BREAKERZ「僕たちは一人じゃない」コロナ禍で改めて感じた音楽の尊さと意味
INTERVIEW

BREAKERZ

「僕たちは一人じゃない」コロナ禍で改めて感じた音楽の尊さと意味


記者:榑林史章

撮影:

掲載:20年09月10日

読了時間:約9分

 ロックバンドのBREAKERZが9月9日、約1年ぶりとなるニューシングル「BARABARA/LOVE STAGE」をリリース。(※「BARABARA」の正式表記は、2文字目の“A”が上下反転、5文字目の“B”が左右反転)。「BARABARA」は森崎ウィンの主演映画『妖怪人間ベラ』(英勉監督、9月11日から全国順次公開)主題歌で、「LOVE STAGE」はDAIGOの実姉・影木栄貴と蔵王大志による原作コミックの実写化として話題の映画『LOVE STAGE!!』(井上博貴監督、10月2日公開)主題歌。Wタイアップの豪華なシングルについて話を聞くとともに、コロナ禍におけるバンドや音楽のあり方を語ってもらった。【取材=榑林史章】

妖怪たちの狂気、苦悩や葛藤、苦しみ悲しみを歌詞に

――1年ぶりの新曲で、しかも映画主題歌による両A面というBREAKERZ初の試みについてどんなお気持ちですか?

DAIGO 今年は新型コロナウイルスの影響で世界的に多大な影響がある中、ミュージシャンもライブができないといった状況になりました。僕たちBREAKERZも予定していたことが何もできずに上半期を過ごしました。その中で映画のタイアップの曲が2つあり、この曲たちをどうするかとミーティングを繰り返しました。配信という案もあったのですが、僕たちはCDをリリースすることにこだわってきたバンドだったし、この状況に負けたくなかった。だからCDとしてリリースすることになりました。ファンのみなさんも喜んでくれているので、この判断は正しかったと思えました。

AKIHIDE なかなかファンのみなさんと会えない中、こうして作品をリリースできて伝えられることに感謝しています。まったく違う2つの映画だからこそ、BREAKERZらしい“キャラが違ってもBREAKERZの曲”という部分をより感じていただけると思います。

SHINPEI 活動13周年を越えた今でもCDシングルをリリースできるのは、ミュージシャンとして本当に嬉しいことです。両曲とも映画のタイアップをいただいたので、BREAKERZの音楽が他の作品とコラボレーションできるワクワク感にも溢れていました。

――「BARABARA」は映画『妖怪人間ベラ』主題歌です。映画を観たりシナリオを読んでどんな印象でしたか? その上で主題歌はどんなものにしたいと思ったのでしょうか。

DAIGO 『妖怪人間ベム』には、もう一つ隠された最終回があった。そしてその最終回は現実世界と繋がっていたというショッキングなストーリーで、僕もアニメの『妖怪人間ベム』を再放送で見ていたので映画を見て引き込まれました。曲調としては、BREAKERZの中でもダークでエッジが効いたロックチューンが相応しいと思いました。

AKIHIDE 映画を見て思ったのは、ホラーという映像的な怖さだけではなく、人の心に潜んだ闇を描いたじわじわとくる怖さに引き込まれました。主題歌は、そんなハードであってもどこかに切なさや哀愁を感じてもらえるようなメロディや、リスペクトを込めて原作アニメのテーマをあえて引用したりと、色々な要素を織り交ぜながら作ろうと思い制作しました。

SHINPEI 真面目で優しい主人公がどんどん狂っていく様子は、お化けを見る怖さとはまた違った恐怖感がありました。本当に恐ろしいのは、もしかしたら正気を失った人間なのかもしれないですね。そんな狂気の世界をさらに演出できるように、BREAKERZ流のダークなロックサウンドを作りました。

――歌詞は、耽美的な言葉と、黒、赤、白といった色が出てくるのが印象的でした。この歌詞に込めたメッセージは?

DAIGO 妖怪たちの狂気、苦悩や葛藤、苦しみ、悲しみ、全てを歌詞にしました。人間の愚かさを歌った曲でもあります。早く人間になりたいと願っていたベラが何故、人間になんかなりたくないと思うようになってしまったのか、劇場でぜひ知って欲しいです。

――ミステリアスさのあるイントロや疾走感のあるサビが印象的でしたが、どんなイメージで作曲しましたか?

