アイドルグループの転校少女*が16日、全国ツアー令和元年 『The Fifth Autumn Of Love』のファイナル公演をLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)でおこなった。本ツアーは9月15日の福岡公演を皮切りに名古屋、大阪、札幌、甲府、埼玉、そして本公演がツアーファイナル。本公演をもってリーダーの岡田夢以は転校少女*から転校となる。5周年で過去最大規模となった本公演は熱気あり、活気あり、涙ありの大団円となった。【取材=平吉賢治】

全力公演の過去最大規模ツアーファイナル

転校少女*(撮影=林 晋介)

 開演と共にスクリーンに映し出された転校少女*のこれまでの軌跡――。映像に刮目するその数分間で、5周年を迎えたグループとバンドメンバー、そして会場に終結したオーディエンスの心が一つに寄せられるようだった。

 彼女達の過去最大規模ツアーのファイナルはライブ開始直後の「ツアーファイナル行くぞ!」という気合あふれる声高らかな叫び声から始まった。

 4人編成のバンドセットにスクリーンに映し出されるビジュアルアート、転校少女*のパフォーマンス、ファイナルにふさわしい演出、演奏、歌唱は「猟奇的You&Me」からオーディエンスの頼もしいコールと共に、熱気溢れるテンションのなか一気に走り出す。

 7人のメンバーは白を基調とした衣装を身にまとい、心身共にシンクロしているかのようなフォーメーションでステージ狭しと笑顔で駆け巡る。各々のソロパートではオーディエンスからのエネルギッシュなメンバーコールが響き渡る。MCでは「転校バンドも来てくれているので、次の曲はロックな曲に!」と告げ、「TRIGGER」のロックサウンドのなかで転校少女*が弾けるような姿がLINE CUBE SHIBUYAに明朗かつ優艶に映えた。

 続く楽曲ではメンバーのサイン入りボールを客席に投げ込むというサービスも見せつつ、「100年キミだけ」では夏空に海、花火と、清々しい景色がスクリーンに映し出され、天真爛漫な笑顔と共にパフォーマンス。「こうやって大きな映像を使ってやるのも初めてだし、生バンドも初めてだから今日のライブは気合が入ってます!」と、転校少女*過去最大規模のツアーファイナルに込めた意気込みを改めて伝えた。そしてこの日の衣装について、「この衣装は久しぶり」と、7人での最初の衣装であることも明かした。

 スウィングビートがジャジーに鳴り渡る「Catch Me (If You Can)」では、スクリーンの劇場調の映像と重なり、ゴージャスなビジュアルのなかでしっとりと色気を醸す。続くはユニットコーナー。「PAINT GIRL」では松井と塩川が、ステージ左右に設置されたお立ち台で軽やかに歌唱、「さかさまの世界」では岡田と寺田がミステリアスな世界観のビジュアルアートをバックに悠々としたパフォーマンスを魅せた。

 そしてアコースティックバージョンの「Love Range!」では再び7人が集まり、ピアノの伴奏のなかで岡田はソロパートで感情豊かな歌声を広げた。この日“転校”となる岡田は、いかなる心境でステージに立っていたのだろうか――。

“エモーショナルかつ文学的”な世界観をドラマチックに

転校少女*(撮影=林 晋介)

 雨の音が響き渡るなかスタートした「She’s Rain」では、傘を2本用いてのダンスパフォーマンスと斬新な演出も見せつつ、映像の雨垂れは雪の結晶へと変わり、「Winter Wish」へ。藍色の衣装にチェンジした7人の切ない情念が含まれるような振りが、これからの季節の移り変わりをドラマチックに表しているようだった。

 その後も会場のテンションは下がることなく、「この世界にサヨナラして」ではクラップがホール中に鳴り響き、「プロムナードの足跡」では歌詞がスクリーンに映し出され、“エモーショナルかつ文学的”という、転校少女*の世界観を見事に示していた。

 そしてMCで十分にコール&レスポンスの準備をした流れで「ときめけ☆アフタースクール!」へ。オーディエンスからの大声量のコールが会場いっぱいに弾け飛び、転校少女*の、転校バンドの、この日の演出と、それらすべてが一体となったエネルギーがグイグイと膨張していく空気感に満たされていた。この曲の4つ打ちのビートは「じゃじゃ馬と呼ばないで」へと継続し、高まるボルテージは最高潮を迎えた。

 そして、熱気はピーク状態のまま最終曲「星の旅人」へと続き、ラストはメンバー7人が高らかに指を上に掲げ、未来を切り開くような希望あふれるポーズで本編を締めくくった。

落涙と笑顔で伝える“転校”への想い

転校少女*(撮影=林 晋介)

 本編終了後、響き渡るアンコールの声は「夢以ちゃん!」コールだった。熾烈な情熱がみなぎるそのコールは、リーダー岡田の転校を惜しむような、祝福するような、おそらくその両方の感情が入り混じったあまりにもエモーショナルなコールだった。

 アンコールに応えてメンバーはグッズTシャツを着て再登場。客席を駆け巡りながら「バ・ビ・ブブブー・ブートキャンプ」を和気あいあいと、オーディエンスと触れ合いながら披露。そして、「今日、夢以が転校するということで、夢以と歌うのはこれが最後になります。7人で心を込めて歌います」と、アンコール公演を続けた。

 このタイミングで涙を誘うようなバラード「銀河列車」を、そして「With You」が披露されたあと、リーダー岡田はオーディエンスへ、そしてメンバーへ、会場中に向けてこう伝えた。

 「この5年間、本当に、本当に、みなさんに支えられながらやってきました」。

 岡田は、涙を流しながらも笑顔で、感極まる表情でこう続けた。

 「みんなに出会えて、もの凄く私は幸せでした。いくつになったとしても、転校少女*であったことは私の自信です。リーダーであったことも、素敵な仲間でいたことも、応援してくれたみなさんがいたことも、全部が私の誇りです」

 真っ直ぐ前を見ながら涙声で、岡田は想いを伝えた。

 「たくさん愛をくれてありがとう。心の底から本当に、アイドルになれて良かったと思います。アイドルって凄い幸せなお仕事だなって…」と、声を震わせながら、アイドルであることと、みんなへの想いを言葉にした。

 そして、「本当に、いっぱいありがとう。『大好きだよ』って、『愛してるよ』って、いっぱい言ってくれてありがとう。最高の5年間の青春を本当に本当に、ありがとうございました!」と、はちきれんばかりの愛と感謝の想いをホール中に伝えた。

 そしてスクリーンには、オーディション時の映像から練習風景と、これまでの岡田の転校少女*としての軌跡がまざまざと映し出されるという“ドッキリ”を受け、「やめてぇ!」と、困りつつも喜びの表情を見せた。「本当に嫌なんだけど!」とも言っていたので、実は本当にキツかったのかもしれない。それくらい赤裸々に岡田の軌跡が表された映像だった。

 メンバー、スタッフからの愛が込められた5年間の岡田のヒストリー映像が終わり、ツアー公演最終最後の曲「Girl*s Time」を、コールにクラップに声援にと、大歓声のなかライブを笑顔で締めくくった。

 公演終了後、メンバーからの「思い残すことはない?」という問いに岡田は「悔いなし!」と、転校少女*のメンバーとして、リーダーとしての全てをやりきったことを即答した。

 「いままでで一番大きい所で『5周年おめでとう!』『夢以、ありがとう!』とできるというのがいま一番の目標です」。転校少女*は小媒体のインタビューでそう語っていた。転校少女*の目標が見事達成されたことが証明されたファイナル公演は、大歓声と笑顔に包まれて幕を閉じた。

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