東京女子流・新井ひとみ、中森明菜「少女 A」のカバーで魅せるギャップ
INTERVIEW

東京女子流・新井ひとみ、中森明菜「少女 A」のカバーで魅せるギャップ


記者:村上順一

撮影:

掲載:20年03月26日

読了時間:約12分

 東京女子流の新井ひとみが3月25日、2ndシングル「少女 A」をリリース。昨年11月27日に、ソロシングル「デリケートに好きして」でソロデビュー。80年代のアイドルを彷彿とさせるスタイルでの2ndシングルは、中森明菜の代表曲をカバー。前作「デリケートに好きして」とは違った新井ひとみを魅せてくれた。インタビューでは「少女 A」を歌唱するにあたって心がけたことから、東京女子流でデビューしてから間もなく10周年を迎える新井ひとみに、変化について話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

失敗を恐れずに楽しむことを一番に

新井ひとみ

――2月にアナログ盤をリリースされましたが反響はいかがですか。

 レコードをリリースできるなんて夢みたいです。私自身レコードというものに憧れがあって。きっかけは下北沢のカフェに行った帰りにレコード屋さん(HMV)を見つけて珍しいなと思って入ってみたんです。そこでレコードの話も色々させて頂いて今回レコード発売に繋がりました。私自身これまで活動してきて初めての経験で凄く新鮮です。

――このソロプロジェクトにアナログ盤は似合いますよね。そういえば先日薬局で1日店長をやられていましたが、いかがでした。

 スギ薬局さんの新宿御苑前と新橋店のほうに1日店長をさせて頂きました。店舗入り口でポスターお渡しをさせて頂いたり。たくさんの方が「誰だろう?」と覗きに来てくださって、私を知らない方々も並んでくれてポスターをお渡しできたので、凄く嬉しかったです。親衛隊のみなさんがハッピとか鉢巻とかをして並んでくださっていたんですけど、その時に「新井ひとみ」というのぼりを持ってきてくれたんです。

 この間、ららぽーと豊洲で撮影ありのライブをさせて頂いたんですけど、その時に撮った写真とかも組み合わせてチラシに盛り込んでくださったりとか。チラシの裏には「少女 A」や「渚の『・・・・・・』」や「デリケートに好きして」の歌詞が書いてあって、その横にコールも書いてくださって。ライブ前にわからない方に配ってくださったりしているんです。

――興味を持って頂けるのですね。ライブといえば先日、太田貴子さんと共演されましたね。

「少女 A」CDジャケ写

 「デリケートに好きして」が発売された時に、太田貴子さんが凄いスピードでリツイートしてくださって。それで私が「先生、後ろ向いてて」というネットサイン会番組を毎週木曜日にやっているんですけど、そこに太田さんが来てくださって(笑)。

 そこから色々話が進んで、「バレンタインライブがあるんですけど、出ませんか?」とお誘い頂いて出演させて頂くことになりました。一番びっくりしたのが、私のライブの時は曲が終わってから紙テープを投げ入れてくれるんですけど、太田さんの時は曲中も飛んでくるので凄かったです。

――共演して勉強になったことはありましたか。

 遊び心を入れた感じでみんなが楽しめるように工夫されている発見がありました。そこから私もライブでは失敗を恐れずに楽しむことを一番に、「みんなで楽しもうよ」という気持ちでやろうと思いました。ソロをやり始めて私は全部完璧にやりたいという思いが強かったんですけど、やっぱり楽しい空間を創っていきたい、ハプニングとかも面白さに変えちゃうような感じのほうがみんなも楽しいのではと思ったので、この活動のなかで学んだことです。

――新井さんはデビューして10年、俯瞰するような余裕も出てきた?

 昔よりは落ち着いて物事を見ることができるようになったかなと思います。ソロをやっていてグループの温かさとかも気づくこともできますし、逆にソロで私自身が学ばせて頂くことも多いので、成長できる場所でもあるし、また新しい楽しみかたを見つけられた場所でもあります。

――前回とはまた違って今回の衣装も可愛いですね。

 今回は中森明菜さんと松田聖子さんの雰囲気を残しつつ、私のイメージを取り入れてお願いしますというのをお伝えして作っていただきました。松田聖子さんはデビュー初期とかは白のワンピースというのがイメージがあって、中森明菜さんは初期の頃は可愛らしい衣装を着てらしたんですけど、可愛さもカッコ良さも兼ね備えている色をつけて頂きました。

――確かに紫はシリアスさも鮮やかさもある色ですね。作りとしての一番のお気に入りポイントは?

