LAMP IN TERRENが1月13日、東京・マイナビBLITZ赤坂でワンマンライブ『LAMP IN TERREN ONE MAN LIVE “Bloom”』をおこなった。昨年はアルバム『The Naked Blues』を引っ提げた全国ツアー『BABY STEP』や日比谷野外音楽堂でのワンマンライブ『Moon Child』、その後も2018年から続く定期公演『SEARCH』やワンマンツアー『Blood』を行うなどライブにシフトした1年だった。2015年1月14日にリリースされたメジャーデビューアルバム『silver lining』から約5年、2020年のスタートとなったライブは最新e.p.「Masion Diary」にも収録されている「ほむらの果て」や「いつものこと」などアンコール含め全20曲を熱演。ライブの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

ここから最高の1年が始まる

松本大(撮影=浜野カズシ)

  BGMにはピアノの穏やかな旋律が会場を包み込んでいた。クラシックのコンサートに来たかのような幽玄さ。静かに高揚感を煽る開演前のひととき。ステージには花瓶にオンシジウム(「Maison Diary」のジャケットに登場している)が生けられていて、今までとは違う趣きを醸し出していた。

 SEに導かれ4人がステージに登場。緊張感が漂うなか、オープニングを飾ったのは「花と詩人」。松本大(Vo. Gt&Pf)によるキーボードの弾き語りでのスタート。そこから徐々に楽器が重なりハーモニーを作り出していく。派手なスタートではないが、グッとこころを惹き寄せる幕開けで、通常のロックバンドの空気感とはまるで違う。

 松本は「最高の一日にしようぜ!」と投げかけ「Water Lily」を歌唱。なんて穏やかなライブ序盤。しっかり音楽、歌を届けたいという思いが伝わってくるようだった。おもむろに花瓶からオンシジウムを手に取り、最後はその花をフロアに投げ入れた。

ライブの模様(撮影=浜野カズシ)

 徐々に熱を帯びていくステージ。「New Clothes」で見せた松本の魂のシャウトは空気を一変させる。「いこうぜBLITZ」の言葉にオーディエンスも腕を掲げ応える。そして、ここまでの独特な緊張感を解き放ったのは「涙星群の夜」だ。目がくらむほどの眩しいライティングと、フロアから響くクラップ音が合わさるとライブの臨場感が溢れた。

 良質なサウンドも今回のライブでは印象的だった。大屋真太郎(Gt)の生々しい弦の音、川口大喜(Dr)トランジェントの良い身体に響くドラム、すべてを包括するような中原健仁(Ba)によるベースの低音と分離の良い、一つひとつの音が際立っていた。

 松本は「ここから最高の1年が始まる」と語り、始まったアグレッシブなロックチューン「Is Everything All Right」では、張り裂けそうなテンションの歌声、ヒステリックなギターサウンド。松本は「心を全部解放して行こう、狂って行こうぜ」と煽り「凡人ダグ」へ。迫真のステージを展開した「at(liberty)」は、心に響くメッセージを放ち、光を求めるかのように暗闇の中をもがくように歌い上げる松本の姿が印象的だった「Beautiful」とノンストップで届けた。

 しばしの静寂から川口のカウントから「緑閃光」。そして、壮大でドラマチックなナンバー「BABY STEP」と紡がれ、そのエモーショナルな歌と演奏に、4人の音を受け止めるかのようにその場に立ち尽くし、聴き入るオーディエンスの姿。松本は「緑閃光」と「BABY STEP」の流れに「心が迷子」だと話し、涙してしまう。その理由に「やってきて良かったと思った。自分が戦ってきた積み重ねでここに立って歌っている事に感極まってしまった」と明かした。

やってこれたんだな

LAMP IN TERREN(撮影=浜野カズシ)

