THE BEAT GARDEN「しっかり言葉を届ける」今4人が考える音楽へのアティチュード
INTERVIEW

THE BEAT GARDEN

「しっかり言葉を届ける」今4人が考える音楽へのアティチュード


記者:村上順一

撮影:

掲載:20年09月29日

読了時間:約10分

 大阪で結成された3Vo+1DJのボーカルグループ・THE BEAT GARDENが9月28日に、第2弾となる配信限定楽曲「夏の終わり 友達の終わり」をリリース。前作「光」から約3カ月、届けられた音源はこの季節の変わり目にぴったりなミディアムナンバー。メロディと言葉を大切にしているという今のTHE BEAT GARDENのスタンスが存分に反映された1曲に仕上がった。インタビューでは、「夏の終わり 友達の終わり」の制作背景に迫るとともに、今4人が考える歌や音楽へのアティチュードに迫った。【取材=村上順一】

懐かしさを感じさせる「夏の終わり 友達の終わり」

「夏の終わり 友達の終わり」ジャケ写

――REIさん髪の毛を切りましたね。

REI インディーズの頃から合わせて今回で11作品目となるリリースなんですけど、ずっとロングヘアーだったので、このタイミングでイメージを変えてみたいなという気持ちが芽生えました。最初は「Snow White Girl」をリリースする時に切ろうかなと思っていたんですけど、その時は切らない方がいいんじゃないかという気持ちが先行して、切れなくて。

――今、どんな心境ですか。

REI 髪の毛が短いとすごく楽です(笑)。ここまで後ろを短くしたのは本当に久しぶりでした。

MASATO 僕らからすると、出会った時のREIは髪が短かったので懐かしいです。

SATORU 僕も3人のライブを手伝っていた時代を思い出しました。

――前回「光」の時のインタビューで、ストレッチ体操を40日連続でチャレンジしていました。その時、REIさんが「リリース日にはどんな気持ちになっているのか、今から楽しみ」と仰っていたのですが、達成してみていかがですか。

REI Beemerのみんなが本当に優しくて、毎日の配信をちゃんと観てくれていましたし、やって良かったなと思いましたし、画面を通して繋がることができたなと思いました。達成感はすごくあります。

――さて、第2弾となる配信限定楽曲「夏の終わり 友達の終わり」がリリースされます。このテーマになった経緯はどんなものだったのでしょうか。

U 夏をテーマにしようというのは決まっていました。そこから夏の終わりをテーマにデモ出しをすることになって、それぞれ5曲ずつぐらい作ってきました。曲調の指定はせずに作ったので、集まった曲はアップチューンやバラードもありました。

――楽曲はUさんとMASATOさんの共作になっていますが、どのような割り振りで制作して行ったのでしょうか。

U Aメロとサビはもともと出来ていて、どうしてもBメロだけが出てこなかったんです。それでMASATOにBメロを作って欲しいとお願いしました。

MASATO もらったAメロとサビがすごく懐かしさがあったので、その懐かしさを壊したくないなと思いました。そこをちゃんと残しながらも、サビへとうまく繋がるようにするというのは意識したところでした。

――SATORUさんは今作を聴いてどのような気持ちになりました?

SATORU 僕もこの曲を聴いた時、懐かしいという感覚がありました。個人的には中学時代をすごく思い出させてもらった曲なんです。トラックに関してもシンセのリフがすごく好きで、ノスタルジックなメロディと現代的なアレンジが相まってTHE BEAT GARDENの曲にしっかり落とし込まれているなと感じました。

――中学時代のどんなことを思い出しました?

SATORU 僕の中学時代の夏は定番化していたことがあるんです。それは夏前に告白して付き合うんですけど、体育祭後に振られるというのが中学2年生、3年生の時の恋愛なんです。その2年間、振られてもう一度告白して同じ人と付き合ったんですけど、中学3年生の終わりの時に、結局また振られました(笑)。もう誰かと付き合いたくて、そんなに好きではなかった子に告白したんですけど、見事に振られたという思い出があります…。その時は自暴自棄だったんです(笑)。

――苦い思い出ですね(笑)。さて、REIさんはこの曲をどのように捉えていますか。

REI デモの段階でメンバーがそれぞれ5曲くらい上げてきてくれた中で、この曲がいいなと思っていました。その理由の一つに夏の終わりをテーマに作っていて、すごく合っているなと思いました。どこか懐かしい感覚にも陥るようなメロディになっていると思います。

