この1年は無駄ではなかった、YURiKA 成長の証「Le zoo」様々な仕掛けも
INTERVIEW

この1年は無駄ではなかった、YURiKA 成長の証「Le zoo」様々な仕掛けも


記者:木村武雄

撮影:YURiKA

掲載:19年11月23日

読了時間:約11分

 アニソンシンガーのYURiKAが「ふたりの羽根」以来約1年ぶりにシングル「Le zoo」をリリース。本作は、表題曲をはじめテレビアニメ『BEASTARS』のエンディングテーマで構成するアニメ盤と、自身とファンの思いを込めた歌を収録したアーティスト盤で構成される。同アニメEDテーマへの起用は今年初めに決まっていたものの、この間何もできないもどかしさがあった。しかし、飛躍するための準備期間と捉え、磨いてきた。そうした成長した姿が表れているのが本作であり、「アニメファンの思いを大事にしたい」という彼女ならではの仕掛けも施されている。「歌を通してファンとアニメを繋げるのがアニソンシンガーの役目」とも語る彼女の本作で示すものとは。【取材・撮影=木村武雄】

自分の言葉で届けたファンへの思い

 東京・渋谷WWWに立つ彼女は、大きく羽を広げ大空を飛んでいるかのような伸びやかでいて深みがあり、そして澄んだ歌声を響かせていた。圧巻の歌唱力で魅了したかと思えば、ハキハキとしたトークと人懐っこさで和ませる。『UPDATE』と名付けたライブは、オープニングテーマやエンディングテーマに起用されたアニメの一部映像を流したり、その物語を連想させるような振付を取り入れる、「アニメファンの思いを大事にしたい」という彼女の“らしさ”が詰まったライブだった。

 ライブタイトルや、セットリスト、演出の土台は自身で考えた。「私がやりたいことの軸をブレずにできたライブでした。この1年は無駄ではなかったと思えました」と語る彼女は改めて当時をこう振り返った。

 「1年間何もなかったというコンプレックスが私のなかでありました。きっとみんな、マイナスに思っているんだろうなという思いがあって。でも、パワーアップした姿を見せることができたら信頼をしてもらえると思いました。それでステージに立った時にたくさんのファンのみなさんが声援をくれたり、喜んでいる、楽しんでいる姿を見て、『私、この先いける』と手応えを感じました」

 そして、あのライブがファンへの思いをより強くした。

 「あまりうまくいっていないときこそ、ファンの皆さんが支えてくれました。何かをやっているときは集まって下さる、観に来てくださるというのは自然な流れだと思います。でも何もない時に来てくれるのはなかなかないと思うんです。5月にカバーアルバム『ただいま。~YURiKA Anison COVER~』やライブも何度かやってきましたが、シングルが打ち出せないなかでも応援してくれて、あのステージに立った時に感謝の想いがこみ上げてきました」

 その時の思いを詰め込んだ曲が本作のアーティスト盤に収録されている。自身が作詞した「メイキット!」だ。

 「『baby baby flow』もそうですが、私の歌には『自分は頑張る!』『自分はこうだ!』と歌っているものが多くて、“相手に宛てるもの”がないと思いました。そこで皆の応援歌を作ろうと思いました。皆の背中を押す、聴いて下さる方々が『頑張るぞ!』と奮起させるように書きました」

 「メイキット!」の作曲を手掛けたのは、ファンの間で名曲と言われている「夜奏花」や「サマーテイル」を作曲した竹下智博。「竹下さんの楽曲がもともと好きでしたし、ファンの皆さんも絶対に好きになってくれると思いました」とYURiKAが“指名”した。その楽曲は、ピアノによる静かなイントロから始まり、サビに向けて視界が広がるような展開を見せるアッパーなナンバーだ。

 「ザ・竹下さんという楽曲に仕上がっていました。作家オタクの私としても『待ってました!』と感じるほどで、私がイメージした、気持ちが晴れていくような曲調になっていて感動しました」

 曲へのこだわりはタイトルにも見られる。「メイキット!」はあえて英語スペルを使用しなかった。「カタカナの方が自分っぽいかなって。歌詞を書く機会を頂けましたし、今回は皆さんへの『エール』という思いも込めていますので、歌詞というよりかは手紙を読むような感じで受け取ってほしいと思いました。英語を使って無理にカッコつけるよりかは、いつもの私で表現する方が届きやすいと思いました」

YURiKA

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