ベイビー・ブー、夢に向かって邁進 リモート歌唱動画を毎日更新し続ける理由
INTERVIEW

ベイビー・ブー、夢に向かって邁進 リモート歌唱動画を毎日更新し続ける理由


記者:村上順一

撮影:

掲載:20年05月29日

読了時間:約5分

 5人組コーラスグループのベイビー・ブーが、コロナ禍の中Twitterに歌唱動画を毎日更新。3月5日から5月29日現在まで一日も休まず更新し86日間連続、計86曲の歌唱動画をメンバー5人が在宅リモートで歌った動画を公開し続けている。

 5月5日のこどもの日には、#みんなでこいのぼりというハッシュタグでこいのぼりを歌唱する動画を募り、1本のコラボ動画を作成。NHK連続テレビ小説『エール』やTBSドラマ『テセウスの船』に出演子役・白鳥玉季が参加。そして、母の日には彼らと共演経験のある川中美幸と「おんなの一生~汗の花~」を川中美幸初のリモート歌唱でコラボするなど、その輪は大きく広がりを見せている。彼らが毎日動画を更新し続けることについて、ベイビー・ブーのリーダーであるユースケに話を聞いた。【取材=村上順一】

ほっこり出来る瞬間を作りたい

川中美幸とのコラボ動画キャプチャ


 
――緊急事態宣言は解除されましたが、でもまだまだ油断を許さない状況だと思います。どのような思いの中、毎日動画を更新されていますか。

 昨年より「今日は何の日?」というその日にちなんだ楽曲の動画を歌唱しTwitterに上げていたのですが、3月頭頃からコロナの影響を受けメンバー5人が集まることができなくなりました。そして、自分たちのコンサートやイベントが中止や延期になる中で、3月5日から「僕たちが何とかして動画を更新することで、気が張り詰めた生活の中、観てくださった方が笑顔になれたり、少しだけでもほっこり出来る瞬間を作りたい!」という思いから、会えないファンの皆さんや在宅中の子供たちに、メンバーそれぞれがリモートで収録した歌を合わせ毎日公開しています。

――毎日更新というのは容易なことではないと思うのですが、どのようにモチベーションを保られていますか。

 「毎日その動画と歌を聞いて喜んでくださる方がいる」というのがとても大きいことです。「今日も頑張れます!」とか「疲れが飛びました!」とコメントをくださる方もいらっしゃるので、そういった声を励みに取り組んでいます。動画を見て頂いた方と僕たちの「パワーの交換」になっていたら嬉しいです。実際メンバー5人が在宅でやっているという連帯感も頑張れる要因でもあると思います。

――3月頭から動画を上げ続けていますが、どのような手応えを感じていますか。

 楽曲によって再生回数が変わるのですが、やはり童謡や子供たちに人気のある曲は多くの方が見て頂けているようです。やはりステイホームで子どもたちに聴かせたいということなのかと思います。

――今上がっているリモート歌唱動画のなかで、特に気に入っている曲があれば、その理由とともに教えてください。

#みんなでこいのぼり

 5月5日の子供の日に、外出できない子供たちに何か楽しいイベントを作れないか? というとこから「みんなでこいのぼりを歌おう」と企画したときに歌った「こいのぼり」です。急遽呼びかけた企画にも関わらず100人を超える方々が参加し一つの動画に編集したことで、こういった状況や環境でも様々な方と繋がれたことに、大きな喜びと希望を感じました。

――童謡から最新ポップスまで、レパートリーは幅広いですが、それぞれこれからチャレンジしてみたいジャンルはありますか。

 ここ数年、あまり選曲していなかった洋楽のリクエストが増えてきています。毎週レギュラーで出演しているラジオ番組(NHKラジオ第一「らじるラボ」)で、リスナーさんのリクエストにこたえるコーナーで洋楽の曲を(リモートで)歌ったことで反響をいただいたので、久しぶりに洋楽のカバーにも取り組んで行きたいと思っています。

――リモートでの歌唱は、実際にやってみてどのような印象を持たれましたか。実際に体験してみて感じたメリットやデメリットなどありましたら教えてください。

 当初は、5人のメンバーそれぞれがリモートで歌ったは声を合わせることで「5人が揃って歌ったらもっといいものになるはず」というもどかしさがありました。今までは5人で一つのように思っていましたが、録音や録画を1人で歌い撮影することで5人で歌っているときには気付かなかった自分の苦手なこと(歌の部分でもあり、映り方など)を再確認し良いものにできるる期間なのかも知れないと思うようになりました。まさに個人修行期間です。

――このリモートを使って、これからどんなことが出来そうですか。新しい可能性を感じている部分などあれば教えてください。

 今はメンバーが離れている環境で同時録音すると、ノイズや音がズレるということがありますが、これからそういった技術的なことが改良されて、それぞれが離れていても、高いレベルでの同時録音や生配信が可能になるだろうと思います。近い未来では、きっとスマートフォンだけでそんなことが出来る時代が来ると感じます。

頑張り続けたから今がある! と思える未来であるように

ベイビー・ブー

――皆さんのホームともいえる「うたごえ喫茶」でのライブが再開したら、やってみたい新しい企画などありますか。

 今はまだ「みんなで声を合わせて歌う」ことが出来ませんが、声を合わせて歌うことが大好きな皆さんと一緒に「武道館で一万人の大合唱」という夢はあきらめていませんので、そこに向かって進んでいきたいと思います。

――思うように活動が出来ないなか、様々な夢や目標に向かえないもどかしさをどう考えていますか。

 今、コンサートやイベント、そして声を合わせて歌うことが出来ないもどかしさは凄くありますが、人生を大きく見たときに「あのときにもがき苦しみながらも頑張り続けたから今がある!」と思える未来であるように、今は毎日歌の動画を上げることや出来ることを少しずつ積み上げていくしかないと思ってます。

――多くのライブハウスが閉店したり、ライブ活動が思うように出来ない日々が続いています。音楽を続けていくことが困難な時代になってきていると思うのですが、シンガーとして、どのような覚悟を持って活動されていますか。

 お世話になったスタジオやライブハウスが閉店されるという話を聞くと、本当に胸が苦しくなります。音楽はライブ(生)に勝るものはないと思います。近い将来、皆さんと一緒に声を合わせて歌える日を我々も心待ちにしています。

――ベイビー・ブーとして、これからやっていかなければいけない課題や使命などありましたら教えてください。

 延期したコンサートもありますし、中止したコンサートも沢山あります。長く待ってくださっているお客様に最高の歌を届けること、会場の皆さんと歌声を合わせ最高の笑顔になることをイメージして、今できることに取り組んでいます。そして、師匠であるボニージャックスさんから受け継いだ5000曲の楽譜を次世代に継承するという役割も担っていかなければと、こういった経験を経て強く感じています。

(おわり)

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