――ジャケットのイラストも懐かしさが出ていますよね。

U デモの段階から「“懐メロ”感があるよね」という話をしていて、ミュージックビデオもフィルムで撮りました。ジャケットに関してもそれは共通していて、今回は自分たちが写ってないジャケットというのを、僕らからも提案させていただきました。

――なぜご自身たちが写らないというのを提案したんですか。

U 曲をしっかりと届けたい、という想いからそうなりました。その中で何か良い案がないかなと話している時に、FM STATIONのイラストを見せてもらったんですけど、すごくそのテイストがいいなと思いました。

――音楽をしっかり届けたいという意図があったんですね。さて、タイトルなのですが、友達の終わりと続いているのが印象的なのですが、なぜここに辿り着いたのでしょうか。

U この曲が出来上がって、タイトルはずっと「夏の終わり」でした。でも、打ち合わせをしている時にもっと良いタイトルないかな、とみんなに相談しました。ボードにみんなで書き出していって、MASATOが「友達の終わり」とつけ足してくれたんです。

MASATO 20個くらいそれぞれタイトルのアイデアを出したんですけど、恋の始まりというテーマが歌詞にあって、それは友達の終わりでもあるなと思いました。夏の“終わり”、友達の“終わり”と韻を踏んだタイトルになりました。僕はヒップホップ育ちなので、韻を踏みたくなるんです(笑)。

U MASATOは全然ヒップホップ育ちじゃないですよ。エミネムにちょっとハマっていた時期があるくらいで(笑)。

MASATO すみません、J-POP育ちです(笑)。

――(笑)。歌詞の内容なのですが、これはUさんの実体験?

U エピソード自体は想像なんですけど、友達に恋をするということは僕も実際にあって、その時の気持ちを思い出しながら書きました。僕らと同世代だったり、上の世代の方たちは「こんなことあったな」と、懐かしさを感じてもらえたら嬉しいです。今のTikTokやSNS世代の子たちが共感してもらえたら嬉しいなと、そういったことを想像しながら書いていきました。

――歌詞にリアルな描写を入れてあるのも、Uさんらしさが出ているなと思いました。例えば<半音下がる君の声が急に聴きたくなって>といのも、共感できる人が多いんじゃないかなと。

U 僕もそれは経験したことがあって、この部分は実体験から生まれた言葉です。今回は“男心あるある”みたいなのを書くと、女性も男性がどう思っているのか知ってもらえるかなと思い、ユーモアも交えながら書いてみました。等身大で書くことができたなと思っています。

歌に対するそれぞれの意識変化

――今回、レコーディングにけっこう時間が掛かったみたいですね。今作ではどのあたりに時間をかけたのでしょうか。

MASATO 僕はレコーディングの時に小学生の時の自分を思い出して歌いました。当時、家が近かった女の子と一緒に帰っていたんですけど、その頃の自分の気持ちに近い表現が出来たらいいなと思っていました。それで、納得いかない部分があったら歌い直すことを繰り返していました。気づいたら時間が経っていたという感じなんです。

――全体でどのくらいの時間レコーディングしていたんですか。

MASATO 確か12〜3時間はレコーディングしていたと思います。

――こだわりが詰まっていますね。SATORUさんはそれをずっと見てディレクションに参加したり?

SATORU ずっと見ています。細かいディレクションまではしないんですけど、僕の感想はいつも3人に伝えています。

U みんな、歌録りの最中はディレクションに前のめりになっていて、録り終わったあとにSATORUに感想を求めることが多いです。良くない時は、ハッキリ言わないんですけど、「もっとこんな感じじゃなかったですか」と、SATORUは探りを入れてくるんですよ。

――REIさんはなんでも今回は声のミドル成分を打ち出したとのことですが、詳しくはどんな感じなんですか。

REI ボイトレの先生を変えたんですけど、「Snow White Girl」ぐらいから自分の歌声を見つめ直してました。声色を考えながら、先生に声の出し方を教えてもらっていて、今の発声方法に至っています。今回それをトライしてみました。初期の作品の頃の歌い方とは変わってきていると思うので、これまでとは違う自分を聴いてもらえると思います。

