幼少期の周平役を演じた郡司翔から受け取った花束を抱く長澤まさみ(撮影・木村武雄)

 長澤まさみが4日、都内で行われた映画『MOTHER マザー』(公開中)公開記念舞台挨拶に登壇。社会の闇へ堕ちていくシングルマザーを演じた長澤は役柄に最後まで共感することが出来なかったと語った。また、公開を迎え「旅立っていく寂しさと解放される嬉しさもあって。役を演じて、役柄や作品に対して後ろ髪を引かれるのは初めての体験。それだけ役と向き合えたのかなと」と振り返った。この日は、共演の阿部サダヲ、奥平大兼と大森立嗣監督も登壇した。

 河村光庸プロデューサーが、実際に起きた「少年による祖父母殺害事件」に着想を得て、大森立嗣監督とタッグを組み、新たな物語として映画化。男たちとゆきずりの関係をもち、その場しのぎで生きてきたシングルマザーの秋子と息子の周平を通じて親子関係を描く。

 主演の長澤まさみが、シングルマザーの秋子を演じ、社会の闇へ堕ちていく母親に挑戦。子供たに対して奇妙な執着を見せ、忠実であることを強いる。

 役柄に最後まで共感することが出来なかったという長澤。公開を迎え、「旅立っていく寂しさと解放される嬉しさもあって。役を演じて、役柄や作品に対して後ろ髪を引かれるのは初めての体験。それだけ役と向き合えたのかなと。無駄な時間ではなかったと思えます」と回顧した。

 秋子と内縁の夫になるホスト・遼役を演じた阿部サダヲは、難役に挑んだ長澤に「女優さんが嫌なイメージを作るのは難しいと思うけど、完成したものを観て、遼もお母さん(秋子)に対してもイラっとした。それが映画としては良かった」と讃えた。

幼少期の周平役を演じた郡司翔(手前)と長澤まさみ

 そんな長澤は「毎日これでいいのかなって悩んでいた」とし、その救いにもなったのが秋子の息子と娘を演じた子役の存在。母親・秋子の歪んだ愛情しか知らずに育った17歳の少年・周平役は奥平大兼が演じ、幼少期の周平役は郡司翔、娘の冬華役を浅田芭路が演じた。

 「奥平君もそうだけど、子役たちは素直で純粋無垢。監督の言うことをハイと答えて誠実にお芝居をするので、その姿に、普段悩んで『これでいいのかな』という思いが、引っ張られることなく前に突き進めることが出来ました。本当に子供たちに救われました。母親は子供たちから教わることもあることを実感しながら演じられました」

 この日はその“子”郡司と浅田が駆けつけて花束を“親”に送った。その花束を胸に大切に抱く長澤は「この作品を通して親子との向き合い方を考えるきかっけになると思います。びっくりするところもありますが、この映画が言いたいのはどこか不変的なところがあるところ。より多くの方に観てほしい」と呼びかけた。

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