BTS所属のBig Hitも参戦、韓国発のオーディション番組盛況 狙いとは
BTS
韓国大手事務所が日本で行うオーディション番組が話題となっている。『Nizi Project』から誕生した「NiziU(ニジュー)」、『PRODUCE 101 JAPAN』の「JO1」。いずれも日本のレコード会社あるいは事務所との合同で行われたものだが、こうしたオーディション番組で誕生したグループが、若者を中心に熱狂的な人気を集めている。オーディション番組はかつて日本でも盛んに行われていたが、現在はK-POPシーンが盛況で、そこから誕生する人気グループも多い。そして、「BTS」が所属しているBig Hit Entertainmentの日本法人Big Hit Entertainment Japanが、日本で初となる男子オーディション『Big Hit Japan Audition 2020』の開催を発表した。日本のこれからのシーンにどのような影響を及ぼすのか。
『Nizi Project』に見る日本のアイドル選考との違い
オーディションでのサバイバルは、感動を生む。それに感情移入するファンも多い。これは日本におけるアイドルグループの成長過程を応援するという形に近い。K-POPなどに代表されるのは、オーディション番組での成長過程を見せ、完ぺきな姿でデビューさせることだ。日本においてもそうしたグループはいるが、オーディションという形でその過程を見せるという形式はK-POPと比べると少ない。
ガールズグループに着目すると、日本の多くのアイドル選考は、初めはダンスや歌が苦手だったとしても、そこに一筋の光が見えるかどうかが重視される。そして、そこから血の滲むような努力の日々が始まり、プロになっていく。
一方、「NiziU」が誕生したオーディション「Nizi Project」では、総合プロデューサーのJ.Y. Park(パク・ジニョン)氏が、「デビューするレベルに至っていなかったら合格はさせられない」と度々口にしていたのが印象的だ。NiziUメンバーのAYAKAのように、初対面の際、氏に「家に帰っても頭から離れないと思います」と言われるほど並外れたスター性があったとしても、即合格とはいかない。
プロさながらのステージが用意され、ステージに立つ者として完璧なパフォーマンスができるようになって、初めて合格となる。ステージに立つことに緊張しないかというラインではなく、ステージの上で実力以上のパフォーマンスが見せられるかが基準となっており、視聴者も彼女たちがデビュー前の練習生だということを忘れてしまうほど完成度が高い。このように、デビュー前から“プロ”として評価をされるのが特徴だ。
オーディション番組で得られるメリットとは
こうしたオーディション番組が日本でムーブメントになりそうな気配がある。『Nizi Project』『PRODUCE 101 JAPAN』のように、オーディション番組としてグループ誕生までを放送することで、成長過程を追うことができる。それによって日本のアイドルの強みである「共感性」や「親近感」が生まれる。
そしてオーディションから幾多の試練を乗り越えて選ばれる精鋭たち。デビュー時にはプロとしての完璧な姿で、完成度の高いパフォーマンスを見せる。ここで、「親近感」のあった存在から「羨望」の的へと変化する。ジャンルは違うが、日本でも「モーニング娘。」や「ラストアイドル」など選考過程を見せてきたグループもある。
特に、「一緒に歩んで行こう」と横並びで応援する日本のアイドルグループに対して、完成度の高いパフォーマンスに憧憬を抱かせるK-POPグループ。韓国大手事務所が、日本で人材発掘を行う狙いの一つには、双方のファンへのアプローチをかけ、その強みを両立するという狙いもあるのかもしれない。
Big Hit Entertainment Japanもオーディションを開催
そして、K-POPが誇る人気グループ「BTS」が所属しているBig Hit Entertainmentの日本法人Big Hit Entertainment Japanが日本初の男子オーディション『Big Hit Japan Audition 2020』を開催することが明らかになった。開催決定の情報が解禁されると、BTSファンのみならずK-POPファンの間でも話題に。今年6月に第一弾として募集されたLINE限定女子オーディションでは、3万人を超える応募があった。
第二弾となる今回の男性募集は、グローバルに活躍する先輩アーティストの弟分として、さらに大きな注目を集めるだろう。音楽シーンはますます盛り上がりを見せることだろう。
ステージで輝き続けるために並外れた努力をしていることは間違いなく、そのどれもが美しい。今後、韓国の大手事務所の参入により、日本のアイドルシーンはどのように変化していくのかーー、「NiziU」のように、“親近感”と“高クオリティ”を両立し、世界をまたにかける“ハイブリットアイドル”が、これからの音楽シーンを彩っていくのかもしれない。【かなぴす】