴む…とはいかず、結婚式の当日、朝倉の元カノが式場に突撃。一緒に逃げ出して行った彼から、「もの静かで内向的な彼女が、あんな風に勇気を出して来てくれた姿を見て、一気に時間が戻ってしまった」と言われ、倫子は婚約破棄されてしまう。

 そんな倫子を励ますために、「朝倉さんどうせすぐ捨てられるから!」「あんな女選ぶ女とか、こっちから却下でしょ!」と言う香と小雪。「こんなことになるんだっ“タラ”、朝倉さんのこと好きにならなけ“レバ”良かった」と3年前と変わらない「タラレバ」を繰り返し続ける倫子の前に、一時帰国したKEYが現れる。「なんで逃げられた?」と聞くKEYに、「あざとい元カノが奪いに来たから」と答える倫子。それに対し、「だからって普通ついて行かないだろ」と言ったKEYの言葉が印象的だった。

“タラ”“レバ”を“カラ”に

 朝倉が逃げた原因は、元カノが迎えに来たこともあるのだろうが、倫子にもどこか原因があったのだろう。たとえ、他の人が奪いに来たとしても、2人の関係性がしっかりと構築されていれば、付いていくことはなかったはずだ。失われた幸せを相手のせいにすることで、その場の気持ちはラクになる。だが、その原因としっかり向き合わないと、前には進めない。その相手を恨み続け、立ち止まってしまうことになる。

 そこで、倫子が3年前に振った男・早坂の言葉が、胸に突き刺さる。「僕は今ね、妻と娘に囲まれて、すごく幸せなんだ。倫子さんと出会えたからこそ今の幸せがある」ーー、早坂も当時、「あの時もっと気持ちを掴めてい“タラ”…」「そもそも付き合わなけ“レバ”…」と後悔を抱いていた。しかし、その倫子との恋があったからこそ、今の相手とは、きちんと向き合うことを心がけるようにした。だからこそ、幸せが続いている。

 その言葉を聞いた倫子は、大事なことに気付く。KEYの元に駆け出し、「“タラ”“レバ”を“カラ”に変えたらいいんだよね。あんたがロスに行っちゃった“カラ”、新しい恋をした。うまくいかなかったけど、いっぱい後悔した“カラ”、前に進めたんだ」と告げる。

 3年前は、「また会いに帰ってくる」と言うことができなかったKEY。だが今回は、ロスに戻る前、倫子に「行って来ます」と告げた。2人の恋路がこれからどうなるのかは分からないが、きっとどうなっても、倫子が後悔することはない。すべての出会いも、失恋も、無駄にはならない。出会って恋をすることができた“カラ”こそ、いつかやって来る幸せを大切にすることができるということに気づいたから。【かなぴす】

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