悩んでいくことを祝福します
――ジャケットの“サルベージ”されている熊はどういった象徴でしょうか?
この熊は母がチクチク縫って作ってくれたものなんです。サルベージという言葉がなぜ出てきたのかというと、おそらく『新世紀エヴァンゲリオン』からなんです。アニメの中で「サルベージ計画」というのがあって、人間の魂の境い目がなくなって一つになっちゃった世界から、個体としての人間を引き戻す、個人に戻すといったお話でした。私はずっと、自分の音楽は「魂のサルベージ」とSNSでよく言っていて。それで、熊の下にある黄色いものの中から引き上げられて、実は僕はこんな姿だったんですということを表現しました。
――面白いですね。ぬいぐるみを作ってくれたお母様も含めて、本当に様々な人が関わっている作品なんですね。
これまで一緒にやってきた人を誰も切り捨てていないんです。それをコロムビアの方たちが認めてくれたのが凄いです。私の仲間まで信じてくれましたから。
――そのままメジャーに上がってきて。さて、つるうちさんにとって音楽とはどんなものでしょうか。
「生きること」です。
――「人生」とは違う?
まだ人生は終わっていないからまだわからないなと思っていて…。「生きる」だと現在進行形じゃないですか? 未来のことまで私はわからないので…。でも、これまでずっと生きることと音楽が完全にリンクしていました。音楽は、生きること、生きることが音楽になっている、どちらが先かわからないとずっと思っています。
――今作をどういう人に聴いてもらいたいと思いますか?
自分の足で立つ気のある人に届けたいです。人に何とかしてもらいたい、と思っている人にはこの作品そのものが引っかからないと思います。全てが、思考停止させないための歌詞なんです。思考停止するための音楽は世の中に沢山あるので。でも、それはそれで良いんです。それが必要な人もいるので。でも私は必要としていないし、私がやることではなくて、私は「あなた方が死ぬまで、もっといっぱい考えて悩んでいくことを祝福します」という感じなんです。もちろん私もそうなんですけど(笑)。
――悩んで、学んでですね。最後に12月15日に新宿マーブルで、ワンマンライブ『つるうちはな「サルベージ」リリース記念ワンマン 』がありますね。
はい! 鈴木慶一さんが結成したバンド、Controversial Sparkでも活動しているkonoreちゃんがサポートギターで入ってくれます。その無重力バンドという編成、そして、弾き語りと素晴らしい時間にしますので、見たことのないものを見たい人は是非観に来てください!
(おわり)