 ここがシースルーの部分とか、デザインも凄く綺麗でトータルで見て靴はシンプルというのが私の中ではあったんですけど、それとはまた違ってギンガムチェックでというところがまたポイントになっていたり。あと女の子は一度は憧れるであろう大きなリボンもポイントです。

真似をするというのは違う

新井ひとみ

――「少女 A」を選曲した経緯は?

 ライブの時は「デリケートに好きして」と「渚の『・・・・・・』」など可愛くてポップで明るい楽曲を歌わせて頂いていて、次はどうしようかなと考えていた時に、カッコ良い楽曲、ギャップを見せたいと思いました。親衛隊のみんなにもびっくりして楽しんでもらいたいし、私自身も「少女 A」に挑戦して色んな発見があって楽しみたいなと思ったので、この曲にしました。

――中森明菜さんの歌声を聴いて感じたことはありますか。

 中森明菜さんが17歳の時にこの「少女 A」を歌っていたんですけど、大人っぽい声で驚きました。加えてオーディションの時の映像も観たんですけど16歳、17歳に見えないんです。でも喋っている声はとても可愛いんです。歌うとガラッと変わるのでそのギャップにやられました。多分ずっとオーディションに落ち続けていて、最後に受かって嬉しくて泣いている姿に、私も頑張ろうと胸がギュッとなりました。

――新井さんもステージに立って自分のチャンネルが切り替わっている感じることはありますか。

 あまり意識はしていないんですけど、この髪型と衣装を着たらいつもとは違う感じになります。凄い不思議なんですけど、衣装もパワーを持っていて、レッスン着でやっている時と衣装でやっている時の自分って全く違うんです。衣装のパワーって凄いなと感じます。

――さて、「少女 A」のレコーディングで大変だったことは?

 ミュージックビデオ(MV)の撮影と一緒の日にやっていて、いつもだったらAメロ、Bメロ、サビと細かく分けて録っていくんですけど、今回は全部ツルッと歌ったので体力や集中力が問われました。あと「少女 A」を歌うにあたって中森明菜さんを真似するというのは違うなと思って、「私がカバーしたらこうなります」という推しのポイントも作りたいと思いました。私は息継ぎをあまりしないというのを決めたんです。

――振り付けでも、こだわった部分はありますか。

 <頬づえついて あなたを想えば>という歌詞があるんですけど、そこは目線と手の振りに合わせ声を強くしたり、あなたしか見ていないからずっと離さないからねというのを強調しています。あとライブの時は歌っている時とトークのギャップ、切り替えをはっきりさせたいと思ったので、私なりに考えました。そこにも注目して見て頂けたら嬉しいです。

――MVを観て気づいたのですが、新井さん左利きなんですね?

 普段は右利きなんですけど、マイクを持つ時は左手で持っています。マイクだけずっと東京女子流の時から左で。たぶんダンスで右手を使った振りが多いからだと思うんです。もうマイクは左手のほうがしっくりきます。

――MVの音とCD音源とではサウンドが違いますよね?

 全て違うんです。アナログ盤もCDもDVDもMVも配信も。ドラムとベースの音だけで私が歌っているものもあるんですけど、その時は演奏がちょっと速くて、他より軽めに歌っていたりするんですけど、そこがまたいい感じで私はそのバージョンも好きなんです。

――バリエーションがたくさんあるのはいいですね。1曲目に「ひとみ、降臨。」というインストが収録されていますが、この曲はどのような経緯で収録されているんですか。

 作って頂いていたのがチャラン・ポ・ランタンの小春さんなんです。東京女子流と対バンさせて頂いたことがあるんです。この曲を作って頂いたきっかけが、チャラン・ポ・ランタンさんのライブに行かせて頂いてご挨拶に行った時に「実はソロデビューが決まっていて」とお話ししたら、そのあと私のSNSを調べていただいたみたいで「面白い」と興味を持ってくださって。

 それで「よかったら曲を作って頂けたりしませんか?」とご相談させて頂いたら快くお引き受けくださって作って頂いたのが「ひとみ、降臨。」なんです。あとライブの時はこの曲でラジオ体操みたいなことをやっているんです。そのダンスをするきっかけを「わかりやすい音で入れて頂けませんか」とご相談をさせて頂いたり。

――オリエンタルなイメージもありますが、これは小春さんのイメージ?

 もともとライブの時に著作権フリーの音源で体操をやっていて。その音がちょっとオリエンタルな感じだったので、その流れからなんです。タイトルも小春さんがつけてくれまして、すごく気に入っています。

――遊び心がありますよね。今回は短編ムービーなどが収録されていますが、新井さんの素の状態が観られるような感じ?