AKIHIDE 映画のラストシーンの後から曲が流れるとのことで、半音階の静かな妖しい雰囲気で始まり、それを突然入るビートで壊すようなイメージが最初に浮かびました。そこから原作アニメのフレーズをモチーフにしたり、ベラの叫びをギターソロで表現したりと、映像を思い浮かべなが制作しました。

――間奏ではホラーっぽさがあったり、セリフも入っているなどアイデアも満載ですが、バンドアレンジではどんなことを意識しましたか?

AKIHIDE 映画を観た後で、劇中に出てくる色んなシーンを思い返すきっかけになればと、アイデアを沢山入れ込みました。基本的にバンドサウンドでありながら、あえてベースやコーラスはコンピューターで作り、人間味と機械が合わさったハイブリッドなイメージでもアレンジしていきました。

――ボーカルは妖艶さとエモーショナルさが同居していて、映画の雰囲気ともぴったりだと思いました。歌入れで心がけたことはありますか。

DAIGO 妖怪が人間から受けてきた裏切りや、迫害された想いにシンクロしながら歌いました。

――妖怪人間と言えばベム、ベラ、ベロの3人です。BREAKERZの3人を当てはめるとしたら?

SHINPEI バンドのリーダーなので、ベムはDAIGO。クールな印象が似ているので、ベラはAKIHIDE。3人の中では弟分的な存在なので、ベロはSHINPEIでしょうか(笑)。

忘れないで。『僕たちは一人じゃない』ということを!

「BARABARA/LOVE STAGE」通常盤ジャケ写

――もう1曲の「LOVE STAGE」は、映画『LOVE STAGE!!』の主題歌です。芸能界を舞台に、恋のドキドキや胸キュン、ドタバタもありながらのシンデレラストーリーで、みなさんが考えるこの作品の魅力や面白さはどのようなところでしょうか。

DAIGO 姉の影木栄貴が原作を手がけたコミックの実写化ということで、僕も出演しておりますが、必然的なBLをストレートに楽しめる作品になっています! BREAKERZのパロディのCRUSHERZも出ているので、面白いです!

AKIHIDE 色んな愛の形はあれども、“ときめく”ということが何よりも大切なんだ、ということを教えてくれる作品だと思います。

SHINPEI 愛の形はひとつじゃない。2人だけの世界があれば怖いものなんかない! という、恋をした時のある意味で無敵なワクワク感を味わえるのが、この作品の魅力だと思います。

――「BARABARA」とは一転、ポップで胸キュン感のあるロックチューンになりましたが、どういうイメージを持って作曲しましたか?

SHINPEI この作品が持つキラキラとした世界観には、ポップでキャッチーなテイストがぴったりだと思ったので、BREAKERZの持ち味の一つでもある明るく楽しいロックサウンドを全面に取り入れました。

――可愛らしいBメロや、間奏にはまるでライブのようなコールが入るのも印象的ですね。

DAIGO とにかくこの作品の世界観に合う曲にしたかったので、CRUSHERZになった気分で作っていきました!

SHINPEI デモを作った当初はコールはなくて、スタンダードなギターソロだったのですが、「オーディエンスも一緒に楽しめるセクションにしよう!」というDAIGOさんの提案があって、このコールセクションを作りました。レコーディングの時は、低い声や元気な声など様々な声色を、みんなでひとつのマイクを囲んで重ね録りしました。手に汗握る楽しい時間でした!

――途中でハートの絵文字が入っている歌詞は、どんなイメージで作詞しましたか?

DAIGO やっぱり「LOVE STAGE」という曲名だし、LOVEが溢れている曲にしたかったので、ハートの絵文字を使いました。ちょっと時代を感じるのはご愛敬ですね(笑)。「恋にルールなんてない!」という想いが込められているので、伝わると嬉しいです。

――DAIGOさんは、アニメ版に続き瀬名聖湖役で出演されています。撮影のときのエピソードはありますか。また、実姉の原作作品に出演するお気持ちはいかがですか。

DAIGO 姉から電話がきて、映画の主題歌も出演も決まりました(笑)。撮影は杉山真宏くん、仲田博喜くん、和合真一くんと楽しくやりました! ただ、俺だけずば抜けて年上だったので、見た目的に大丈夫か不安でしたね。でも実姉と、こういった形でコラボできるのは嬉しいですね!

