ユップ・ベヴィン「諦めないで直感を信じる」夢を掴んだ遅咲きの音楽家
INTERVIEW

ユップ・ベヴィン「諦めないで直感を信じる」夢を掴んだ遅咲きの音楽家


記者:小池直也

撮影:

掲載:19年11月07日

読了時間:約9分

ハードワークは「諦めない」ということ

――自分自身をクリエイティブに保つためにしていることは他にありますか?

 自分との会話を常に頭のなかでしています。「アイデアはどこから生まれるんだろう?」と問うんですよ。それは作ろうと思って作るものではなく、考えないことで生まれると思っています。分析、計算、勉強、ビジネスから出てきたものはリアルなものを生み出す可能性を台無しにしてしまうから。

 なので、僕はアイデアが降ってきたら感謝の気持ちを忘れずに、おかしなことをしないように心がけています。それは自分自身にとって、家族にとって、子供たちにとって胸を張れるように生きるということと、あとはハードワークも大切。

――ハードワークは分析したり、練習することも含まれると思いますが。

 確かに(笑)。でも創造的な発想は何もしない時に生まれるんです。ただ何もしなかったら何も生まれませんから、とりあえず基本は楽器の前に身を置くこと。そこで3時間過ごしたら、ひらめく時もあれば、何もない時もある。

――ユップさんが自分の声を手に入れたのは最近のことだそうですが、自分を遅咲きだと思っていますか?

 思います。むしろ、もう生まれないと思ってました(笑)。でも諦めなかったんです。ハードワークというのは「諦めない」ということなんですよ。20代でダメでも、30代でダメでもチャレンジしてきました。あとは直感を信じる、ということなのかもしれません。「なぜ自分はこんなことを今やっているんだろう?」とか「自分は才能ないんだ」と勝手に考えたら、可能性を殺してしまいますよ。

 もしかしたら自分は詩人になっていたかもしれないし、優秀な庭師だったかもしれない。そういう才能が常に自分に呼びかけているんだと思うんです。それを表現することさえできれば、他人がわかるものになって物ごとが動き始めていく。そのためにはまず自分を信じなきゃいけないのですが、それは時に恐ろしいことでもありますね。でも恐怖心や疑念が消えた時に何かが生まれるはずなんです。

 人生が動く瞬間っていうのは人によって違います。でも自分の声が分かることができれば、その時に自分が若くなくてもいいんですよ。理解できさえすれば、それをコントロールできるようになるはずですから。

(おわり)

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