アイラヴミー「マイナスも肯定していきたい」“ダメンタル”が照らす人生
INTERVIEW

アイラヴミー「マイナスも肯定していきたい」“ダメンタル”が照らす人生


記者:平吉賢治

撮影:

掲載:19年09月21日

読了時間:約13分

大事にしているのはロック

井嶋素充

――アイラヴミーの創作のインスピレーションはどこから?

野中大司 1作目の「セーブミー」に比べて今作はより方向性がシュッとしています。前作はカラフルな印象で色んなところからインスパイアを受けて出来上がったんですけど、今回はもっとクールにというか、僕らのやりたいことが決まってドンと詰めることが出来たと思います。

――今作は、よりストレートな作品に仕上がったと。

野中大司 「私達はこれがカッコいい」という、方向性が固まった作品です。

さとうみほの 「セーブミー」は「生きづらい!」とか「もう嫌だこんな人生!」という、そのまま心の中を出して終わっていたんです。でも今回はそこからもう一歩踏み出しました。ジャケットのアートワークもそうですけど、部屋の外に一歩飛び出すという意味もあって。全部の曲が自分の心の中から一歩外に踏み出している新しい曲になっているんです。

――ジャケットを手がけたのはシングル3部作と本作、全て丸紅茜さんによるものですね。

さとうみほの 私はゲームやアニメが好きなんですけど、その関連でネットサーフィングをしていて辿り着いたのが丸紅茜さんなんです。丸紅茜さんの線の太さから色合い、影の付け方、ポップなのにちょっとせつなくて悲しい感じが出ているところに惹かれました。「この人にジャケットを描いてもらわなきゃ」という直感があって、駄目もとでお願いしました。メールで「あなたの絵が本当に好きです」とラヴコールをしたら応えてくれて、ジャケットに繋がりました。

――絵のタッチとアイラヴミーの音楽はピッタリです。

さとうみほの ですよね!

――ちなみにさとうさんの部屋もこのジャケットの絵くらい散らかっているのですか?

さとうみほの もっと散らかっています。最初は綺麗な部屋で描いてくれたんですけど「実際はもっと散らかってるんです」って伝えました(笑)。

――リアリティを含んだオーダーもあったと(笑)。さて、ライブ面についてですがパフォーマンスで大切にしていることは?

井嶋素充 ロックです! 作品のアレンジをそのままライブでやるのも正解だと思うんです。みほのの歌声と歌詞は小さいところでも大きいところでも凄く通るし、それを音楽で表現したいということを考えると、ロックというある種のネガティヴな部分をぶった切るというか、認めながら表現して伝えたいんです。だからロックというのを武器にしています。

さとうみほの うん。武器だね。

井嶋素充 僕らはこういう音楽を作っているんですけど、3人ともロック小僧・少女なので。

――どんなロックを聴きますか?

井嶋素充 Red Hot Chili Peppersから入りました。そこからブルースもファンクも聴いたし…U2やオアシスなどのUKロックも聴きました。それらをどう昇華してどう伝えるかというところもあります。

――ネガティヴな心境、“ダメンタル”な気持ちをどう昇華するか、という点でロックと繋がっているのですね。

井嶋素充 それがロックかなと思います。

――さとうさんはどんな心境でライブを?

アイラヴミー

さとうみほの 作ったときの私のままステージに立ちます。曲に感情を込め過ぎないというか。感情が込もっているものって伝わらないなと思っていて。というのも、ケンカをしたときにああだこうだ言われても、「怒っている」という情報しか入ってこないと思っていて。「それはそういうところが気に入らないんだよね」と、冷静に言われた方が情報は入ってくると思っていて、歌詞も一緒だと思っているんです。

 歌詞を感情的に言うのではなくて、歌詞を人に伝える、アナウンスのように言う、それが一番歌詞が入っていくと私は信じています。そこに感情は乗せず、ただ、作った時の気持ちはちゃんと乗せるという。歌声には乗せないけど、そのぶん身振り手振りには乗せます。あくまで歌だけの話で、演奏ではちゃんと出していきます。

野中大司 僕もだいたい2人と似たような気持ちではいるんですけど、ギターは基本的にはワンフレーズの繰り返しとか、パッと見は簡単そうなんですけどシンプルがゆえに音色の作り方とか細かいところや基礎能力が凄く問われると思っていて。アイラヴミーの音楽をライブで演奏して、より音楽的に学ぶところも多くて。音色は凄く大事にして気を遣っています。音楽家でありたいと思っているので音にはこだわっています。

――そういった意気込みでライブをおこなっていて、目標とする場所はありますか?

さとうみほの 豊洲Pitです。というのも、私はamazarashiさんが好きで前に豊洲Pitでのライブを見たんですけど、その時のライブが凄く突き抜けていて感動したんです。「私もこのステージで一緒にライブをしたい」「amazarashiさんを超えるライブをしたい」と思ったんです。だからまずは豊洲Pitを目指して頑張ります! 

(おわり)

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