――『13周年記念 Special Deluxe Edition for TEAM BREAKERZ』盤(受注受付終了)には、「BARABARA」と「LOVE STAGE」の他に「Day Soldier ~Acoustic Version~」も収録しています。改めてどんな「Day Soldier」になりましたか?

AKIHIDE ずいぶん前に作曲したものなので、いま歌詞を見ると当時の若さも感じたりしますが、だからこそ13年を経たバンドとして、進化した大人なアレンジを施すことができたかなと思っています。

――ところで、ステイホーム期間中はそれぞれどんなふうに過ごしていたのでしょう? ハマったことや新しく始めたことなどありますか。

DAIGO APですね。

――APとは?

DAIGO 「朝パン」です(笑)。朝トーストを、いろんな味付けで楽しんだりしました。あとは映画やドラマを見たり、曲を10曲以上作りました。

AKIHIDE 自分のプライベートスタジオの壁を、漆喰で塗ることにハマっていました。

SHINPEI NETFLIXで、韓国ドラマを見ることにハマりました! 『愛の不時着』、『梨泰院クラス』、『サイコだけど大丈夫』の3作品は、特にオススメです! あとは、もともと家事が大好きだったので、手作り料理や整理整頓、普段手の届かない水回りや換気回りの大掃除もやりました。

――コロナウィルスの影響でライブ中止などありましたが、そういう経験を経て今思うことや、現在のような情勢の中で、今後BREAKERZはどういう役割りを果たしていきたいか、それぞれの今の思いを教えてください。

AKIHIDE いまだからこそできることがきっとあるはずなので、みなさんとともに見つけて行きたいと思っています。

SHINPEI 沢山の人と集まってライブをやれることが、本当に奇跡的なことなんだと再認識しました。以前のような環境へ戻るには時間がかかるかもしれませんが、新たに生まれたインターネットを駆使しておこなうエンターテインメントを活用して、BREAKERZができることを探して取り組んでいきたいと思います。そして、ファンのみなさんとまた会える時期が来た時は、思いっきり楽しめるようにしっかりと準備をしておきます!

DAIGO まさかライブが、こんな形でできなくなるとは思いもしませんでした。大切な人やたくさんの命を奪った新型コロナウイルスに対しては憤りしかありません。しかし、生きている僕たちが何もしないわけにはいかないので、BREAKERZが何かをやることでひとりでも元気になるのなら、この状況でもできることを考え発信し続けていきたいと思っています。そして、また完全にライブができるようになる日は絶対に来るので、自衛しながら健康第一で一緒に乗り越えていきましょう。これだけは忘れないでください。『僕たちは一人じゃない』と、いうことを!

(おわり)

作品情報

BREAKERZ
21stシングル
「BARABARA/LOVE STAGE」
9月9日発売

通常盤 ACL-6052 CD Only 1320円(税込)
※封入特典 豪華特典プレゼント応募シリアルナンバー

【収録曲】

M1. BARABARA
words DAIGO&AKIHIDE music AKIHIDE arrangement:BREAKERZ
M2. LOVE STAGE
words DAIGO&SHINPEI music SHINPEI arrangement:BREAKERZ
M3. LOVE STAGE ~CRUSHERZ Version~
words DAIGO&SHINPEI music SHINPEI arrangement:BREAKERZ

※以下、可能でしたら記載お願いします。

初のオンラインライブ開催決定!
9月26日 17:00スタート
ライブ配信サービス「PIA LIVE STREAM」にて配信

BREAKERZ初の無観客生配信ライブは、9/9リリースの新曲「BARABARA/LOVE STAGE」を引っさげて、久しぶりのバンドセットにて開催
タイトル通りの“一夜限り”の愛に溢れたステージをお楽しみに!

BREAKERZ オフィシャルサイト
https://breakerz-web.net/
Twitter

この記事の写真

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事