 後半戦は新曲の「ほむらの果て」でスタート。アングラを感じさせるヘヴィーなリフに、ロックへの造形の深さを垣間見せてくれかのような、オーセンティックなロックサウンドで魅了。そして「ホワイトライクミー」では、目が眩むほどの白い閃光が楽曲を盛り立てる。さらに懐かしい一曲「ワンダーランド」で一体感をさらに高め、フロアタムを主体としたパワフルなドラムから「Dreams」へと流れ込んだ。

 高らかに鳴り響く松本の歌声。その歌声に続くように見せたオーディエンスのシンガロングに笑みを浮かべるメンバー。「あなたたちが生まれてきたこの世界に愛を込めて」と、ぶっちぎりの自身最速ナンバー「オーバーフロー」を投下。そして「一緒に踊りましょう!」と投げかけ、身体が疼いてしまうライブ定番曲「地球儀」でボルテージは最高潮まで高まった。

 MCでは、周年イベントは「正直やりたくはなかった」と素直に話す松本。だが、やってみて「区切りになった。振り返ることはなかった時間を今日ライブをやったことで、やってきたんだなと。考え抜いて、悩み抜いて、戦い抜いて…。皆さんにも俺が知る由もない葛藤があると思う。それは自分にもあって、未来が気になりすぎて心が『もっともっと』いうから、振り返る時間はなかったし、振り返ろうとも思わなかった。でも、今日『やってこれたんだな』とすごく思えた。ありがとう」と、改めて振り返ることが出来たと話す松本。

 しかし、考え方は変わらない、「歌を歌っていたいし、音楽をやっていたい。聴かせたいし、届いた心がどうなのか知りたい。音楽でしか繋がれないかも知れないけど、いつまでも一緒にいたいし、手を繋いでいたい、背中を押したいし、背中を押されて行くと思う。生きていたいし、生きていてもらいたい。出来るだけ楽しく、そのために泣くし、そのために笑おう。それを閉じ込めた歌、それを作ってみんなが聴いて歌になる」と想いを語った。

 本編ラストは音楽でみんなと繋がっている、そんな想いを込めて歌い上げた「メイ」。ラストのサビ前<声は言葉を頼って 繋いだ貴方の傍へ>の箇所をアカペラで歌い上げる松本の姿は、この歌詞の意味をより強くしていた。ステージから垂直に天井に伸びる白い光は、4人の未来を祝福しているかのようだった。

LAMP IN TERREN(撮影=浜野カズシ)

 アンコールに応え、ステージに登場。松本は「焦らず一個ずつ掴んでいきたい」と決意を述べ、「一緒にいつもの日常に帰ろう」と日常を歌った新曲「いつものこと」を届けた。派手さはないが、ほっこりと寄り添うような1曲を丁寧に歌い紡ぐ。もう1曲「キャラバン」で、旅はまだまだ続くことを示唆しているような、希望につながるナンバーで、ステージを後にした。

 ダブルアンコールに応え、再びステージにメンバーが登場。松本は「メジャーデビューから5年、この曲を作ってから13年、まだ歌っていることがすごい」と話し、「L-R」を演奏。最後にもう一度、一体感のある空間を作り出し、「愛してるぞ!」と言葉を残し『LAMP IN TERREN ONE MAN LIVE “Bloom”』の幕は閉じた。

 肩の力を抜いて、しっかりと歩いていきたい、世間のペースや周りの声に惑わされず、自分たちのやるべきことを見定め進んでいくといった気概を感じたステージだった。今年はアルバムも出したいとファンにとって嬉しい言葉も聞けた。2020年のスタートは大きな足跡を残し前進した。

セットリスト

01.花と詩人
02.Water Lily
03.New Clothes
04.涙星群の夜
05.Is Everything All Right
06.凡人ダグ
07.at(liberty)
08.Beautiful
09.緑閃光
10.BABY STEP
11.ほむらの果て
12.ホワイトライクミー
13.ワンダーランド
14.Dreams
15.オーバーフロー
16.地球儀
17.メイ

ENCORE

EN1.いつものこと
EN2.キャラバン

W ENCORE

WEN.L-R

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