BOYS END SWING GIRL「その時に発したいメッセージを」更なる個性が開花
INTERVIEW

BOYS END SWING GIRL「その時に発したいメッセージを」更なる個性が開花


記者:平吉賢治

撮影:

掲載:19年12月26日

読了時間:約13分

曲順的に「全部驚かせたい」

冨塚大地(撮影=平吉賢治)

――サウンド面についてですが、ギターのアプローチがかなり広がったと感じました。エレキだとディレイのサウンドメイクや歪みのストレートさ、ギターソロの表現なども。

 前作と比べてギターの音は凄くこだわりました。前作と比べてLowを強めにしているんです。そこはポイントだと思います。ギターもストラトキャスターやテレキャスターを使っていたのに加えて、ES-335を使ったり。コンセプトに合わせてギターの音を作り変えていくのも醍醐味だと思いました。

――アコースティックギターの突っ込み具合も印象的でした。

 アコギはけっこう増やしたので、そこはサウンド面での大きなポイントだと思っています。ミシェル・ブランチを参考にしたり、2000年代最初の頃のシンガーソングライターのアコギの感じをイメージして。最近寄りだとショーン・メンデスとかアヴィーチーなども、エレクトロとカントリーを混ぜるようなのが増えてきている気がしていて、もっとアコギを使いたいなと思っているんです。Taylorというブランドのアコギを買ったので、これをもっと使いたいというのもあって。

 好きだったのが2002年から2006年くらいのアメリカのシンガーソングライターの感じなので、そこをアコギの感じをどうしたら日本の音楽に、アコギが目立って、しかもエッジが効いているアコギの音が出せるかというのも考えています。2曲目の「LONELY HOPE」はそれが出ていると思っています。

――この曲はイントロからアコギの音が両耳に張り付くようですね。

 日本のなかでアコギってフォークな感じというか柔らかいイメージなんですけど、もっとソリッドな感じのアコギの音が出せると思うんです。

――また「ラックマン」の曲調の次にこういったアプローチがきて、そして「毒を喰らわば」と進むから、聴き手を掴んでいく感じがあります。

 そこは曲順的に凄く考えたところなんです。全部驚かせたいと思って。「ラックマン」の最初のインドの雰囲気で驚かせて、「LONELY HOPE」のアコギの「ザンッ!」という音で変わったと思わせて、「毒を喰らわば」は曲のタイプ自体が異なっていて。1曲1曲毎に、おもちゃ箱からおもちゃが飛び出してくるような感覚にしたいなという曲順にしました。途中で「次の曲どんなのがくるんだろう?」と思って頂きたいんです。

――そのあとの5、6曲目ではサプライズ的な展開はないという。

 そうです。そこでは「私の知っているBOYS END SWING GIRLだな」って思って頂きたいんです。

――確かにアルバム後半ではそういう印象がありました。ところでいまのバンド内での課題はありますか?

 メンバーみんなで歌いたいです。新たな展望としてチャレンジしたいところです。ビートルズもそうですし、みんなで歌うカッコ良さってあると思うんです。そこは次に到達できるポイントかなと思っています。僕はコーラスグループも好きなので、そういう要素も作りたいと思っています。

――改めて、冨塚さんは色んな音楽を聴いていますね。

 好きなんですけど、最近あまり広げられていないというか…「音楽は25歳までに聴いたものが全てだ」という人もいますし。ちょっと本当にその通りかもしれないなと思っていて。

――確かに、10代、20代に聴いていた音楽が一番根付いているという感覚はあります。個人的には30歳あたりまでに聴いた音楽が。

 自分の中に根付くというのは、大学生の頃に洋楽を聴きあさっていた頃の音楽が一番だなと思っていて。

――個々の感性にもよる部分はあると思われますが、その頃に聴いていた音楽はかなり残りますよね。それでも30代、40代、それより上になってもどんどん吸収する方もいたりと。

 確かにそうだと思います。そう考えるとこれから音楽を吸収する楽しみが増えてきます。曲を作るのも本当に楽しくてしょうがないし、つらいことも多いですけど、本当に楽しくて音楽をやっているということが幸せでしょうがないです。

――ちなみに音楽以外の芸術面でインスピレーションを受けることもある?

 画家だとバスキアさんです。違う分野のアートで衝撃を受けました。凄い湧き出る力を感じて、新しい所に行けそうだなという感覚を感じました。あとは作家だと重松清さんです。本当に重松清さんに影響を受けまくっているんです。暗い物語のなかにちょっとの光を見出して歩く、というような感じの。重松清さんは色んなことをよく知っているからこそ、わかりやすい言葉で難しいことを誰にでも伝えられるなと思っていて。そういう人間に僕もなりたいなと思っているんです。そういったことにも繋がるんですけど、J-POPの枠からは外れないようにしたいと、誰もが聴けるというところからは外れないようにして伝えていきたいと思っています。

――それでは最後に、ONE MAN LIVE 2020「HOME ALONE "s"」が2020年1月26日に控えていますが、意気込みはいかがでしょうか。

 ライブタイトルの「HOME ALONE "s"」なんですが、“ALONE”はひとりぼっちなんですけど、複数形の“s”が付いているんです。ひとりぼっちが集まって“s”になるという。本当は単数で“s”はつかないんですけど、ひとりぼっちが集まって1日をつくれば、それはひとりぼっちではないと。アルバムで伝えたいことをライブのタイトルにしたかったんです。

 来てくれる人が日々つらいなとか、苦しいなとか、ひとりぼっちだなと思っていても、そういう人はたくさんいて、それを僕らの音楽を通してみんなが繋がっていける1日をつくれるようにという意味を込めて「HOME ALONE "s"」というタイトルをつけたので、凄く楽しみにしています!

(おわり)

作品情報

『STAND ALONE』
2019年12月11日リリース
CD:TECI-1663 定価:1818円+税
<収録曲>
01. ラックマン
02. LONELY HOPE
03. 毒を喰らわば
04. スノウドロップ(Album Ver.)
05. クライマー
06. スタンドアローン

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