――「光」のインタビューの時に、Beemerの方から歌い方が好評だったことが「嬉しい」と話していたのは、そういうのも関係していたんですね。

REI そうなんです。みんなからそう言ってもらえたのは、良い方向に進んでいることを実感できたので嬉しかったです。

――MASATOさんもそういった歌い方を変化させたところはあるんですか。

MASATO 日々考えているところではあるんですけど、曲にあった雑味みたいなものは残したいと思っていました。最近は丁寧に、キレイに歌い直したりすることも以前は多かったんですけど、昔の自分にあった雑味のある歌い方も良いかなと思いました。カバーとか歌っている時もそうなんですけど、そういった変化はあります。カバーをするにあたって、そのアーティストの歌い方や個性、形成するものはなんだろうと研究する様になったきっかけにもなり、もっと声の表情みたいなものも研究していくべきだなと思いました。

――Uさんはいかがですか。

U ここ最近の曲は特にグッドメロディに乗せてしっかりと言葉を届ける、というのを意識してやっているので、それが自分にもすごく馴染んできました。昔はエレクトリックダンスロックというスタイルがメインとしてあって、それに挑戦していくようなスタンスでした。でも、今はしっかり言葉を届けるというのが、真ん中にある感じで曲作りやレコーディングが出来ています。歌割りも変化があってサビの頭は僕が一人で歌っていたり、MASATOとREIも一人で歌うパートがあったり、三声の在り方というのは色んな形で出して行けたらと思っています。今作はその新たな一歩目という感覚で歌いました。

――近年、ミディアムナンバーが印象的なのも、そういった意識変化の表れなんですね。この意識の中でアップチューンを作ったらまた新しいものが聴けそうですね。

U ありがとうございます。僕らもアップテンポの曲を久しぶりに歌いたいと思ってきていて、おっしゃる通りでまた今までとは違ったものを打ち出せるんじゃないかなと思っています。

自分たちの中でも整理できていない

――さて、先日皆さんがインディーズ時代からライブをやっていたライブハウスのmorph-tokyoが閉店するという知らせがありました。

U 歌い続けていく限りはずっと思い続けていく出来事です。morph-tokyo、店長の阿部さんがいなかったら、僕らは今の事務所にも入れていないですし、歌手になれてなかった可能性すらあります。前回、配信ライブをやらせてもらった時に、閉店する事は決まっていたと思うんですけど、僕らに気を遣ってだと思うんですけど、そのことは教えてくれなかったんです。恩返しが出来なかったのが、本当に悔しくて…。思い出があり過ぎて、このままでは全然終われないなと。まだ、自分たちの中でも整理できていなくて...。出来ることがあったらやりたい気持ちは強いです。

――自分達が育った場所が無くなってしまうというのは寂しいですよね。さて、前向きに頑張っていかなければいけないと思うのですが、最後にBeemerの皆さんにメッセージをお願いします。

REI 常になんですけど、前回の配信ライブもそうですし、Beemerのみんなとどうやったら繋がれるのか、というのを模索しながら活動しています。今年もまだまだ色んなことをやりたいと思っているので、楽しみにしていて欲しいです。

MASATO お客さんを入れてのライブが難しい中で、寂しさやもどかしさはあったのですが、最近ちょっとずつ良い兆しも見え始めて、会えることを楽しみにしていることの方が、すごく強いです。僕らもいろいろ準備していて、「待っていて良かった」と思えるように頑張りたいです。個人的にはハイパーヨーヨーを始めたので、それも楽しみにしていて下さい(笑)。

SATORU 落ち着いたらやりたいことも沢山あります。その中の一つに飲みに行ったりしたいんですけど、それが自由に出来るようなったらライブも今まで通り出来るようになると思うんです。まずは飲みに行きたいと思っていて、居酒屋で見かけたら皆さん、声を掛けて下さい(笑)。

――そういえば、SATORUさん前回のインタビューでカッコいいと言う言葉を、皆さんからもらえたら頑張れるとお話ししていましたが、その後いかがですか。

SATORU 今のところ音沙汰はないので、引き続き宜しくお願いします(笑)。

U 思うように活動が出来ず、僕らも本当にツライ部分もあったんですけど、Beemerのみんなはライブを本当楽しみにしてくれているというのが伝わってきています。僕らにとって握手会もただの特典会ではなくて、みんなが僕らに近況を伝えてくれる場所でもあるんです。SNSのDMやリプライを見ていて、みんな大丈夫かなと心配になりますが、曲もたくさん作りますし、もちろんライブもやっていくんですけど、絶対に直接会える機会というのを作りたいと思っています。その時までみんな無理せずに、元気で待っていて欲しいなと願っています。

(おわり)

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