立花綾香「新しい自分に出会えた」挫折を経て新たに発信する音楽の向こう側
INTERVIEW

立花綾香「新しい自分に出会えた」挫折を経て新たに発信する音楽の向こう側


記者:平吉賢治

撮影:

掲載:19年11月24日

読了時間:約12分

挫折を乗り越えてのメジャーデビュー

――2曲目「Eyes」の歌詞、<右目に映るは、1つの希望 左目に映るは、100の絶望>という部分が印象的です。

 作った時が自分のなかで一番の絶望期だったんです。もともといたチームで「これ以上はできません」と言われたんです。メジャーデビューを目指してやってきた上でどうしても上手くいかなくて。「最善は尽くしたけど、これ以上あなたにできることはない」と。

――それはかなりの絶望ですね。

 自分のなかでは父の期待もけっこう大きかったんです。単刀直入に「才能がないです」と言われたこともあって。でも、その時は自分のなかでも色んなことが曖昧で、「これ」といったものがなくて。その時のチームに任せっきりという部分もあったので。自分がなんで音楽をやりたいかというのも明確じゃなかったし。そこで一旦スパンと終わったところがあったので「熊本に帰るか」と思って…。

――挫折があったのですね…。

 ストレスで声が出なくなったこともありました。22歳の頃です。その時は年齢のことを気にしていて、この先アルバイトをしながら音楽をやって、声も出なくなった状態で、このままだときっと音楽のことも嫌いになるだろうし、両親に仕送りをしてもらったりして迷惑をかけるのも嫌だし…その時が一番の絶望期でした。でも父は、私が作る曲は本当に良い曲だから、もうちょっとだけやってほしいと言ってくれたんです。妹も上京してきていて、「もっとこっちにいようよ!」と言ってくれて、それが私のなかでの唯一の希望でした。また一からやってみようと思ったんです。いままで自分と向き合って曲を作ったことがなかったなと気づいたんです。そこでできたのが「Eyes」です。

――すると「Eyes」は重要な曲ですね?

 そうです。23歳くらいの時に作った曲で今作の中では一番古い曲です。これ以外は全て新曲です。

――今作は曲調がバラエティ豊かですね。特にアレンジ的なテイストを絞らず、という意図があったのでしょうか?

 そこは私がピアノと歌を録ったものをアレンジャーさんにお願いして、「こういう曲です」と伝えて、そこからインスピレーションで作ってもらうという感じです。

――歌詞についてもう一点、「あいいろ」では<ねえ、10年前のわたし 今の私は思ってた未来と違うかな>とありますが、実際いかがでしょうか?

 昔を思い出すと、自分の人生設計を色々とイメージをしていたんですけど、ここまで素の自分を出すとは思っていなかったです。そう考えると、昔の自分像とは大きく変わっています。10年前はアーティストになろうとは思っていなくて、音楽療法士になりたいと思っていたんです。でも、軽い気持ちで出た「Music Revolution」というオーディションから「一緒にメジャーデビュー目指して行こう」という流れになって。だから10年前の自分はいまの私の状況にメチャクチャびっくりしていると思います。

――そういったことを思い出されるような歌詞の「あいいろ」はどのように制作されましたか?

 この曲は夜中にリラックスしていた時に作りました。あっという間に出来たんです。

――リラックスしてスッと出来た曲という作品特有というか、スッと心に入ってくる楽曲だと感じました。それでいて「Eyes」のように思いつめた頃に書いた曲もあったりと、バランスが良いですね。

 そうですね! 悩みつつもあり、リラックスしつつもありと。

――それでは最後に、東阪福レコ発ワンマンライブはどのような公演になりそうでしょうか?

 アルバムのほとんどが新曲なので、逆にいままで来て頂いていた方も、新しく来て頂ける方も、気を改めてというか、いままでの立花綾香と思わないでゼロの気持ちで来てほしいなというのが一番あります。自分としてもゼロの気持ちで今回のワンマンの構成を作っていきたいと思っています。いままでは生音にこだわっていたんですけど、今回は同期も使いながらやっていきたいと思っています。

――確かに今作ではエレクトロなサウンドアプローチもありますね。ちなみに今後の目標は?

 大きい所で「アリーナ!」と叫びたい目標もありますし、できたらどこかのライブで自分で電話して「この日、武道館空いてます?」「いいとも!」みたいな感じでおさえたいです。それでライブ中に「いま武道館、決まりました!」って(笑)。

――斬新ですね(笑)。

 そういうオファーの仕方なども含めて、「自分達で作っています」というのをずっと続けていきたいです。もちろん色んな方々の力をお借りしながら、どんどん発信して行きたいというのが今後の目標です。

(おわり)

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