 短編ムービー「ルーム」では素の状態が観られると思います。他にはどうやったらみんなが楽しんでもらえるか、というのを真剣に考えているところや、80年代の流行語を探してみたり、ミーティングしている感じのものがあったりとか。

――最近80年代の新しいワードは何か見つけましたか。

 バズって光る、輝く一年にしたいというのがあって、今年の目標で「Buzz Light Year」というのを掲げています。その中で「マブい」という言葉を最近使うことが多いです。あとは「ナウに行こうぜ」とか。今を走って行こうみたいな意味も込めて、前向きなキラキラしている感じのを最近は使ったりしています。

――「Buzz Light Year」というのは映画『トイ・ストーリー』に登場するバズ・ライトイヤーとは関係はありますか。

 それもあります(笑)。目標をどうしようかと考えていた時に、宇宙って未知じゃないですか? 何でもありで神秘的なので宇宙を考えていた時に「バズ・ライトイヤー」みたいな。「それ面白くない?」みたいな感じになって。

考えれば考えるほど、次に活かせる

新井ひとみ

――ワンマンライブは今考えていたりしますか。

 今後できたらいいなというのはあるんですけど、まずはオリジナル楽曲を作ってみたいなと思っています。私の憧れている松田聖子さんはいつも「風」とか「南国」とか、オアシスを感じるようなテーマを持っていて、楽曲制作だったりしていらっしゃるので、私もそんなテーマをひとつ持ってオリジナル楽曲を作っていけたらいいなって思っていて。今は「南国」とかいいなって思ってたりするんですけど、私だったら何だろうなとか。

――さて、デビューして10年が経つというところで、駆け抜けてきた感じがあると思いますが、この10年でどんな気づきがありましたか。

 最初は右も左もわからなくて、がむしゃらに与えられたものをただ必死に頑張るというのが自分の中でありました。でも、だんだん「こうしたい」「ああしたい」というのが出てきて、セットリストを考えてみたりとか、こんな演出してみたら楽しいんじゃないか、というのを考えるというのが、自分の中で変わったことかなと思っています。そうすることで自分なりの気付きがあって、考えれば考えるほど、次に活かせるということが増えているなと感じています。

――自分のやりたいことも明確になりますよね。それが今のスタイルに繋がったり。ご自身がデビューした時と今とでは周りから求められ方が変わったと思いますか。

 とても感じます。ここ10年で凄く変わりましたし、今は歌って踊れて当然みたいなところが凄く感じられるなと思っていて。でもまだまだ新しい子達が入ってきて、自分にはないような個性や歌いかたを見たりすると「こういうのがあるんだな」と学ぶこともたくさんあります。

――今では後輩もたくさんいますよね。

 あっという間で…デビュー初期とかは「女子流ちゃん」と呼ばれていたんですけど「女子流さん」に変わって、「いや、そんなことないのに」って(笑)。

――今は再び新人として活動していますし、新鮮ですよね。

 新鮮ですね! 楽しいし何でもやって良くて、怖いものがないみたいな。 

――なんでもありというところで、今ご自身のTwitterで流している【ひとみ劇場】「今日から私は」はどういうきっかけで始まったのでしょうか。

 【ひとみ劇場】は綾小路翔さんにちょっと気になってもらえたら嬉しいなと思って。なかなか難しいんですけど(笑)。親衛隊のみなさんに、よかったら翔さんのハッシュタグを付けてメッセージとかを送ってもらえたら嬉しいなって思っています(笑)。その中でソロ活動をやらせて頂いて演技も凄く興味を持ち始めたんです。これを通して私の得意なことを発信できたらいいなって思っています。

――演技にも興味を持っているんですね。

「少女 A」CD+DVDジャケ写

 やってみたくなっちゃって。最近映画やドラマを観る機会が多くなって『ストレンジャー・シングス』や『ロミオとジュリエット』を観ています。もともと少女漫画が好きで、そこから恋愛系の映画も好きで友達からおすすめされた映画を観たりとか。

――役者だったらどんな役者に憧れていますか。

 アン・ハサウェイさんです。凄く綺麗ですし色んなジャンルの映画に出ていたりとかするので。カッコ良くて憧れの女優さんです。

――最後に親衛隊のみなさんにメッセージをお願いします。

 いつものぼりやハッピ、チラシだったり、色々たくさん応援してくださってありがとうございます。今年は「Buzz Light Year」ということを目標としてバズッてたくさん輝いて、みんなにとっても楽しい一年をつくっていけたら嬉しいなと思いますので、是非これからも応援よろしくお願いします。

(おわり)

新井ひとみ

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